魅力ある学校図書館づくり 実践を紹介 part3【学校図書館特集】

魅力的な学校図書館づくりで、各学校の図書館に携わる先生方に実践を寄稿していただいた。テーマは教科との連携、司書教諭と学校司書の連携、学校図書館とICT、家庭・地域との連携、新聞の活用――など盛りだくさんです。

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自ら学ぶ力と豊かな心を育成 「知りたい」を満たす
人とのふれあいを通して本へ

高知県宿毛市立宿毛小学校


行列して朝の借り換え
行列して朝の借り換え

「先生、今日も待ちよった人がおったで」と訴えつつ、うれしそうな図書委員の声。宿毛小学校の図書館は、午前7時40分の開館。しかし開館前に入り口には整然と列を作って本を読みながら子どもたちが待っている。

午前8時5分までの25分間に、貸し出し用のパソコンの前に長い行列ができるため、昨年からもう1台パソコンを増やし、返却用と貸し出し用の2台のパソコンで作業ができる環境になった。1日の中で朝の借り換えが一番多く、全校児童330人中250人くらいの子どもが図書館を訪れてにぎわっている。

■読書センターとして

本校の子どもたちが本好きなのは、家族と一緒に読む「ふれあい読書」、地域の坂本図書館の読書ボランティア「きてきて・きいて」、保護者の読み聞かせボランティア、図書委員による下級生への読み聞かせなど、多くの人たちとの本を通したふれあいの場で読書の楽しみを感じる機会によるものだと考えている。

ふれあい読書は、今年で51年目という、伝統ある取り組みである。中には、本校出身で子どもの頃に「ふれあい読書」を経験した保護者もいる。週末に子どもたちがふれあい読書のための本を選ぶわくわくした姿から、この時間もとても楽しみにしていることが伝わってくる。

また「昔、子どもの頃に読んだ本を自分の娘と一緒に読めるのはうれしいですね」「孫と読むことができて、楽しかったです」こういった保護者の感想から、家庭で本を広げて一緒にのぞきこむ家族の温かいやりとりが感じられる。

■学習、情報センターとして

本校は25~27年度の3年間「ことばの力育成プロジェクト」の県指定を受け、学校図書館を活用した授業実践、書くことに関する学習活動の充実、新聞を活用した学習活動の推進に向けて取り組んできた。

各教科や総合的な学習の時間との結びつきを重視し、問題解決学習のための関連図書を収集し、学びに直結した図書資料等の整理を行ってきた。1年生から4年生までは、各学級週1時間図書の時間を設定し図書担当が授業をしている。

内容としては、図書の年間計画に沿ったもので、学級担任と連携を取りながら指導に当たっている。百科事典や図鑑の使い方、調べ学習の仕方や図書の分類の仕組み、配架の学習など、各教科に生かすことができるように、学び方の学習も計画に入れている。

各学級が図書資料を活用した授業を年間10単元以上実施することを目標として取り組んできた。授業で学習したことと関連した本を探すために、子どもたちも先生方も図書館を訪れる。授業中、知りたい・調べたいと思った時に、児童が図書館にやってくることが増えた。

児童が主体的に図書資料(新聞も含む)などを用いて、読み、解釈し、自分の考えを形成・発信して交流するといった言語活動は、年々回数も増えて内容も高まってきた。子どもたちの「知りたい!」という探究心を満たすことができるような学校図書館であるよう、引き続き環境整備を行っていきたい。

■地域への発信

高知県や幡多地区(県西部)の学校図書館協議会で研修してきた内容や楽しい図書館環境に向けた工夫を、職場や宿毛市の教育研究会で伝達する場を設けてきた。また、学校図書館を活用した授業を宿毛市教育研究大会において公開し、学校図書館の活用の向上に向けた協議も行った。

■おわりに

次期学習指導要領の改訂に向けた中央教育審議会の論議においても述べられているように、これからの時代に求められる資質・能力を児童生徒に育むためには、学びの質や深まりを重視し、課題の発見と解決に向けて主体的・協働的に学ぶ学習を充実していく必要があるとされている。本校は、今年度からこの趣旨を踏まえた「探究的な授業づくりのための教育課程研究実践事業(学校図書館活用型)」の県指定を受け、子どもたちの豊かな心と自ら学ぶ力を育てる学校図書館としてさらなる向上を目指していく。

(文責・岩井由美子教諭)
同校=〒788―0006高知県宿毛市桜町8―5/℡0880(63)3115。

「生涯読書人」の育成をめざす
明るく開放的で人気 日本絵本賞投票など仕掛ける

福岡県太宰府市立水城西小学校


「目指せ100冊」を行い、達成者は図書館横の掲示板に本と一緒に顔写真を掲示
「目指せ100冊」を行い、達成者は図書館横の掲示板に本と一緒に顔写真を掲示

本校は、昭和47年創立、児童数828人、福岡県太宰府市の西部に位置する。本校の「ひまわり図書館」は、平成23年から蔵書がパソコンで一括管理され、25年から、週5日、午前9時から午後3時まで学校司書が配置されている。また、26年夏に大規模改修され、机やいすや本棚などが全て新しくなり、明るく開放的な空間は、子どもたちの人気スポットとなっている。

