魅力ある学校図書館づくり 実践を紹介 part2【学校図書館特集】

魅力的な学校図書館づくりで、各学校の図書館に携わる先生方に実践を寄稿していただいた。テーマは教科との連携、司書教諭と学校司書の連携、学校図書館とICT、家庭・地域との連携、新聞の活用――など盛りだくさんです。

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司書教諭と学校司書が連携 広報活動や環境整備を充実
「連絡ノート」で綿密に情報交換

横浜市立本宿小学校


壁面飾りや新刊紹介など学校司書ならではの工夫
壁面飾りや新刊紹介など学校司書ならではの工夫

■はじめに

横浜市立本宿小学校は横浜市の西部にあり、児童数約700人、支援学級を含め23学級の比較的大規模な学校である。当初、教室棟に1階にあった学校図書館は、児童数増加のあおりを受け、平成18年プレハブ校舎の2階に移設された。教室棟から離れた所にあり、立地条件としては最悪と言っても過言ではなかった。

■司書教諭はじめの一歩

平成19年(着任2年目)に初めて司書教諭の発令を受け、代本板や図書カードを利用した旧態依然の貸出システムの改善から着手することにした。時同じくして、校長から「『まち』とともに歩む読書活動推進校」(以下「まち読」と呼称)の指定を諾否について打診があり、早速応募した。

横浜市教育委員会から指導主事が来校し、図書カウンターの位置など図書館レイアウトの提案、蔵書データベースシステムの導入、図書ボランティアの導入・活用等、多岐にわたる建設的な指摘を受け、視界が開けていくような快感を覚えた。

■人材活用の知恵

「まち読」の予算を活用し、パソコンを使用しての蔵書データベースシステムを導入するとともに、学校内で募集した保護者ボランティアの助けを借りて、日本十進分類法(NDC)に基づく蔵書の配架を行った。平成20年には、このときのボランティアを中心に読み聞かせボランティアも発足させることができた。

また、区役所の紹介で外部講師によるストーリーテリングも開始した。秋の読書週間の企画として、各クラス1回ずつ6日間にわたって来校していただいている。

さらに、新聞記事から学区内に紙芝居を各地で上演している方がいることを知り、年1回1年生と特別支援学級に見せていただいている。

■学校司書の発令

26年6月、画期的な法改正が行われた。学校図書館法改正により、学校司書が法制化されたのだ。それを見越して横浜市では4カ年計画で学校司書配置事業が開始された。25年10月には第1期の学校司書が配置され、本校にも早速着任した。

学校司書には、校内学校図書館の環境整備を中心に活動していただいているが、図書ボランティアや外部講師への連絡調整にも当たっている。前項で述べたように、本校では、読み聞かせ・ストーリーテリング・紙芝居と、学校教職員以外の人材にも活躍の場を提供している。昨年度からは、公共図書館司書による学校訪問も加わり、1年生を対象とした出前授業の形態で、ブックトークや読み聞かせをしながら読書活動への啓発をしている。

■司書教諭と学校司書の連携

学校司書が発令される以前は、司書教諭が読書活動活性化のために、さまざまな実践を行った。その一つが広報活動である。

図書委員会の活動や新刊本の紹介など月1回の発行を目標に取材、構成した。学校司書が配属されてからは、過去の広報を参考に、学校司書が紙面を構成するようになった。司書教諭は、アドバイスをしたり校正をしたりして、広報活動に関わっている。

二つ目は学校図書館の環境整備である。司書教諭1年目こそ全部一人で行ったが、学校司書が週4日程度学校図書館に常駐してくれるので、環境整備に果たす役割は大きい。壁面飾りや蔵書の面出し、新刊本の紹介など学校司書ならではの工夫がちりばめられている。

司書教諭が学校司書と話し合う機会は限定されており、普段は「連絡ノート」で意見交換をしている。内容は、広報の校正、ブックトーク等の授業支援、レファレンス、パソコンの操作、学校図書館運営上の諸問題等多岐にわたっている。

学校図書館においては、司書教諭と学校司書が互いに綿密に情報を交換し、連携をしていくことが不可欠である。学校図書館の機能(学習センター、情報センター、読書センター)を充実させていくために、司書教諭に課せられた責務はますます大きくなっていくものである。

(文責・久保田守/27年度司書教諭)
同校=〒241―0023神奈川県横浜市旭区本宿町16/℡045(363)8000。

学習活動の中核担う場に
読書ボードで意欲喚起 司書教諭と学校司書の専門性生かす

山梨県甲府市立甲運小学校


完成したボードは図書館の入り口に掲示
完成したボードは図書館の入り口に掲示

■はじめに・学校図書館活用の現状

昨年度行われた学校図書館法の改正により、学校司書の配置が設置者の努力目標とされた。またこの改正を待つまでもなく、学校図書館の重要性が広く認知されるのに伴い、全国の小・中学校で学校司書の配置が進んでいる。

