【大学通信教育課程特集】いつでも、どこでも自分のペースで 大学通信教育で教員免許状を取得!

大学の通信教育課程で教員になろう――。社会人経験を積んだが、新たに教員にチャレンジしたい。自身の教員としての幅を広げるため、上位の免許状に上進させたい。他教科や隣接校種の免許状を取得したい。働きながらでもそんな夢やスキルアップをかなえられるのが、時間や場所に縛られることなく自分のペースで学べる大学通信教育課程だ。

今年度からは、新学習指導要領などを見据えて法改正された「教育職員免許法」「教育職員免許法施行規則」が適用となり、新たな教職課程が実施されている。

大学通信教育課程での免許状取得の主なケースや、法改正による注意点とは何か。通信教育課程で教員を目指している方の体験談なども含め、ガイダンス資料として特集した。

働きながらでも教員への道は開かれている

通信教育課程では普通免許状が取得可能

教員免許状には普通、特別、臨時の3種類がある。そのうち、通信教育課程で取得できるのは普通免許状だ。普通免許状には、小、中、高、特別支援学校、幼稚園、養護、栄養の各教諭があり、それぞれ専修、1種、2種(高等学校教諭の免許状は、専修および1種)に分かれている。

また、大学によって取得できる普通免許状は異なる。自分が希望する免許状や資格が取得できるか、免許取得までの学費、面接授業(スクーリング)の実施方法などに着目して、適した大学を選ぶとよい。近年は「メディアを利用して行う授業」としてテレビ会議式の遠隔授業やインターネットを活用した授業を実施する大学や、教員採用試験対策講座など、サポート体制が充実している大学も増えている。

代表的な免許状取得の方法

免許状取得の方法として、主に次の4つのケースがある。

①新たに教員免許状を取得するケース

▽最終学歴が高校卒業の場合=希望の免許状の取れる大学または短期大学を選び、どの学部・学科に入学するかを決め、「正科生」として入学する。大学卒業の条件を整えると同時に、教職課程の必要科目を履修して、免許取得の所要資格を満たしておけば、卒業と同時に免許状が取得できる。

▽他大学卒業時に教員免許を取得していない場合=出身大学が通信課程での教職課程認定を受けていれば、不足する教職・教科専門科目を、通信課程に入って履修する。出身大学が通信課程認定を受けていない場合は、免許状が取得できる大学通信教育課程に編入学し、免許状取得に必要な教職課程の科目を全て履修登録する。

免許状取得には教育実習を必ず行わなければならない。実習先は自ら探し、受け入れの内諾を得ることが必要だ。その上で、各大学の定める教育実習の受講許可要件を満たす必要がある。

②現在持っている免許状を上位の免許状に上進させるケース

中学校社会科2種免許状を1種免許状にしたい場合などが、このケースに当たる。各都道府県教育委員会の教育職員検定による免許取得の方法だ。教員としての所定の現職経験年数が必要となり、不足していると上進はできない。既に有する免許状を基に、取得後、所定の経験年数と上位免許状取得に必要な科目と単位をそろえる。「科目等履修生」として学習するのが一般的だ。

上位免許状取得に必要な単位・科目は、授与権者である勤務地の都道府県教育委員会規則を確認し、指導を受ける必要がある。教育委員会の指導を受けずに自分だけで決めてしまうと、免許申請時に不適切な履修が指摘され、申請できない場合がある。

③現在持っている免許状を基に、同校種の他の教科の免許状を取得するケース

既に中学校社会科免許状を所持している者が、中学校国語科免許状を取得したい場合がこのケースに当たる。必要な科目や単位を取れる大学・短期大学で、「正科生」または「科目等履修生」として単位を取得し、免許に必要な条件を満たせば、免許状を取得できる。

他教科を取るときは、現有免許状と同じ種か下の種の他教科となる。2種免許状を他教科の1種免許状にはできないので注意が必要だ。

④隣接校種免許状を取得するケース

普通免許状を有し、実務証明責任者の証明を有する者(3年の教職経験により教員として良好な勤務成績で勤務した者)が必要な単位を修得すれば、隣接校種の教員免許状を取得できる。小中一貫校増加などの教育改革の動きを受け、各学校段階間の連携を強化するために設けられた制度だ。

この制度では教職経験を適切に評価することで、修得単位が軽減される。例えば、幼稚園教諭普通免許状を有し、3年以上の実務経験があれば、小学校教諭2種免許状は13単位で取れる。同様に高等学校教諭普通免許状を有し、3年以上の実務経験があれば、中学校教諭2種免許状は9単位で取得することができる。

