1人1台端末環境での 学習者用デジタル教科書・教材の効果的な活用 新潟市立味方小学校

 個別最適化を図る上で大きな利点――。教育現場で1人1台端末環境での学習が全国的に開始されて約1年がたち、今後、授業の中心的な役割を担うのが学習者用デジタル教科書・教材である。文科省も2024年度に向けて、学校現場における学習者用デジタル教科書の本格的導入促進の方向性を示している。そのような中、21年度から学習者用デジタル教科書・教材の活用を始めている新潟市立味方小学校(小林由希恵校長、児童数231人)を取材した。

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授業支援アプリとコンテンツを連動させ効果的に活用

 進藤豪人外国語専科教員が担当した6年1組(21人)の外国語科の授業。単元は「英語を聞いて『ガーナ』についてくわしく知ろう」――。学習者用デジタル教科書・教材に収録されているガーナ共和国について会話をしている音声を児童に聞き取らせながら同国について理解を深める内容で、授業支援アプリやコンテンツなどを連動させながら工夫を凝らした授業が展開された。

 聞き取る活動では、会話の音声から同国について知る上でポイントとなる単語を黒板に書き出し、聞き取るための方向性を示した。次いで、ポイントとなる単語に関連した会話箇所の穴埋め英文を、授業支援アプリを用いて児童のiPadに配信し、「英語でもカタカナでもよいので、聞き取れた単語を埋めてみよう。分からなかったら周りの人とも相談してみよう」と指示した。

デジタル教科書の利点を生かした聞き取る活動

 同国について理解を深める探究活動では、「なぜ、提示した単語がポイントになるのか」を理解させるため、学習者用デジタル教科書・教材にある動画や映像コンテンツの活用を勧めるなどのヒントを示し、児童の思考をサポートしていく。また、授業内容の振り返りを授業支援アプリでまとめさせ、児童の気付きや考え方を全体で共有。他者の考えを知ることで、児童の思考をブラッシュアップさせた。

学習方法を選択する機会が増え、自分のペースで学ぶ

 21年度に学習者用デジタル教科書・教材が同校に導入されてから授業の進め方が変わったという進藤教員は、学習者用デジタル教科書・教材の利点について「児童が繰り返し音声を聞いたり、動画を視聴したりするなど、学習方法を選択できる機会が増えたことは大きな利点と考えている。

 例えば、教師中心の一斉授業の場合、聞く活動の回数も限られ、授業のポイントを児童一人一人に合わせていくことが難しかった。教師が示す授業のポイントを児童に合わせ、個別最適化を図る上でも、大きな利点があると言える。また、1人1台端末環境が整ったことで、動画や授業支援アプリを含め多様なコンテンツが扱えるようになり、児童に合った授業が展開できるようになった。児童が授業内容で分からないことや困っていることに対しても、事前に解決方法につながる情報を提供できるようになった。児童のペースで学びやすくなり、それが学習意欲と自己肯定感の向上につながっていると感じている」と語る。

 また、個別最適化を図る効果的なツールとして学習者用デジタル教科書・教材を活用する際のポイントについては、①単元のゴールを明確にして児童と共有すること②そのために何が必要なのかを相互理解すること③課題解決のために必要なヒント(活用したほうが良いと思われるコンテンツなどの情報提供も含めて)を伝えておくこと――などを指摘した。

学習者用デジタル教科書・教材を生かすには教師の力が重要

 新潟市は学習用端末利用に関して「学びを深め、学校生活を豊かにするために活用します」「人が嫌がることや人を傷付けることはしません」というGIGA宣言を掲げ、1人1台端末環境整備を推進。現在、市立の全小中学校にiPadが1人1台配備され、家庭への持ち帰りも認めている。

単元の狙いを示し理解を促す

 また、同市教育委員会は「GIGA SUPPORT WEB」を開設し、市内全ての教職員が安心して1人1台端末を活用した授業を実施できるようサポートしている。

 そのような中、味方小学校のICT活用に関して小林校長は「iPad導入に関しては当初、不安や抵抗感のある教職員もいた。そこで、毎週金曜日に『金曜GIGAショー』と銘打った15~20分程度のミニ研修を実施。この研修において教職員は、ICT機器の取り扱いの基本から学習者用デジタル教科書・教材やコンテンツの活用まで日々研鑽を積み重ねた。そのようにして『これなら使えそうだ。できる』と自信を持って授業に臨むことができるスキルを身に付けたことが今につながっている」と語る。

 学習者用デジタル教科書・教材に関しては、「どんな時でも開くこと、見ることができ、学べることが強みである。だが、児童が今後、どのように使うかはこれからの課題であり、教師が果たす役割は大きいと言える。学習者用デジタル教科書・教材の効果的な活用については、授業実践の中で教師がエビデンスを積み重ね、教師間で情報を共有しながら活用方法を考え、いかに児童の学習意欲向上へと導くことができるかが重要になる。だからこそ、教師の基本である教材研究の重要性は今も変わらないと感じている」と思いを述べた。

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