ブラウザだけで授業がデジタル化 活用が広がる「ClassPad.net」

 「GIGAスクール構想」によるICT化の波は、小中学校だけでなく、高校にも押し寄せてきている。とはいえ、急激なデジタル化に対し、「端末を授業でどう使えばよいか分からない」などと、戸惑いを感じている教員も少なくない。そんな中、教員によるプリントの配付や提出、児童生徒による学習活動がウェブブラウザ上から手軽にできる『ClassPad.net』(カシオ)の活用が広がり始めている。電子辞書や関数電卓で圧倒的シェアを誇る同社が、それらノウハウも生かしながら開発した『ClassPad.net』とはどのようなものなのか。企画担当者に話を伺った。

【協賛企画:カシオ計算機株式会社】

ブラウザを使うだけで普段の授業がデジタル化

 「GIGAスクール構想」による端末の整備が急ピッチで進む一方、その活用度合いについては自治体や学校によって格差がある。現状では、端末をほとんど使わず、黒板とチョークを使った従来型の授業を続けている教員も少なくない。原因の一つに、ICTに対する「難しい」「面倒くさい」などのイメージがあり、そうした敷居の高さが、多忙な学校現場での普及を妨げているとも言われている。

 そんな中、デジタルが苦手な教員でも、普段の授業で手軽に活用できるようにと開発されたのが、カシオの『ClassPad.net』だ。商品名に「net」とあるように、ウェブ上で活用するクラウド型のサービスで、アプリを端末にインストールする必要はない。普段使っているブラウザからログインするだけで、教員が課題を配付・回収したり、生徒が提出したりできる。

 「コンセプトは『生徒の机の上のデジタル化』。複数のアプリを立ち上げる必要がなく、『ClassPad.net』だけで普段の授業が丸ごとデジタル化される。プリント配付・回収の時間、板書の時間なども短縮され、授業を効率良く進めることができる」と、教育BU関数戦略部ICTビジネス開発室リーダーの浅沼知也氏は話す。

 もちろん、単に授業がデジタル化・効率化されるだけではない。同社には、年間販売台数1位(※)を誇る電子辞書「EX-word」、世界的シェアを誇る関数電卓などの商品があるが、これらの機能の一部も『ClassPad.net』には搭載されている。そのため、各教科の学びをより深いところまで掘り下げ、知識・技能の着実な定着はもちろん、思考力の育成を図ることもできる。「新しい学習指導要領では、各教科での探究的な学び、教科横断的な学びを通じて思考力や表現力を伸ばすことが求められている。授業をそうした方向にシフトさせる上でも、『ClassPad.net』の諸機能は役に立つものと考えている」と浅沼氏は話す。

『ClassPad.net』活用の具体的な流れ

 授業での利用方法の一例は、次のようなものだ。まず、教員も生徒もトップ画面からログインし、デジタルノートを開く。ここで、教員がプリントのかわりにあらかじめ用意したPDFファイルを「ふせん」として「配布」すると、全生徒の画面にそれが届く。「ふせん」に板書内容(画像1)を記載しておけば、教員はそれを使って説明することができるし、課題(画像2)を記載しておけば、生徒に取り組ませて提出させることもできる。提出された課題は教員の管理画面に一覧表示(画像3)され、提出状況が一目で分かる。また、提出された課題の一つを選んで全生徒に「配布」すれば、教室全体で共有することもできる。「配布」機能は、全生徒に配布することもできれば、特定の生徒だけに配布することもでき、いわゆる「指導の個別化」や「学習の個性化」を図ることも可能だ。

 『ClassPad.net』最大の強みは、ここに「オンライン辞書機能」と「数学ツール」が搭載されている点だ。例えば、課題に取り組む中で分からない言葉があったとき、画面左にある「EX-word」ボタンを押せば、オンライン辞書にアクセスできる。高校向けには、「和英」「英和」「国語」「漢字」などの他に、百科事典や数学の公式集、『CNN ENGLISH EXPRESS』(リスニング教材)など22コンテンツが収録されている。調べた用語は、ワンクリックで「ふせん」にして、デジタルノート上に貼り付けることも可能だ(画像4)。さらに、辞書の説明の中に分からない用語があれば、ジャンプ機能でその用語を調べられる。

