教員や子供が安心して使えるICT環境の整備 「問い合わせ」への円滑な対応が必須

 全国の小中学校に1人1台端末が導入されてから1年以上がたった。「GIGA2年目」となる今年度は、より多くの授業でICTを活用し、学びの充実を図っていくことが期待されている。だが、全国的な状況を見ると、端末を日常的に活用している学校とそうでない学校との間で、少なからず格差が生じている。ICTの活用を広げていくために何が必要なのか、行政に求められる学校の環境整備の在り方に迫った。

【協賛企画:株式会社YEデジタル】


ICT活用頻度には大きな格差が生じている

 「GIGAスクール構想」の推進により、国際的に後れを取っていた日本の学校のICT環境は、一躍トップクラスに躍り出た。だが、活用状況に焦点を当てると、また違った様相が見えてくる。

 今年1月、株式会社JMCが12自治体、1437名を対象に実施した「GIGAスクール構想に関する意識調査」では、教科指導における端末の活用頻度について「毎日(1日のうち4時間以上)」「毎日(1日のうち1~3時間)」と回答した教員が合わせて46%に上った一方で、「週1~3回程度」が32%、「月1~3回程度」が11%と、日常的な活用には至っていない教員も多いことが明らかとなった。さらに「年に数回程度」「活用していない」も合わせて11%に上るなど、ICTの活用に大きな格差が生じている状況も浮き彫りになった。

 活用を阻害しているものの一つは、現場の多忙さだ。上記調査でも「課題として感じていること」として、多くの教員が「研修や自己研鑽の時間の不足」(46%)、「準備時間がかかる/どれを活用すればよいのか分からない」(43%)などを挙げている。その一方で、「操作方法が分からない/操作がしづらい」(33%)、「ICT支援員等人的サポート・体制の不足」(30%)を挙げる教員も多く、サポート体制の不十分さがあることも分かった。

 こうしたデータを見ても、活用を「現場任せ」にせず、適切なサポート体制を整えていくことが行政サイドには求められている。

行政の手厚いサポートがあって活用が広がっていった

 端末の活用が進んだ自治体や学校は、どのような状況にあるのか。熊本市の中心街にある熊本市立五福小学校(生徒数262人)では、1人1台端末を活用した授業が日常的に展開されている。「教員が特に指示をしなくても、子供たちは必要な場面が来ればごく自然に端末(iPad)を活用している。ノートや教科書と同様、学びに欠かせない『文房具』の一つとなっている」と本田裕紀校長は話す。

 創立147年の歴史を誇り、地域とのつながりの強い同校では、全学年の児童が「街」をテーマにしたPBL※に取り組んでいるが、そうした学習活動においてもあらゆる場面で端末が活用されている。

 教員もICTの活用に意欲的だ。以前は電子黒板すら使いたがらなかった教員が、今では幅広い教科でICTをフル活用しているようなケースもあるという。そうした変容は、どのようにしてもたらされたのか。「活用が広がった要因は多岐にわたるが、その一つとして教育センターやICT支援員による手厚いサポートが挙げられる。特に導入初期の頃は、端末の初期設定や年次更新作業、トラブル対応などにおいて手厚いサポートがあった。そのおかげで、教員は安心して活用することができた」と本田校長は話す。

 同市は、端末が整備された2020年度末までに19人ものICT支援員を配置し、各校を巡回する体制が整えられた。また、教育センターには電話相談の窓口も設けており、教員は何か分からないことや機器トラブルなどがあれば問い合わせをすることができる。こうした手厚いサポートもあって、ICTの活用が広がっていった、と本田校長は話す。

 熊本市では児童生徒が端末を持ち帰り、家庭学習等においてもフル活用している。そのため、家庭への連絡事項・配布物なども、端末を介して行われるケースが多い。「もちろん、教員の勤務時間などを考慮し、夜間や休日の対応は行っていない。そうした配慮は、管理職が適切に講じていく必要がある」と本田校長は話す。

 今後、端末の持ち帰りが全国に広がれば、学校と家庭が恒常的につながった状態となる。その際、どのような運用ルールを敷くかは各自治体にとって課題の一つとなりそうだ。

窓口の一本化により、安心してICTを活用できる

 このように、ICTの活用を広げるには教員が安心して活用できるようサポート体制を構築することが鍵となる。現に文科省も、「GIGAスクール運営支援センター」の早急な整備を求めている。一方で、各自治体が熊本市のように、多くの支援員を配置して手厚くサポートしていくのは容易なことではない。現状、多くの教育委員会は人手・予算などのリソース不足もあって、対応する余力がない現状を抱えているからだ。

 そんな中、YEデジタル社が2021年4月にリリースした「スクールコンタクトセンター」は、各自治体が限られたリソースの中で、センターが担う業務のスリム化を図れるサービスとして注目を集めている。

 「スクールコンタクトセンター」が担うのは、支援業務の中でも煩雑なトラブル発生時の問い合わせ対応だ。学校では日々「ネットにつながらない」「キーボードの入力がおかしい」「パスワードが分からなくなった」などのトラブルが発生しているが、そうした際に「スクールコンタクトセンター」が電話とWebフォームで対応してくれる。対応は端末の納入事業者などとも連携しながら行われるため、窓口が一本化される。そのため、現場の教員は「どこに問い合わせるか」で迷うことがなくなる。加えて、解決に時間がかかるトラブルについては、対応上状況をWeb上から確認することもできる。寄せられた相談はデータベースとして蓄積・管理されるため、教育委員会として業務改善に生かすことも可能だ。

端末の持ち帰りもしやすくなる

 昨今、端末の持ち帰りを許可するか否かで、多くの自治体が頭を悩ませている。家庭学習での有効活用を考えれば持ち帰らせたいところだが、関係者の中からは「トラブルが発生した時の対応が不安」との声も聞こえてくる。こうした状況を踏まえ、「スクールコンタクトセンター」では、家庭からの問い合わせやBYOD(Bring Your Own Device)端末の問い合わせに対応するオプションメニューも用意している。「例えば、夏休みなどの長期休業期間中にも子供たちが端末を持ち帰って、安心して家庭学習に活用できる。教員がトラブル対応で追われるようなこともなくなる」と、同社マーケティング本部事業推進部の野村茉由氏は話す。

 冒頭で述べた通り、学校の多忙化を解消し、教員が安心して端末を活用できる環境を整えていくことが、ICTの活用を広げる上では不可欠だ。先進自治体との「格差」が広がらないようにするためにも、行政はこうしたサービスの活用も視野に入れながら、学校のICT環境の整備を図っていくことが求められる。

※Project Based Learningの略。児童生徒が自ら課題を発見し、仲間と協働しながら解決していく学習活動。

スクールコンタクトセンター

(教育新聞ブランドスタジオ制作)

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