食を通して自尊感情も 横浜市立名瀬小学校

バランスのいいオリジナルメニューを考える「お弁当プロジェクト」
バランスのいいオリジナルメニューを考える「お弁当プロジェクト」
デジタルデータで検証も

本校(横浜市立名瀬小学校)は、横浜市内でも緑豊かな自然環境に恵まれている地域にあり、地元には、農家もある。給食では、地場産の食材を多く取り入れるなど、地域との関わりを重視した取り組みを重ねてきた。
食育に関しては、平成26、27年度に、市の食育実践推進校の指定を受け、27年度には、文部科学省からスーパー食育スクール事業の委託を受けている。だが、それ以前から、栄養教諭を中心に実践を積み重ねてきた。スーパー食育スクールとしての実践を中心に、学校全体および各学年の取り組みの具体をまとめた――。

◇学校全体での取り組み◇

食育実践のテーマは、「食を通して、互いを認め、地域のよさを知り、自らの健康をつくる名瀬っ子の育成」である。加えて、スーパー食育スクールとして「正しい食習慣を身につけ、自らの健康をつくる名瀬っ子の育成~デジタルデータを活用した食育の推進と小・中学校を結ぶ食育モデルの構築を目指して」とのテーマを設定。子どもたちが、自分に必要な食事や適切な生活スタイルを選択し、自らの健康をつくることができる力を育成したいと考えた。
そこで、全校で体組成計を使い、身長・体重・体脂肪率・筋肉量・脂肪量を計測したり、年間3回、「生活リズムチェック」を行い、保護者の方からコメントをいただく機会を設けたりした。このことによって、子どもたちは、自分自身の生活を振り返り、食と健康について少しずつ考えるようになった。
特に6年に関しては、体組成と骨密度の計測を年間3回行い、大学や企業と連携して、自分の生活習慣等と健康の関わりをさまざまな角度から考える機会をもつとともに、横浜F・マリノスの齋藤学選手からも、「夢の実現と食の充実」という講演を聞くことができた。
さらに、学校保健委員会では、体育協会の協力を得て、「早寝 早起き 朝ごはん ~けがを防いでみんなで笑顔」というテーマで、4・5・6年全児童が、子どもロコモチェックをしたり、体力つくりの運動を教えていただいたりして、それを休み時間の学年での取り組みに広げていった。

◇各学年での取り組み◇

各学年では、食育の計画や指導計画を基に、さまざまな実践を行った。1年生では「グリンピースのさやむき体験」「トウモロコシの皮むき体験」を行い、子どもたちは、野菜の香りや形状などを実感した。2年生では生活科で、自分で選んだ夏野菜(トマト、サツマイモ、ダイコン)を栽培した。できた野菜でデザートなどを作り、パーティーを行い、地域の人たちを招待した。3年生では大豆を栽培し、味噌を作った。また地域の畑でブルーベリーを摘んで、自分たちの地域でもさまざまな食べ物が育てられているのを知った。

4年ではゴーヤを栽培し、5年生では地域の谷戸で田んぼをつくり、稲作体験をして、収穫祭を行った。また個別支援級でも、いろいろな野菜を育て、自分たちで調理して食べたり、カフェとして保護者を招待したりした。
どの学年も、地域の人たちに教えていただきながら農作物を栽培し、収穫することができた。栽培した野菜などは給食で使用し、全校で食べる機会をつくっている。

昨年度、給食に使用したのは、1年生がむいたグリンピースととうもろこし。2年生が栽培したダイコン。3年生が摘んだブルーベリー。4年生が栽培したゴーヤと昨年仕込んだ味噌。そして、6年が栽培したジャガイモである。
給食に使用することで、他の学年から「おいしかったよ」などと言葉をもらい、子どもたちの自尊感情や自己有用感も高まったと思う。

また6年生では、自分たちの計測の他、中学校と関わり、自立に向けた取り組みとして、総合的な学習の時間で「お弁当プロジェクト」を行った。市の中学校は、弁当持参である。そこで、バランスを考えた弁当を自分で作れるのをねらいのひとつとして、実践を行った。具体的には、弁当に合うレシピを調べたり、野菜の副菜をプロに教えていただいたりした後、オリジナルメニューを考え、実際に調理した。

また栄養教諭から栄養バランスや量などを教えてもらい、自分に合った1食分の献立を考え、調理した。そして、1年生のまとめとして、卒業前に保護者を招待し、自分たちが作った弁当を一緒に食べた。子どもたちが学んだことは、一人ひとり、レシピ集としてまとめている。

食事や運動と、テーマを広げて実践した昨年度。学年に応じて、体組成や骨密度などのデータによって、健康状態を数値的にとらえ、成長期に必要なバランスのよい生活スタイルの大切さを理解できた。さらに、マナーや会食の楽しさ、自分のつくったものを人に食べてもらう喜びも感じることができたと思う。子どもたちの生きる力につながる「食育」を、今後とも、地域との関わりを大切にしながら、より一層充実させていきたい。