詳細は(公財)私立大学通信教育協会サイトへ。


注目トピックス
◆2019年度入学から改正後の新法が適応に

これらの免許状取得に関しては、近年の教育職員免許法の改正に伴い、各大学・短期大学の入学コースによって、適応される法的区分(新法・旧法)が異なる。2018年度以前に入学したか、2019年度以降に入学したか、または入学形態により、在学中に履修しなければならない科目が異なる場合がある。特に通信教育課程は弾力的な受講をしている者が多く、自分が経過措置の対象であるのか、などについて、各校で履修指導を受けたほうがよい。必要な場合は、学力に関する証明書(単位修得証明書)の発行基準なども問い合わせておくべきだ。

◆認定こども園法改正に伴う経過措置の延長が決定

認定こども園法の改正によって、新たな「幼保連携型認定こども園」が創設された。これは学校教育と保育を一体的に提供する施設であるため、職員である「保育教諭」は、幼稚園教諭免許状と保育士資格の両方を有するのが原則となっている。

「幼保連携型認定こども園」へ円滑な移行を進めるため、幼稚園教諭、保育士として3年かつ4320時間以上の勤務経験者には、8単位を取得すれば、所持していない免許状が取れる特例制度(経過措置)が設けられている。この単位取得に通信教育課程を有効活用したい。

なお、2019年6月に認定こども園法一部改正法及び教育職員免許法が改正され、幼保特例制度の期間が改正法の施行から5年間であったところ、10年間(2025年3月まで)に延長となった。

◆大学通信教育で取得できる主な諸資格

大学通信教育では、教員免許状以外にも学校図書館司書教諭、図書館司書、社会教育主事、博物館学芸員などの資格も取得できる。

学校は多様な人材求めている

文科省、長谷浩之教員免許企画室長に聞く 通信教育による教員免許取得の意義

日々多様で多くの課題が山積する学校現場。これらの課題に学校が柔軟に対応するには、多様な人材で学校組織を構築することが求められている。その一環として社会経験豊かな人材が教員として活躍することに期待が寄せられている。そこで、社会人が教員免許状を取得できる通信教育の意義について、文科省総合教育政策局教育人材政策課教員免許企画室の長谷浩之室長に聞いた。

――通信教育による教員免許状の取得状況は。

2018年度に全国の大学などの通信教育課程で教員免許状を取得したのは5791人だった。校種別では▽幼稚園4609人▽小学校464人▽中学校243人▽高校313人▽特別支援学校94人。また、養護教諭の免許状も68人いる。

通信教育による教職課程では、社会人で教員を目指している人、現職教員で新たに別の校種や教科の免許状を取得しようとしている人、大学生で通っている大学に希望する教職課程がない人など、多様なニーズを持った人が学んでいる。そういう観点で、通信教育課程は多様な専門性やキャリアを持ち、教職への志のある人が集まっている場だと言える。

――社会人経験のある人が教員を目指すことへの期待は。

教員採用試験の合格者で、民間企業などで働いた経験がある人は、近年では毎年約1500人程度で、全体の約5%を占めている。

学校では今、働き方改革やICT化が進められ、また、特別支援教育や外国人児童生徒への対応ニーズが高まるなど、課題が山積している。予測の難しい時代の変化に対処するには、さまざまな背景を持った人で構成された組織でなければ難しい。実際に、今年4月に中教審に諮問された「新しい時代の初等中等教育の在り方について」でも、多様性があり、時代の変化に柔軟に対応できる教師集団に向けた検討を求めている。

さらに、教員の年齢構成では30~40代が少なくアンバランスになっており、学校運営上の課題となっている。

こうした状況を踏まえると、今後一層、社会人経験の豊富な人が教員として学校現場に入る必要性は増すだろう。また、教員養成学部ではない学部で学んだ学生が教員になることで、その専門性を生かした授業の展開なども期待できる。

これからの学校運営でも、多様なバックグラウンドを生かした一つのチームとして組織をまとめていくことが、管理職には求められている。

――学校への多様な人材確保策は。

その方策の一つとして、文科省では2020年度予算案の概算要求で、教職に関するリカレント教育プログラムの講習開発を盛り込んでいる。

大学で教員免許状を取得したものの、さまざまな理由から教職を選ばずに別の職業に就いている人は多い。特に教員採用試験の倍率が高かった頃に「本当は教員になりたかったがなれなかった」という人は一定数いると見込まれる。こうした人には、ぜひもう一度、教員にチャレンジしてほしいと考えている。

