小学校英語教育のヒント 公文教育研究会のEICの取り組みから探る

「英語で考える」ために

小学校を皮切りに今年度から新学習指導要領の全面実施が始まった。これに伴い、5~6年生を対象に教科として「外国語(英語)」がスタートした。この「新教科」だが、「前向きに、意欲をもって学んでもらうには、どのように授業を展開し、教えたらよいだろうか」と小学校教員にとって、悩みのタネになっている面もある。そのような中、公文式の学習教室を展開している公文教育研究会が実施している英語教育プログラム「イングリッシュ・イマージョンキャンプ(以下EIC)」が小学校の英語教育に大きなヒントを与えるものとして注目を集めている。そこで、EICの企画・運営をしている同社広報部グローバルネットワークチームのリーダーを務める小椋茂生氏、チームメンバーのジェーン・チョンプーウォンポーン氏、同社広報部の降矢裕美氏の3氏にプログラムの目的や小学生への英語教育のポイントなどをうかがった。

【協賛企画/公文教育研究会】

英語は経験のための手段

EICは小学3~6年生を対象にした教育プログラムである。世界各国から集まったキャンプリーダーやスタッフたちと英語を通して6日間の共同生活を送る、という内容を主軸としており、今年で20周年を迎える。

EICでのワークの様子

降矢氏はプログラムの目的について、「英語を使ったコミュニケーションを体験することにより、自己肯定感や多様な価値観を獲得できるような活動を目指しています」と話す。英語をさまざまな学びを経験するための「手段(英語を使って何をするのか)」と捉え、英語を活用した先に得られる多様性などを体感することに目を向けている。

EICの立ち上げ当初と現在について小椋氏は、「英語を楽しむことから英語を使って考えることに進化してきています。ここ数年のEICでは環境問題についても意見交換が行われるようになっています」と語る。「英語で考える」の育成に成功しているのだ。

EICのキャンプリーダーを長年務めているジェーン氏は、「参加者の中には人見知りのため、なかなかなじめない子供もいます。そんな子も5日目くらいになるとチームワークを覚え、積極的にコミュニケーションを取るようになります。キャンプ中は毎日英語で感想を書いてもらいます。さすがに6日間で急に文章が上達する子供は稀(まれ)ですが、徐々に書くことへの抵抗がなくなり、『キャンプリーダーの言っていることが聞き取れた』と英語に対するポジティブな感想が増えてきます。そして、自信に満ちた表情をするようになるのです」とスキルだけではなくメンタル面の成長を感じているそうだ。

「目の色が変わる体験」をさせる

小学生の英語教育に関する留意点についても聞いた。

小椋氏は「語彙(ごい)などの基礎学習も大切ですが、そこに動機付けをプラスできるかどうかが重要です。リアルな設定の中で子供たちが習った語彙で、何とか伝わるような経験(ジェスチャーも含め)をさせることです。『学習のための英語』ではなく『使ってみるための英語』を意識させることが大切です」という。

キャンプリーダーとの交流

さらに、英語学習のモチベーションを高めるために必要な要素として、「子供たちの目の色が変わる体験をさせること」と強調する。

具体的には「EICのキャンプリーダーは各国の留学生が担ってくれている場合が多いのですが、彼らとのコミュニケーションを通して、子供たちに『その国の文化や慣習などをもっと知りたくなった』という気持ちを芽生えさせられるかが大切です。自分の興味関心や世の中とのつながりを意識させることも大切でしょう」と語る。

加えて、「学校現場でもZoomやSkypeを使って海外の人とコミュニケーションをとるケースもあると思いますので、このような体験は可能ではないでしょうか」と学校現場でも「子供たちの目の色が変わる体験」をさせるきっかけはあると語る。

考える力を高める活動を実現
グローバルネットワークチームリーダーの小椋氏

新学習指導要領の全面実施に当たり小椋氏は、「小学校の外国語(英語)教科化は、英語を使えば考える視野が広がり、考える力も強化できます。これは新学習指導要領が示す『主体的・対話的で深い学び』につながると思います」と評価しつつも、「EICの本質である『子供たちが考える力を高める活動』を今まで以上に大事にしていきたい」と「知識偏重」にならないように心掛けているそうだ。

EICには20年の実践の積み重ねがあるが、「この間、培ってきた経験やノウハウが、間接的にでも学校現場の先生たちが新学習指導要領に対応するためのヒントになればよいと思っています」と述べた。

詳細はhttps://www.immersioncamp.com/home/abouteic/