むし歯になる原因を知り予防に努める キシリトールで歯を健康に

東京都江東区立豊洲西小学校

歯と口の健康を守るための出張授業「楽しく学ぼう! 歯の健康づくり講座」が9月13日、東京都江東区豊洲西小学校(佐藤勝行校長、児童数644人)で行われた。同講座は(公財)日本学校保健会が企画・監修/共催し、(株)ロッテが協力。同校の4年生144人が体育館に集合し、約45分の授業を受けた。

講師は、日本歯科大学生命歯学部衛生学講座の福田雅臣教授が務め、ビデオを活用して授業を行った。この日のテーマは「むし歯はなぜ、起きるのか」「むし歯を予防するにはどうしたらいいのか」の2つ。むし歯になるメカニズムを初めて知る子供たちも多く、福田教授の話に真剣に耳を傾けていた。

授業はまず、歯の構造を知ることから始まった。

むし歯のメカニズムを解説

「歯の表面はエナメル質という身体の中で最も固い物質でできています。その固い物質に穴が空くことをむし歯といいます。でも、穴が小さいと痛みもないし、何も感じません」

「その下にある象牙質という少し柔らかい物質のところまで穴が達すると、冷たいものが染みてきます。どうして染みるかというと、象牙質には歯髄という部分があり、歯の中に栄養を送る血管や神経が通っているからです。むし歯が歯髄にまで到達すると痛みが出てきますが、不思議なことに、しばらくすると痛みがなくなってしまいます。どうしてか、わかりますか」

福田教授の質問に首をかしげる子供たち。「それは神経が死んでしまうからです。神経がなくなってしまうんですね。決して治ったわけではありません。次第に歯の根っこにばい菌が入り、歯茎が腫れたりします」と説明する福田教授。

そして、そもそもむし歯はどうして起こるのかについては、「実はほとんどの人の口の中にはミュータンス菌というむし歯菌が住んでいます。食事やおやつを食べると、砂糖などの糖が歯の表面や隙間にくっつき、この糖をむし虫歯菌が分解し、歯の表面にたくさんのばい菌の住処である歯垢を作ります。そして、歯垢の中ではばい菌が糖を分解し、酸を作ります」「酸には物質を溶かす働きがあって、固いエナメル質も溶かしてしまうのです。これがむし歯のできるメカニズムです」と解き明かした。

授業はむし歯予防の話に進む。むし歯ができる条件は、歯とむし歯菌と食べ物の3つであることを説明した上で、「これらが混じり合わなければむし歯にはなりません。でも、食事を食べないわけにはいきませんよね。そこで、大切になるのが食後の歯磨きです。そのとき、フッ素※入りの歯磨き剤を使うと歯が強くなります」と述べた。

咀嚼状況を確認する児童

フッ素という言葉に子供たちが反応。福田教授が「子供用の歯磨き剤を使っている人は」と聞くと、大半の子供が手を挙げる。

「子供用の歯磨き剤にはフッ素が入っています。大人用にもフッ素配合という歯磨き剤があります。フッ素は歯を強くします。このことをよく覚えておきましょう」とフッ素の有用性を強調した。

続いて福田教授はキシリトールという物質について解説。キシリトールは砂糖と同じくらい甘いのに、むし歯菌に冒されず、歯垢も作らず、酸も作らないから、むし歯の発生を防ぐ効果があることを説明した。

しかし、むし歯予防の基本はやはり食後の歯磨き。改めて歯磨きで歯の清潔を保つことがむし歯予防の基本であり、歯磨きの習慣化が必要であるとした上で、「キシリトールは歯磨きの効果を向上させます」と強調した。

咀嚼状況を確認する2色ガム

次いで、よく噛むことの大切さを学んでいく。その取り組みのため、キシリトール入りの赤と青のガムが子供たちに配られた。そのガムを口に入れ、福田教授の合図で噛み始める。「1、2、3……」と60回まで数えたところでストップ。噛み終わったガムを取り出して色をチェックする。よく噛んでよく混ざっていると紫色になり、よく噛んでいないとまだら色になることを確認する。子供たちに感想を聞くと「歯がすべすべになった」「唾液がいっぱい出た」といった声が聞かれた。

「よく噛むと歯の表面の汚れも取れるし、唾液がたくさん出てきます。唾液の99.5%は水分ですから口の中をきれいにしてくれ、むし歯菌が作る酸の力を弱らせる働きもあります。唾液が出ると、食べ物を飲み込みやすくするし、口の動きをなめらかにしてくれます。ですから、よく噛むことがとても大切です」と詳細に説いた。

授業のまとめとして福田教授は6つの点を指摘した。「歯を磨く」「よく噛んで食べる」「フッ素入りの歯磨き剤を使う」「早寝早起きの規則正しい生活」「ダラダラ食べ、ながら食べなどをしない」「歯磨きでは取り切れない歯垢を取るために、定期的に歯医者さんに行く」の6つ。早寝早起きすると朝食の時間を取ることができ、食べ物をよく噛むと脳の刺激になって勉強にも身が入ることなどを強調した。

給食授業の様子

午前中の授業が終わると、給食の時間。福田教授も子供たちと一緒に、唐揚げや蒸した里芋、杏仁豆腐などを味わった。給食後、子供たちに今度は緑色の咀嚼チェックガムが配られた。授業のときと同様、60回噛んで取り出す。すると、ガムが緑色からピンク色に変色。「えーっ」と子供たちから驚きの声が上がった。

「これは唾液がたくさん出たことを意味します。唾液には口の中をきれいにする働きがありますから、食事をするときも、しっかり噛むことが大切ですね」と噛むことの大切さを改めて強調した。

最後に各クラスから代表2人が集まり、キシリトールの原料となる白樺の木を校庭に植え、「楽しく学ぼう! 歯の健康づくり講座」の授業が締めくくられた。

※フッ素…ここで言うフッ素とはフッ化物。