そのような状況の中、私が勤務する山梨県では、全国に先駆け昭和20年代から専任の学校司書の配置が始まり、平成に入る頃には雇用の形態はさまざまではあったが、ほぼ全ての小・中・高校に学校司書の配置が完了していた。こういった環境面での充実と、何より配置された学校司書の積極的な活動により、読書指導、特に子どもたちの目を学校図書館に向けさせるための取り組みは、長年、さまざまな形で実践されてきている。

また、司書教諭が置かれるようになってからは、学校司書と司書教諭がそれぞれの専門性を意識し、それを生かした活動を「協働」の理念の下に行うことにより、児童生徒の学力向上に直接寄与するための取り組みが、急ピッチで進められているところである。私自身も司書教諭という立場で、学校図書館の一層の活用を目指し、日々実践に取り組んでいるところであるのだが、ここでは現任校である甲府市立甲運小学校で行っている実践を中心に紹介させていただく。

■読書活動の活性化に向けた実践

近年、各教科の教科書の中に、単元に関係する図書の紹介といった内容が盛り込まれるなどして、子どもたちの読書に対する意欲を喚起しようとする動きが顕著になっている。特に国語科においては、各学年の発達段階を踏まえた、学校図書館の活用に関連する単元が設定されている。

現在、私が担任する5年生でも、「広がる、つながる、わたしたちの読書」(光村図書国語教科書5年)という単元が設けられ、子どもたちの読書の幅を広げていくことに資する教材が取り上げられている。

その単元の指導の一環として、このところ注目を浴びている「読書ボード」の形式を用いて表現する授業に取り組んだ。ご存じの方も多いかと思うが、一般的に読書ボードはグループで行う読書会を経た後に、メンバーの意見を集約しながら作成されるものとして紹介されている。

今回は小学生という発達段階を考慮して、単純にお気に入りの本を紹介するための手段として、読書ボードを利用した。これまで経験してきたPOPづくりに比べ、よりダイナミックな作品を仕上げることができるという利点があり、どの子もとても積極的に、また楽しそうに作成している様子が見られた。完成したボードは図書館の入り口に掲示し、全校児童の目に触れるようにした。

■学習利用に関する実践

学校図書館の学習利用については、このところさまざまな形での実践が紹介されている。

私自身もこれまで20年近くに渡り、学校図書館のいわゆる「学習センター」的機能の充実に向けた取り組みを進めてきている。最も学習効果が高く、同時に他教職員へ利用促進をアピールする上でも理解を得やすいと考えられるのが、各教科における調べ学習の場面で学校図書館を利用する活動である。

しかしながら、子どもたちの調べ学習に対応する機能を充実させていくためには、物理的なスペースの確保を含め、さまざまな条件の整備が必要となるのだが、全てを同時に満足させることは、予算的な面から考えても難しいと言わざるを得ない。そのような状況下ではあるが、大切なことは環境が整うのを待つのではなく、「今、できること」から始めていくことであると考え、現状でできる実践に取り組んできている。

現任校においては、「どこでも学習センター」と名付け、各教科で調べ学習が必要となった際、テーマに沿った資料を学校図書館から教室近くの多目的スペースに持ち出して並べておき、学習の期間中は自由に使えるような配慮を行った。テーマによっては学校司書の協力を仰ぎ、公立の図書館からも長期貸し出しという形で図書を調達し、学習資料の充実を図った。

本校の学校図書館は、1週間のほとんどの時間を1年生から6年生までの各学級が読書の時間として利用している。従って調べ学習で使おうとすると、「邪魔にならないように」という制約を受けた中での利用になってしまう。まずはこの不都合を解消するところからと考え、年間を通して行っている。授業時間だけでなく、休み時間なども本を手に取る児童の姿が見られ、自主的な学習を促すという意味でも効果があると考えている。

■おわりに

ここ数年、学校図書館には非常に力強い追い風が吹いていると感じている。その追い風を利用して、学校図書館を名実共に「学習活動の中核を担う場」に高めていけるよう、今後もさまざまなアプローチの仕方を工夫しながら、積極的な活用に取り組んで行きたい。

(文責・杉本洋司書教諭)
同校=〒400―0811山梨県甲府市川田町65―2/℡055(232)3953。

調べまとめ発信する子に
全校で探究的な学習 図書資料と体験結び付ける

愛知県西尾市立津平小学校


学校司書が調べ学習支援
学校司書が調べ学習支援

「読書タイムに読む本を借りてくるね。司書さんに予約しておいた本が届いたんだって」「僕たちの作った乗り物図鑑を図書室でお兄ちゃんが見ていたよ。僕のページ、目次がついているから、すぐにわかったって」「一輪車の乗り方の本、見つけたよ」