ひまわり図書館では、「生涯読書人」を育てるべく、子どもたちがいろいろな本に出会う機会をより多くもてるよう、次のような手立てを考え実行している。

(1)「目指せ!100冊」

本校では、毎日2冊、休みの前々日はラッキーデーとして3冊、本の貸出をしている。全校児童、年間の目標貸出冊数を100冊とし、100冊を超えた児童には表彰状と、1年間本を一冊多く借りることができる「プラス1冊シール」をプレゼントしている。また、100冊達成者には、「おすすめの本」を紹介するカードを書いてもらい、本と一緒に顔写真を撮り、図書館横掲示板に掲示している。そのカードや写真の前で「この本、面白いよ」と、指さしながら話している子どもの姿をよく見かける。どんな本を読んだらいいのかと迷う子にとって、友達の好きな本はよい手引きになっている。

平成24年から始めたこの取り組みの結果、年間貸出冊数は年々増加し、27年度は828人中340人が目標達成し、平均は103.5冊と、初めて目標を達成することができた。

(2)「読書月間」

毎年11月は「読書月間」。子どもたちがもっと来館したくなるイベントを図書委員とともに企画し、実行している。

27年度は「貸し出し冊数が増えるくじ引き」「図書館クイズ(正解7つで手作りのしおりプレゼント)」「図書委員の読み聞かせ」「本の人気投票」を行った。

くじ引きは大好評で、昼休みが始まるとすぐ、図書館の入り口に行列ができた。また、図書館クイズも、学年を問わず楽しんでくれた。

図書委員による読み聞かせは、夏休みに市立図書館で研修を受けた読書リーダー(図書委員5年生)が、読み聞かせの方法(使う本の選び方、本の持ち方、ページのめくり方、体と顔の向き、など)を図書委員に教えた。その後、読書リーダーを中心に互いに聞き合って練習し、図書委員全員が、2日に分けて朝活動の時間(15分)を利用して、全クラスで読み聞かせを行った。

(3)「日本絵本賞読者賞」投票(1、2月)

24年度から、毎年「日本絵本賞読者賞」に投票している。27年度は「良質な絵本を子どもたちに届け、本の楽しさを知らない子どもたちを本に誘う」「学級担任・読み聞かせボランティア・保護者と絵本の話をすることによって、心の交流をする」「読書力の向上」をめあてに掲げ、全学年ですべての絵本を読み聞かせして、いちばん好きな絵本を選んで投票した。

候補となる24種類の絵本は、それぞれ2冊ずつ準備した。そのうち各1冊は購入、1冊は公立図書館からの借り入れで賄った。24種類、48冊を6つのかごに分け、学年1週間、6週間かけて全学年を回覧した。

絵本は、担任の先生や図書委員が子どもたちへ読み聞かせた。27年度は実践校としてさらに24冊の候補絵本を提供していただいたので、保護者や地域の方で構成される読み聞かせボランティアの方に渡して、朝の読み聞かせで利用した。

毎年数多く出版される絵本は、選書が大変である。絵本賞の候補絵本は、読み物だけでなく写真絵本、文字のない絵本など、幅広く集められているので、良質な絵本を安心して子どもたちに届けることができる。

また、全校児童が同じ絵本を読み、好きな絵本を選ぶことで、友達が好きな本を知り、自分が好きな本を紹介することもできる。本を介して会話を楽しむことができるのも、この取り組みのメリットだと感じている。

他にも、学年ごとに「ビブリオバトル」「ポップ作り」「並行読書」「テーマリーディング」、図書委員・保護者・司書教諭と司書の「おはなし会」なども行っている。

教員、保護者、地域のボランティアの人たち、市立図書館司書の協力が、学校図書館を成長させる大きな力となっている。

読書活動は、人生をより深く生きる力を身につけていく上で欠くことのできないことだと信じている。子どもにとって一番身近な図書館として、今後も、ますますより魅力的な「ひまわり図書館」をめざして、これまでの取り組みをバージョンアップしながら、新しい取り組みを増やし、本好きな子どもたちをもっともっと増やしていきたいと考えている。

(文責・髙木恵学校司書)
同校=〒818―0135福岡県太宰府市向佐野90/℡092(923)2559。

資料探しのうまい生徒育てる
職員にも憩いの場に 司書教諭と学校司書が協働運営

熊本市立京陵中学校


進路学習の職業調べや高校調べなど、さまざまな調べ学習を行う
進路学習の職業調べや高校調べなど、さまざまな調べ学習を行う

■はじめに

熊本市立京陵中学校(志垣裕二校長・生徒数734人)は、熊本城近くの高台、漱石来熊の際、汽車から降り立った上熊本駅そばにある。今年、来年と漱石来熊120年、生誕150年、没後100年の節目であり、熊本は漱石記念年として熱気を帯びている。

