(インタビュー)日本文化を発信し 学校図書館に光を【学校図書館特集】

2016国際学校図書館協会東京大会
竹村和子同大会事務局長に聞く

 
平成26年には学校司書の法制化が実現し、学校図書館を取り巻く環境が徐々にではあるが改善されてきた。学校教育のさらなる充実・発展を図るために、「『学校図書館年』を広める会」は今年を「学校図書館年」として制定した。こうしたなか、今夏8月には「2016国際学校図書館協会(IASL)東京大会」が日本で初開催される。同大会の事務局長を務める(公社)全国学校図書館協議会(全国SLA)の竹村和子氏に、大会の意義や抱負について聞いた。


 

――国際大会が日本で開かれるきっかけは。

これまで何度か日本で開催してはどうかとの要請が、IASLから寄せられていた。だが、学校図書館の整備や司書教諭・学校司書の人的な課題。学習活動に十分活用されていないなどの理由で、開催要請を受諾しないでいた。

以前、IASL前会長ジェームス・アンリ氏が来日した際、日本で開催してはどうかとの要請があった。

その頃、十分ではないが、学校図書館の改善が以前よりも進み、読書だけでなく、学習活動にも活用されるようになってきた。学校図書館が発展する動きが次第に大きくなっている状況があり、大会を通じて学校図書館のさらなる振興を図るために開催の要請を受けた。

――「デジタル化時代の学校図書館」との大会テーマの意図は。

現代は、デジタルを抜きには語れない。学校メディアのなかでデジタルコンテンツが、これから一層、導入されるだろう。
 
だが、この大会で訴えたいのは、デジタルと紙の融合である。
 
デジタルは、タイムリーな情報や動画が得られる。その一方で、それらの情報を裏付けるには、紙の本の活用が重要だ。
 
学校図書館という場所で、紙とデジタルを活用した指導方法をいろいろと工夫してもらいたい。
 
一部地域の学校では、1人1台のタブレットPCが配布されているが、紙とデジタルの両方を活用して調べ学習などをしているところもある。紙とデジタルの融合が大切だ。

――大会のプログラムは。
 
開催期間は8月22日から26日まで。基調講演が目玉で、作家の阿刀田高さんや大阪芸術大学教授で漫画家の里中満智子さん、長年、図書館研究に携わっているダイアン・オバーグさんや、学校図書館のICT活用研究に取り組んでいるジェームズ・ヘリングさんが、いろいろな話題を語ってくれる。講演が楽しみだ。
 
大会前日の21日には、國學院大学でプレカンファレンスが開かれる。日本の紙芝居を見てもらう予定だ。外国で人気がある。特にフランスでは「KAMISHIBAI」として有名だ。加えて、日本文化を発信できるようなワークショップを実施したい。

――大会に期待することは。

数年前に視察したフランスでは、中・高校の学校図書館は「ドキュマンタリスト」(学校図書館専門職員)が常駐しているほか、施設が充実している。学校図書館を活用したカリキュラムもしっかりしていた。現地の担当者から日本の現状を問われて、「日本の場合は、小・中学校の学校図書館の多くには、学校図書館専門職員は常駐してない」と答えると、驚いた様子だった。

日本は、施設・設備の面では欧米に引けをとらないが、司書教諭や学校司書がどれだけ活動できるか、学校図書館を活用した授業がどれだけ展開できるかには課題が多い。今後は解消に向けた施策が必要になってくる。

この国際大会でいろいろな国々の人たちと交流し、海外の取り組みを知ってもらい、日本の学校図書館に生かしてほしい。

学校図書館のイメージは、読書だけと思っている人がまだ多い。だが、それだけではなく、学習センターや情報センターの機能もあるのを理解してもらいたい。

学校図書館から学びを変えたい。教科書だけでなく、本や新聞など、多くの学校図書館メディアにふれ、さまざまな情報を活用してほしい。いま求められている学びは、学校図書館を抜きにしては展開できないからだ。