昨年度末、私が担任した1年教室では、朝からこんな会話が飛び交っていた。

愛知県南西部に位置する本校(児童数123人)は、朝の読書タイムから1日が始まる。月1回は図書館ボランティアによる読み聞かせ、10月の図書館祭り期間中は、図書委員や教師の読み聞かせも加わる。必読図書(各学年10冊)を含め、年間50冊以上本を読むという努力賞項目の全員達成をめざす。貸出バーコードの貼られた読書ファイルをもって図書館へ行き、読んだ本や必読図書の感想など図書館関係の記録をファイルに綴っていく。

平成23年度に子どもの読書活動優秀実践校として文部科学大臣表彰を受けて以来、このような取り組みが継続され、子どもたちは日常的に読書に親しみ、図書館の利用も習慣化している。さらに、26・27年度は、学校司書が本校を拠点校として常時活動し、司書教諭と協働で図書館の整備、読書活動の推進、図書館の授業活用に取り組んできた。

また、本校は、22年度から、言語活動を支え、気持ちを文字で伝える「書写教育」の研究と実践を進めている。その成果を生かし、27年度は、図書資料と見学や体験を結びつけた生きた調べ学習が行われ、相手意識をもって分かりやすくまとめ、友達や他学年、家族、地域へ発信する、図書館を活用した探究的な学習が各学年で実践された。

以下、各学年の主な実践を紹介する。

《1年生の実践》
国語科『いろいろなのりものをしらべよう』

学校司書のブックトークで乗り物の本に興味をもたせ、調べたい乗り物の「役目」「つくり」「できること」を本から読み取り、「すごいぞ!乗り物図鑑」を作成した。発表会後、話し合いによって乗り物を分類整理し、目次・索引をつけ、図書館に展示した。

《2年生の実践》
生活科『おもちゃまつりに招待しよう』

本でおもちゃの作り方を調べ、1年生を招待して、作り方を教え一緒に遊ぶ「おもちゃまつり」を開催した。

《3年生の実践》
社会と総合的な学習の合科『お茶について調べてまとめ、発表しよう』

1学期の町探検を振り返り、地域産業であるお茶について各自の追究課題を決めた。そして、市立図書館への校外学習の際に、市立図書館司書の支援を得て、調べ学習を行った。調べたことをポスターにまとめ、2年生や保護者に発表した。

《4年生の実践》
社会科『人と書物をつないだ岩瀬文庫』

市立図書館に併設された岩瀬文庫を見学し、さらに副読本、パンフレットなどの資料で調べたことを1人1冊の和綴じ本にまとめた。家族に読んでもらい、感想を書いてもらった。

《5年生の実践》
総合的な学習『体験しよう米作り、考えよう津平の環境』

米作り体験と関連図書による調べをもとに、米作りと自然環境についてまとめた「お米のひみつ」という冊子を作成し、配布した。

《6年生の実践》
社会と総合的な学習の合科『地域の偉人吉良上野介を調べよう』

忠臣蔵で有名な地域の偉人「吉良上野介」について調べ、新聞にまとめるとともに、調べた成果を「吉良サミット」で発表した。

この他にも27年度の図書館を活用した授業数は82時間、利用された資料数は、508冊に及ぶ。学校司書が、市立図書館の団体貸出も利用し、適切な資料を用意し、ときには、担任とTTで学習を進めることにより、丁寧な個別支援が可能になり、子どもたちは意欲的に探究的な学習に取り組むことができた。そして、その過程で、インタビューやメモの取り方、図鑑・百科事典の使い方、図書の分類、出典や引用の書き方など情報活用スキルが身に付いてきている。

今年度は、「情報リテラシーを育成するための国語科年間指導計画」をもとに、国語の学習と探究的な学習をタイアップさせ、より系統的な情報活用能力の育成をめざしていきたい。

「図書館で学習すると楽しいよ。どうやって、調べたらいいかわかったからね」「調べたことを分りやすくまとめて、みんなに教えてあげたいな」

こんな会話がますます飛び交う学校にしていきたい。

(文責・矢田真由美教諭)
同校=〒444―0503愛知県西尾市吉良町津平大入1/℡0563(35)0056。

アクティブラーニングで活用 豊かな調べ学習の場に
利用者とともに成長 木の温もりで落ち着いた環境

奈良教育大学附属中学校


ならの木を使用した書架を生徒自ら組み立てる
ならの木を使用した書架を生徒自ら組み立てる

奈良教育大学附属中学校(以下附中・松川利広校長・生徒数481人)は、奈良県北部の平城(なら)山丘陵に位置する中規模校である。

附中図書館は本館3階に位置し、平成21年に耐震工事が行われたが、書架は以前からのスチール製を使用していた。27年3月14日に図書館木質化を目指して、本校の教員、図書部員が「NPO法人学校図書館木質・活性化支援センター」の支援を受け、「ならの木」の部材を取り扱う「ホーテック」や家造りの「スペースマイン」の指導の下、スチール製の書架20基に変わり、奈良県産のスギ材の大型書架4台、低書架6台を仕上げた。

