教育活性化部門 秋田県大館市教育研究所【第13回博報教育フォーラム】

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キャリア教育を深め郷土愛が育つ

秋田県大館市教育研究所

「子どもと仕事・地域・未来をつなぐ『子どもハローワーク』」をテーマに発表したのは、秋田県大館市教育研究所の山本多鶴子所長。

同市では高卒時に約7割が離郷する。そこで5年前から、郷土に生きる基盤を培う「ふるさと教育」(郷土愛)と、自らの人生の指針を描く「キャリア教育」(夢や目標、勤労・職業観)を融合して「大館ふるさとキャリア教育」を掲げた。「大館盆地を教室に、市民一人ひとりを先生に」をコンセプトに、子どもたちがふるさとの「ひと・もの・こと」に直接ふれて自立する気概と能力を育んでいくのを図った。

市内全小・中学校でふるさとキャリア教育をテーマとし、その主な活動を「百花繚乱作戦」と名付け、地域の特色を生かした活動を展開。

校内にとどまらず、地域の実行委員会が企画運営する「本場大館きりたんぽまつり」(4年前に始まり、3日間で10万人を超えるイベント)に発展。このイベントを支えているのが小・中・高・大学生からなる1千人のボランティア。学校で身に付けた力を発揮し新たな学びを得る場として、子どもたちは主体的に参画し、地域貢献の喜びや達成感、充実感を得ている。自ら役割を担い地域の人と一緒に活動している。

そんな活動を可能にしているのが「子どもハローワーク」。小・中学生を対象に、子どもと職業、地域社会、大人、子ども自身の未来をつなぐハブ機能として、教育研究所に平成24年開設した。主に地域や企業が行うイベントや仕事のボランティアとして「働く体験」を紹介する。

多様な活動の中から子ども自身が選択する。学校ごとの取り組みには限界があり、子どもたちは限られた職業や親の働く姿しか知らず、自分の適性が見つからない。それが設立の理由だ。

相談員、キャリア教育コーディネーターを専任職員として配置。タイアップ企業が増え、興味のある体験に何度でも申し込めて、多様な職種を幅広く体験できるようになった。配布された「キャリアパスポート」に体験履歴を記録することで、興味・関心や得意分野など、自分自身への気づきが育まれていった。

体験していく中で子どもたちは、主体性と責任感を自然と身に付けていく。職場に子どもが加わることで、受け入れ企業や地域にも、人材育成に関わる意識が芽生え大人たちが、自分の仕事や会社の良さを熱く語るようになり、自分の言葉で思いや願いを子どもたちに伝えるようになった。

いま同市では、子どもの本気が大人を変え始めている。ふるさとキャリア教育は、教育施策から市の総合戦略へと変貌し、市の重点施策となった。

山本所長は「子どもも大人も共に学び、共に育つことで、未来創造都市に変えていく。『大館発、未来行の切符』を子どもたちに手渡すことが、私たちの重要な役目」と結んだ。