本校の学校図書館は、本市の司書業務補助員(学校司書)配置、図書資料物流、ネットワーク構築、学校図書館支援センター設置等の施策に支えられ、司書教諭と学校司書の協働により運営されている。

1.学習・情報センターとしての機能充実

(1)オリエンテーション

生徒の図書館利用のために、まずオリエンテーションを家庭訪問の時期に行う。内容は、本の借り方、返し方、図書館の配架、調べ学習の仕方などの説明、著作権に関する解説、図書館利用の体験等である。司書教諭と学校司書が相談をし、司書教諭が計画書を作成し、職員会議に提案をする。学校司書はプリント作成、受付準備等をする。当日は、学校司書が利用指導を行い、司書教諭は本市の学校図書館の特徴や著作権の説明、出席確認、メモの取り方指導等を行う。

(2)調べ学習

本校では、さまざまな調べ学習を行う。例えば、阿蘇にキャンプに行く前に阿蘇を調べたり、進路学習として職業調べや高校調べを行ったりする。司書教諭は調べ学習の計画を学年の教師と検討する。その上で学校司書と図書等、必要な資料について相談する。多数の資料が必要だが市立図書館の学校図書館支援センターを活用し、外部から資料を集める。本校では本年は約800冊借受し、約100冊外部へ貸し出しするなど、相互貸借で調べ学習を支えている。

(3)学校図書館活用計画

今後、学校図書館は教科指導を支援することが求められる。そこで、「学校図書館活用計画」を作成した。これは、各学年、各教科で図書館を活用するための指導計画である。(参考文献:『荒川区の学校図書館で育む子どもの心と学び』の「学校図書館活用計画」)

司書教諭が職員会議で提案し、各教科・各学年で計画を練り、表として完成させた。毎年、表の見直しを行っている。一覧表は図書館に掲示し、教科指導への支援の強化を図っている。計画に沿って教師に学校図書館活用の声かけを行いやすくなった。選書の際も、学習に必要な図書購入に役立ち、学習・情報センターとしての機能が充実してきた。

2.読書センターとしての機能充実

(1)お話会

お話会は、月に1回、昼休みに図書館を会場に学校支援ボランティアや司書教諭が行っている。図書委員長が給食の時間に全校へ向け、参加を呼びかける放送をする。常連の生徒も多く、教師も参加して和やかな時間が流れる。この活動は生徒の心へのよい影響だけでなく、読む力も付けているようだ。国語で教材をリテラチャーサークル形式で読んだ時は、お話会に参加する生徒が活躍してくれた。

学校司書は、図書委員と会場を作り、会場整理、お話会の記録等を分担する。司書教諭は、職員会議への提案、学校支援ボランティアへの依頼、連絡調整、生徒への指導等を行う。学校外の方との連携は、連絡調整が重要である。その要が司書教諭である。

(2)京陵の100冊

図書委員会の活動として、「京陵の100冊」の選定を行った。教師や生徒たちのお薦めの本を募集し、まとめた。この活動は、読書に関心の薄い生徒たちをひきつける効果が見られた。図書館の廊下に、「京陵の100冊」として掲示されている。また、図書館内には薦めた人の名前を添えて本が飾られている。図書委員会や国語の授業のビブリオバトルでは、京陵の100冊の本が関心を集めた。

3.学校図書館リニューアル

本校の学校図書館は少し手狭であり、使いにくい面があった。そこで、図書館の改造を試みた。企画案は司書教諭が作成し、図書委員会の生徒たちや教師の協力を得て、リニューアルした。以前より広くなった、使いやすくなったと好評である。

この活動は司書教諭が中心となり、学校司書は整理した本の登録変更など、主にリニューアル後に図書の整備を行った。

■おわりに

全国的に見て、学校司書の全校配置の本市は恵まれている。集団になじめない生徒たちの心地よい居場所は保健室に加えて、図書館も挙げられるようになり、生徒や職員の憩いの場となっている。

昨年、元学校司書だった大学の司書の方から「本市内出身の学生はすぐわかる。書架の中から自分が探す図書を点(その本だけ)ではなく、書架を面で探す。NCDを理解しているので、論文等の探し方もうまい」と言われた。本当にうれしかった。本市の施策が全国的な学校図書館のスタンダードになることを願ってやまない。

教育の現状から、今後、図書館に学校司書が常駐し、学校司書と司書教諭が連携していく意味はますます重要なものとなるだろう。

(西村るり司書教諭)
同校=〒860―0081熊本市中央区京町本丁1―14/℡096(354)1316。