生徒たちは最初慣れない作業に戸惑いながらも、懸命にくぎを打ったり、電動ドリルを使ったりする作業で、自分たちの図書館を作ったという満足感を得て、記念として完成した本棚の裏に名前や絵を描いた。

図書館は約4万冊を所蔵し、1万8508冊の図書を開架していたが、これを機に廃棄し、蔵書冊数は2万5118冊 1万3960冊が図書館開架冊数である(今年4月1日)。さらに、木質化計画は続き、今年1月19日に正方形の机が12台配備された。今回は机の脚の周りを図書部の生徒が紙やすりで磨き上げた。

数学科では、1年と3年合同授業『附中で「私」は数学にどう取り組んできたのか?』という授業が図書館で4クラス、各1時間ずつ行われた。

スギ材のテーブルに3年生と1年生が向き合い、「ノートや勉強の工夫」「苦手克服法」「つぶされそうになった時の対処法」など語り合っていた。図書館で授業を行う時、資料提供はもちろんであるが、図書館独特の雰囲気が生徒を和ませ、モチベーションをあげ、自由な発想を促すと感じている。木の温もりは落ち着いた学習環境をつくり、家具も大事な図書館の要素であることを感じた。

司書教諭の川畑惠子教諭は国語科で図書館を使った授業を常時展開し、豊かな調べ学習ができるアクティブ・ラーニングの場として活用している。以下、その授業の中の一つを紹介する。

「メディアと上手く付き合うために」(池上彰、光村図書、国語2)、「ネット時代のコペルニクス」(吉見俊哉、光村図書、国語3)で図書館の本とインターネット検索との情報比較の授業が図書館で行われた。附中にICT機器が本格導入されてから3年が経過している。本校のICT環境は、タブレットパソコン132台、iPad93台、全教室に電子黒板、校内全ての場所で無線LAN環境が整備されている。また、今年度からは、1人のICT支援員が附属学校に配置されている。

図書館で図書とiPadを用いて同じ情報を比較し、内容の表記の違いから、適切な情報の会得を考えさせる授業では、図書館資料は『日本国語大辞典 第二版』『ポプラディア』『世界大百科事典』『広辞苑 第六版』『大辞林 第二版』『大辞泉 第二版』など他数用意した。

生徒たちは学習の気付きとして、「『紫陽花』の語源を調べると、図書館の本『日本国語大辞典 第二版』(小学館)では、語源だけでなく植物の説明や紫陽花の色、紫陽花にかかわる言葉の使い方、古文の引用など、多くの情報が得られた。また、語句を編集した人の名前が出ているので、責任の所在が明確である。インターネットは語源の説明はなく、植物についての説明だけであった。また、書いた人の名前が出ていないので、責任の所在が明確でないことがわかった」「社会事象について調べるときは、図書館の本からの情報は即時性がないので、載っていないことがある。インターネットの情報はその点で即時性がある。しかし、責任の所在を確かめないと、情報に振り回されるので気を付けなければならないと思った」と述べた。

読書活動を活発化するために、国語の教科書に記載されている図書はすべて所蔵して、リストアップしているので、授業で取り上げた教材と関連した読書活動につなげている。

また、図書館は生徒、教職員、保護者の情報発信の場でありたいと、27年後期から、「育桜会関係資料」のコーナーを設けた。「PTA参照資料」「全附P連PTA研修会資料」などを置いている。今年度は保護者から、生徒や教職員へ「お薦めの本」とか、保護者同士で「図書・情報」についての交流の場として活用してもらう予定である。

さて、どのような情報が発信されるのか楽しみである。

インドの図書館学者ランガナタン(S.R.Ranganatan,1982-1972)が「図書館学の五法則」のひとつ、「図書館は成長する有機体である。(Library is a growing organism.)」としている。学校図書館が利用者と共に成長する姿がイメージできる。

附中図書館は利用者のニーズに合わせて、成長しつづける図書館でありたいと思う。

(文責・佐久間朋子学校司書)
同校=〒630―8113奈良県奈良市法蓮町2058―2/℡0742(26)1410。