そこで、教員免許状を取得したが民間企業に就職するなどして、一度も教員としての勤務経験がない人を対象に、教員への転職や学校教育への参画を支援するため、今の学校現場で求められている知識・技能を学べる講習を全国3大学程度をめどに開発する。

――他の職種にはない教職の魅力とは何か。

教員の仕事が大変であることは間違いないが、他の職種であっても大変なことは多いだろう。仕事とは、大変だからこそ楽しいことも多いのではないか。

特に教員は、子供の成長に直接関わるだけでなく、教え子が社会に出た後もずっと「先生」と呼んでもらえる。これは、学校の教員でしか味わえない魅力だ。

ぜひ、さまざまな背景を持った方々にこれまで培ってきた経験や専門性を生かして教員に挑戦してほしい。

社会経験を積んだ後に教員をめざしました
玉川大学 正科生3年次編入学 小学校1種免許状取得コース 北村 章裕

初めて教員の仕事を意識したのは小学校6年生の時。担任がとても素晴らしい方で、自分もあんな先生になってみたいと漠然と考えていました。その思いが蘇ったのは、大学時代に中国に留学し、インターンシップで日本語教師の仕事を体験したときでした。

ただ、その時点で自分が「教える」仕事にふさわしい人間とは思えませんでした。もっと世の中のことを知り、社会人としての経験を積んでからあらためて教員にチャレンジしようと考え、大学卒業後、海運会社、イベント運営会社などさまざまな仕事を通して世の中を捉える目を養いました。

そして30歳が近づいた時点で、玉川大学の通信教育課程に入学。ネットで調べてみると、「スクーリングの授業が面白い」「厳しいけれど知識が身につく」などの評判を目にして、「ここなら自分のためになるはずだ」と確信したからです。その確信は当たりました。特にスクーリングは実に楽しく充実した学びの場です。かつて大学の100分授業を長く感じたことがウソのように先生の話に集中できます。

たとえば「国語科指導法」という授業では人前で話すことの意味や大切さについてあらためて考えさせられました。教育実習で生かせることが多いと感じ、一言も聞き逃せないと思いました。また、グループワークやアクティブラーニングを取り入れた授業に「教育の玉川」の真価を感じています。

教育実習では、最初は子供たちとのコミュニケーションが少々カタくなりがちで戸惑いもありました。しかし、こちらから積極的に声をかけていくうちに徐々に打ち解けられたと思います。働きながらの学びは決して楽ではありませんでしたが、計画的に単位を修得し、来年度から小学校の教壇に立つ予定です。これからも玉川での学びを糧に精進していきたいと思います。

外部リンク:玉川大学通信教育課程

社会人としての成長が教員志望の契機
明星大学教育学部教育学科 正科・課程履修生 小学校教員コース 小林 未奈

教員への道を意識するようになったのは、日々ニュースに目を通す中で、特に子供や学校に関する話題が気になり始めたからです。

共働きの夫婦の増加、貧困や格差、ITやSNSによる弊害など、子供を取り巻く環境は大きく変化。加えて、教員のモラル、労働環境、モンスターペアレンツなど、学校に関するさまざまな問題点が浮き彫りになっています。こうしたニュースを見て、「自分だったらどうするか?」と自問自答を繰り返すうちに、少しずつ使命感が膨らんできました。

そんなとき、通信課程で教員免許状を取得できることを知ったのです。それから半年ほど一人で思い悩みましたが、「未来のために、子供たちのために、私にできることがあるはずだ」と信じ、明星大学通信教育部への入学を決めました。就職・転職を経て、社会人としての成長を実感できていたこと。また、職場で新人を育成する経験を積み、手応えを感じていたこと。これらが、教員への道を決意する後押しになったと思います。

1年目はフルタイムで働いていましたが、自宅学習がメインのため、仕事と勉強を両立できました。自分で計画を立て、自分のペースで進めることができる点が魅力です。働きながら学ぶ場合、仕事の繁忙期も踏まえた計画が必要です。先手を打つように計画を立てれば、気持ちにゆとりを持って学習を進められます。

レポート作成はたいへんでしたが、先生方のコメントに励まされました。丁寧に改善案を提示してくれたり、文章から苦労の跡を汲み取ってくれたりと、お心遣いがうれしかったです。

今は自分の母校で教員ボランティアの仕事をしており、現場の空気を肌で感じるようにしています。小学生のときに憧れた教員になるのに、少し回り道をしてしまいましたが、そこで得た経験を生かして、立派な教員になりたいと思います。

外部リンク:明星大学通信教育部