食育で体力の向上目指す 東京都西東京市立田無小学校

3年生の総合的な学習で「大豆パワーのひみつを探ろう~味噌づくり」を実践
3年生の総合的な学習で「大豆パワーのひみつを探ろう~味噌づくり」を実践
教科学習の視点に盛り込む

本校(東京都西東京市立田無小学校)では4年前から、学校全体で健康教育を進めてきた。進めるにあたって、学校教育活動全体を「食育の推進」「体力の向上に関する指導」「安全に関する指導」「心身の保持増進に関する指導」の視点から、系統的な指導を行うために全体計画や年間指導計画を見直した。

年間指導計画は、学校教育活動全体を見て、各教科・領域の授業の中に健康教育を位置づけた。
その1つの分野である「食育の推進」について、平成27年度文部科学省事業委託「スーパー食育スクール」で進めていった。その際、体力向上を目指している本校児童の実態と関連させて、「体力向上を目指した食育プログラムの開発と検証」をテーマに設定した。

1.実施に向けて

たくさん運動して、バランスのよい食事をきちんと食べる子どもは体力が向上すると考え、運動の日常化を進め、望ましい食習慣を確立させることからの生活習慣づくりを目指した。
この事業では、科学的な検証が必要なため、身体測定、新体力テスト、生活習慣アンケート、体脂肪率、筋肉量、骨密度、腸内フローラなどを、指導・実践前と指導・実践後に調査し、その結果の比較・考察を行った。

2.食育の目標

本校では、発達段階に応じた食育の目標を設定している。低学年では、好き嫌いを減らす。中学年では、食べ物の働きを知り、バランスよく食べる。高学年では、栄養バランスの意味が分かり、簡単な調理ができる。これらの目標達成に向けて、体力向上をねらい、食育的働きかけを行った。
食育プログラムの実施に向け、次の視点を踏まえて体験的な活動を重視した授業を行った。
▽生活習慣の改善=早寝・早起き・朝ご飯▽健康の保持増進▽食と農・水産に関わる人々との交流▽自己の健康管理に関わる環境づくり▽家庭への啓発、地域への発信

3.授業実践例

(1)食育授業地区公開講座
各学年各学級で食育の授業を計画的に行っている。食育月間の6月には、食育授業地区公開講座の日を設定し、全学級で食育の授業を行い、保護者や地域の方に公開した。特に、家庭への啓発と連携を図る観点から、積極的に取り組んでいる。

(2)各学年の授業例
1年生生活科=「お手伝い大作戦」で、給食で使う食材の準備をする、保護者と一緒に「野菜の昆布和え」を作るなどして、自分でできる身の回りのことを増やし、できる喜びを味わう。

2年生生活科=学級園で、子どもが苦手な食材のナスやピーマンを育て、収穫したものを給食に入れて味わう。またサツマイモを育て、収穫物でイモ団子やはんこを作る。蔓を利用し、リースやお正月飾り作りをして、育てたものを残さず利用できることを学ぶ。自然の恵みや作物を育てる人たちへの感謝の心を育てる。

3年生総合的な学習の時間=「大豆パワーのひみつを探ろう」で、大豆の苗植えから収穫までを体験させ、収穫した大豆を使って味噌をつくり、翌年、味噌汁などにして味わう。さらに「大豆の変身」として、各自が調べ学習を行い、それらを発表して、大豆の栄養とともに、多くの有効活用を学ぶ。

4年生理科=「ヒトの体のつくりと運動~ほねと筋肉~」で、ヒトの体に多くの骨があるのを学び、その骨をより強く、よいものにするためにはどうしたらよいかを学び、日常の食生活などに生かそうとする気持ちや態度を育てる。

5年生社会科=「食料生産を支える人々」で、農業や水産業に携わる人々の思いや苦労を学び、感謝の心を育てる。また「これからの食料生産」で、日本の食料自給率のさまざまな課題をみつけ、今の自分にできることを考えさせる。

6年生体育保健領域=「生活習慣病を食事で予防しよう」で、日頃の生活習慣が原因で病気になることを理解させ、どんな食事をとるように心がけるかを考えさせる。

わかば学級生活単元=「畑の学習」で、自分たちで作物を育て、育てる楽しさや喜びを味わわせる。また育てる時期や収穫の時期から、季節感を学ばせる。育てた野菜を使って調理を行い、食材に興味をもち、食に対する意欲を高める。

(3)栄養教諭による食育
日常の食生活の充実に向けて、よりよい食習慣を教え、実践しようとする態度の育成を図る。体力測定日を試合と見立て、その前日に食べるとよい食事や終了後に食べるとよい食事の指導を行った。給食でも配慮した献立にした。
また地場産物を積極的に給食に活用し、その良さを教え、地元を大切にする気持ちを育てる。

4.実施の結果

検証のための測定値からの分析結果は、明確なものは得られなかった。しかし、体力測定の結果の伸びは大きく、食生活習慣の改善も見られる傾向が見え、成果が得られたと思われる。今後も指導を続けていきたい。