 『ClassPad.net』のオンライン辞書機能は、別画面を起動することなくシームレスに活用できる。加えて、信頼性の高い情報にアクセスできるので、安心して学習活動を進められる」と、浅沼氏はそのメリットを話す。

探究的・教科横断的な学びで威力を発揮する

 一方の「数学ツール」には、「グラフ」「図形」「統計」などの機能が搭載されている。例えば、グラフ機能では式を入力して瞬時にグラフを描画することができ、式や数字を変えれば、グラフ形状の変化をビジュアル的に説明・理解することもできる(画像5)。また、統計機能では統計値を入力してヒストグラムや折れ線グラフなどを簡単に作成することができる。さらに「図形描写」では、さまざまな図形を描写したり変形させたりすることで、例えば「三角形の内角の和は180度」などの定理を視覚的に理解することができる。

 これらの機能は、カシオが電卓の開発によって長年蓄積してきたノウハウが存分に生かされた形だ。

 「数学ツール」は、数学の授業はもちろん、2022年度から高校でスタートする「総合的な探究の時間」や各教科での探究活動でも活用し得る。例えば、地球温暖化をテーマにしたプロジェクト学習をする場合、生徒たちが地球の平均気温の変化を統計グラフで表示したり、今後の見通しを「関数計算」でシミュレーションしたりすることができる。また、その過程で分からない用語があれば、「オンライン辞書機能」で調べ、「ふせん」で貼り付けることもできる。

 「カメラ機能を使って撮影した写真を貼り込んだり、ウェブサイトやYouTube動画、Googleマップのリンク先を貼り込んだりすることもできる。疑問が生じたら、その場ですぐに調べることができるので、生徒たちの学習意欲も高まる」と浅沼氏は話す。

2022年度には小中学校、大学向けのコンテンツも提供開始

 2021年4月に高校向けのベータ版が提供された『ClassPad.net』だが、1年もたたないうちに導入校が600校を超えるなど、活用が広がり続けている。同年9月にVer.1.0をリリース後も導入校は増えており、2022年度には高校向けサービスのバージョンアップを図ると同時に、小・中学校向け、大学向けのコンテンツも提供開始予定だ。小学校向けは、「和英」「英和」「国語」「漢字」の他に、追加で「百科事典」を搭載することも可能である。

 「より多くの児童・生徒・学生に『ClassPad.net』の利便性を感じてもらいたいと考え、小・中学校、大学向けにも拡充することを決めた。小学生の場合は、ネット情報の真偽を判断するのが難しく、その意味でも本商品の良質なオンライン辞書機能が役に立つと考えている」と浅沼氏は話す。

 現在、高等学校のICT化を巡っては、「端末の持ち帰りを認めるか認めないか」「公費負担かBYOD(保護者負担)か」などの点で、各自治体の方針が揺れている。そんな中、『ClassPad.net』は1アカウント3台まで活用できるクラウド型サービスのため、運用方針に関わらず不自由なく活用できる。例えば、学校ではタブレット端末から、通学時は自前のスマホから、帰宅後は自宅のパソコンからログインして学ぶことも可能だ。

 「ICTの本格活用は、まだ始まったばかりで、現場も模索段階にある。今後、弊社のネットワークを駆使して現場の声を拾い上げながら、さらにサービスの利便性を高めていきたい」と浅沼氏は話す。

「ClassPad.net」公式サイト

授業例

(※)全国主要家電量販店・パソコン専門店・ネットショップ2643店のPOS実売統計/集計対象期間:2021年1月~12月 BCN調べ

[教育新聞ブランドスタジオ制作]

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