各教科でも食育を視点に 新潟県村上市立村上小学校

6年生での調理実習などで食事に関心をもたせる
6年生での調理実習などで食事に関心をもたせる
苦手食べもの克服が学力向上に
教職員の食への意識も高まった

食育に全校を挙げて取り組み、児童の食に関する知識や意欲が向上していった。苦手な食べものの克服努力が学習意欲の向上につながっている姿も見えてきた――。新潟県村上市立村上小学校の実践である。

近年、子どもたちに、偏った栄養摂取や食生活の乱れ、肥満・痩身傾向などがみられる。そこで、食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けられるよう、学校での食育の推進が、喫緊の課題となっている。
同校でも、これまで栄養教諭を中心に食育に取り組んできた。平成26年度には文科省の「スーパー食育スクール事業」(SSS)委託校となった。栄養教諭を中心に、外部機関とも連携しながら食育を行い、これによって最終的には、児童自身が自分の食事に関心をもち、自らその課題を改善したり、保護者に改善の必要性を求めたりするような姿を目指して実践を行った。

1年間の食育の取り組みで、目指す子ども像が整備され、それに伴い、食育の全体指導計画と年間指導計画の見直しが行われた。また給食の時間における食の指導、各教科等における食育の視点を位置付けた授業が確実に実践された。
その結果、児童の食に関する知見や意欲が向上していった。

また森泉哲也新潟医療福祉大学教授の検証結果では、児童の学習意欲の向上と、「偏食がほとんどない」「食事のときに会話をする」「自律的な家庭生活である」との間に相関がみられた。
そこで2年次目の研究として、評価指標を自律的な起床・就寝や偏食の解消を内容とする「生活の自律」と楽しい会食を内容とする「食事の楽しさ」に改め、それらの改善に向けた食育を実施することとした。

研究内容は、(1)食育授業の指導計画の作成(2)栄養教諭を中核とした給食・教科等による食に関する指導の充実(3)保護者参加型の食育授業の実施――とした。具体的な方法は、(1)「生活の自律」「食事の楽しさ」をねらいとした指導計画を作成(2)各学年で「生活の自律」「食事の楽しさ」をねらいとする公開授業を行うなど研究授業を通して効果的な食育授業の在り方を探る(3)外部指導者による研究の方向性の検討、評価指標の設定、アンケートの実施と分析による評価を行う――こととした。

新潟医療福祉大学の分析では、学習意欲の低い傾向にある児童が、苦手な食べものを食べられるようになったり、自ら就寝や起床ができるようになったりすることで、学習意欲が向上したと報告されている。具体的には、失敗回避傾向や持続性の欠如、学習価値観の欠如の項目について、好転がみられた。
学校を挙げた取り組みの成果としては、低・中・高学年の「目指す子ども像」について、全職員で協議して設定したことにより、児童の実態を踏まえた今後の方向性を共有でき、職員の食育への意識が高まった。

さらに、その子ども像をもとに、「生活の自律」「食事の楽しさ」の向上を目指す全体計画および年間指導計画を作成することができた。
給食の時間における食に関する指導では、各学級担任が実施することで、児童の実態に応じた指導を実施でき、児童の食への興味・関心の高まりを感じることができた。

各教科等における食育では、授業構成、教材教具を工夫した学習活動や保護者参加型の授業を行い、児童への知識の定着や保護者への啓発を図ることができた。