探究で突破せよ! 学び合う喜びを教員と生徒で 神田昌典氏が講演

社会起業家を育成する学習を

 探究で企業と学校の連携化を図り、地域生活・幸福基盤の構築を――。探究を突破口に学びの変革で世界をより良いものにする活動に取り組んでいるユームテクノロジージャパン㈱(以下UMU社)は、「未来の先生フォーラム2021」(8月21日~22日、オンライン)で「神田昌典氏特別講演『探究で突破せよ!』探究学習を突破口に教育の変革を 社会起業家を育成する学習を考えよう」をテーマとするセッションを開いた。

 講演者は、経営コンサルタント・作家・日本を代表する国際的マーケターである神田昌典氏(UMU社顧問)。神田氏は、探究教育を深く理解することで、ビジネスにおいてもスムーズな変革=より良い社会を築くことができるとし、2025年の大阪万博を契機として、探究教育により地域経済を再成長させる仕組みについて言及した。

企業と生徒でプロジェクト立案

 探究学習は、その基本とされている「課題設定」「情報の収集」「整理分析」「まとめ・表現」という探究の過程が、マーケティングの現場では日常的に行われているPDCAに当てはまるなど、ビジネスとの共通点は多い。探究学習で取り上げられるのは、SDGsに代表されるような内発的動機に基づくプロジェクトであり、この点においてもマーケティングと探究学習には深い関連性がある。

 「2022年より導入される高等学校での総合的な探究の時間が、教育現場に浸透するには数年はかかると考えると、2025年の大阪万博は絶好の機会。世界中に日本の科学技術をPRする大阪万博は、大企業だけでなく地方の中小企業も、自社の科学技術、地域の特色や文化などをアピールできる機会とするべきだ。企業は地元の生徒・学生と共に探究を行い、ビジネスコンテストなどを通してその地域にふさわしいプロジェクトを生み出してはどうか。その成果を紹介する場として、大阪万博は最もふさわしい」と神田氏は語る。

教育×行政×企業×地域がそれぞれのリソースを生かすことが重要

 これにより、学校と企業が連携し地域の優秀な学生を育てることができるため、首都圏への人材流出を防ぎ、地方創生の効果も狙えるという。株式投資型のクラウドファンディングで資金を集め、探究学習から生まれたビジネスアイデアを事業化することも可能だ。事業化の成果によっては経済的な理由で大学進学を諦めざるを得なかった優れた学生に、良質な教育を提供することもできる。探究教育を突破口として、社会課題を解決し企業と学校が共に幸福基盤の構築を目指す仕組みであり、「大阪万博はその象徴的なイベントして位置付けることができるのではないか」というのが神田氏の提言である。

大学・高校でビジネスコンテストを開く

 2021年7月には神田氏が経営するアルマ・クリエイション㈱が大阪万博の共創パートナーに認定された。今後、全国の大学・高校の起業クラブや、探究教育の指導法に悩む教員を支援しながら、大阪万博に向けて大学・高校で毎年ビジネスコンテストを開催していく予定だ。

 また、神田氏が理事を務めるNPO法人学修デザイナー協会では、全ての世代の教員が知識や経験を共有し、共に学び合うことができる参画型学習プラットフォームPABLOS(Project and Ability Based Learning Online School)をUMU社と共同開発し、無償提供する。

 サービスの1つとして、ドローン制御技師、Vチューバ―、データサイエンティストなどこれからの時代に活躍が期待される職業を紹介する「JOB探求ライブラリー」などの映像コンテンツを配信予定だ。

ビジネスとの連携で教育DXを

 神田氏は、「ICT教育は教員の仕事を単に楽にし、効率化授業を行うためだけに存在するのではない。ICTにより、教え、学び合う喜びを教員と生徒・学生が分かち合えることこそが、教育の本質ではないか。デジタル技術を教育現場においてもシンプルに使うことで、理想の未来を手に入れることが可能になるだろう。マーケティング業界で行われてきたデジタル変革は、教育DXへのヒントにもなるはずだ。そのことを全てのビジネスパーソンにも理解してほしいし、教育とビジネスの分断をなくして探究学習を必ず成功させたい」と展望を語り講演をまとめた。

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