「新しい生活様式」を支える基本的な生活習慣の確立に向けて

文部科学省総合教育政策局地域学習推進課家庭教育支援室室長 唐沢 裕之

子供たちの基本的な生活習慣の重要性

近年、子供たちの生活習慣の乱れが、学習意欲や体力、気力の低下の要因の一つとして指摘されていますが、子供たちが健やかに成長していくためには、十分な睡眠、バランスのとれた食事、適切な運動など、規則正しい生活習慣が大切です。

子供たちの基本的な生活習慣を社会全体で推進するため、2006年度に「早寝早起き朝ごはん」国民運動を開始してから15年目を迎え、この運動は、子供たちの生活習慣の改善に向けた全国的な取り組みとして、社会に広く浸透してきました。

本運動の推進組織である「早寝早起き朝ごはん」全国協議会の「『早寝早起き朝ごはん』の効果に関する調査研究会」(委員長・明石要一千葉敬愛短期大学学長)が実施した「『早寝早起き朝ごはん』の効果に関する調査研究」(中間まとめ)によると、子供の頃に「早寝早起き朝ごはん」をよくしていた人ほど、大人になった現在も規則正しい生活をしている人の割合が高く(図1)、また、大人になった現在の自尊感情(自分のことが好きである)(図2)や規範意識(電車やバスに乗ったとき、お年寄りや身体の不自由な人には席をゆずろうと思う)(図3)が高い人が多くなっており、基本的な生活習慣としての子供の頃の「早寝早起き朝ごはん」の重要性が伺われます。

子供たちの生活習慣の確立に向けた取り組み

「早寝早起き朝ごはん」国民運動の広がりを受けて、全国のさまざまな地域において、学校とPTAが連携した取り組みや、地域住民を巻き込んだ取り組み、さらには、企業とタイアップした取り組みなど、学校・家庭・地域社会が連携した多様な活動が展開されています。

文科省では、子供たちの「早寝早起き朝ごはん」をはじめとする基本的な生活習慣の確立に向けて、子供やその保護者、さらには、教員などの指導者に向けた資料を作成し、学校や家庭における子供たちの生活習慣づくりに関する普及啓発活動を進めています。特に、小学生やその保護者向けには、人気のアニメキャラクターとタイアップし、親子で分かりやすく学べるリーフレットを作成し、文科省のウェブサイトに公表しています。このリーフレットは、小学校における就学時健診など、保護者が集まる機会に活用いただいています。

また、全国各地で取り組まれている「早寝早起き朝ごはん」国民運動の優れた活動について、文部科学大臣表彰を隔年で実施(20年度も実施予定)しています。表彰された活動の概要については、文科省のウェブサイトに事例集として掲載していますので、地域や学校などで関連の活動を行う際の参考にしていただければ幸いです。

「新しい生活様式」を支える基本的な生活習慣

SNSやスマートフォンが子供たちにも急速に普及するなど、子供の育ちを巡る環境が変化する中、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を受けて、子供たちも、放課後や週末などに自宅での生活を余儀なくされるなど、外で遊ぶ機会や身体を動かす機会が減ったことにより、夜寝付けない、朝起きられないなど、生活習慣の乱れが懸念されています。

また、子供たちに基本的な生活習慣を身に付けさせる上では、家庭教育が重要な役割を担いますが、共働き家庭の増加や地域のつながりの希薄化など、家庭を取り巻く環境の変化に伴い、子育てに悩みや不安を持つ家庭が増加するなど、家庭教育を行う上での課題も指摘されています。

こうした中、子供たちの基本的な生活習慣の乱れを個々の家庭や子供の問題として見過ごすことなく、社会全体の問題として取り組んでいくことが重要です。

文科省としては、次代を担う子供たちが、生涯にわたってたくましく生き、活躍できるよう、引き続き「早寝早起き朝ごはん」国民運動を推進するとともに、地域の実情に応じた家庭教育支援の取り組みや、学校と家庭が連携した食育の取り組みなどを通じて、子供たちの基本的な生活習慣の確立に向けた取り組みを進めていきます。

今般のコロナ禍で求められる「新しい生活様式」を支え、子供たちの健やかな成長を促す「早寝早起き朝ごはん」をはじめとする基本的な生活習慣の確立に向けて、全国のさまざまな地域における子供たちの育ちに関わる学校・家庭・地域社会の関係の皆様方には、引き続き、ご支援やご協力をいただきますよう、よろしくお願いいたします。