(鼎談)学ぶ充実感のある算数・数学教育 part2【算数・数学教育特集】

part1 の続き )

定着志向強く発想力育たず

藤井 定着という言葉があります。知識も技能も定着させようと。でも、知識や概念が定着しては困る。新しいことを深く学んだら、いろいろと関連づけて豊かになっていく。そういう知識観を持っている先生はいいけれど、持っていない先生は、これは教えるべきだから徹底的に定着させる。

加固 広げないですね。

藤井 日本の教育界から定着という言葉がなくならないといけない。いつでも進化し広がっていく知識観を持たないと、本当はだめなんです。発展させる問いも出ないし、技能なんかも使えるようになればいいだけじゃなくて、ほかの技能とからめてもっと豊かになる。そういう発想がないと。

柴田 完成形みたいな感じがありますものね。

東京学芸大学附属小金井小学校教諭 加固 希支男
東京学芸大学附属小金井小学校教諭
加固 希支男

加固 ほかでも使えないかと思う子は、どんどん広げていきます。自分でどんどん変えていく。

藤井 定着という言葉が定着している。いい意味では教師の責任感が表れているのだけれども。でも、固定的ではないと見れば、充実感が変わってくる。

加固 台形や三角形の公式を自分たちで作り出したあとに、それで終わらせるのではなく、好きな子たちはもっとまとめられないかと思う。結局、台形の公式を知っていれば全部できると。長方形も台形と見れば、三角形も上底が0と見れば、台形の公式が最強だと。それこそ技能が流動的になり、統合していく。そういう発想は面白い。

藤井 次に数学的見方にいきましょう。一番難しいけれど、教師としてはやりがいがある。授業を見ると、見方、考え方は板書されない。言っているのはプロセスとしてのものの見方です。コンテンツは板書しても、コンテンツとコンテンツをつなぐプロセスが板書されない。

加固 そう思います。

藤井 学習指導要領はコンテンツの系列がきちっとしているから、自ずとものの見方が自然にある程度身につくようになりますが、顕在化させ、それを深め広げるのが教師の役割。問題解決型授業で問題を解くのが目的だと思っている先生がいるけれど、そうではない。

加固 考えるよりも皆がゴールに行けるように。それで解かせてばかりいては、考える過程を大事にしなくなる。

柴田 間違ったヒントカードを出すのも良策かも。

加固 「このヒント、違います」って言えたら、その子は分かっている。

藤井 極端に言うと、できなくてもいい。

加固 それ、子どもにも言います。

藤井 下手にヒントを出して見かけ上できるようになるよりは、困って苦しいかもしれないけれど、考え抜かせたほうが、その子は最終的に伸びる。

加固 そう思います。

柴田 私も。問題解決の発想がどこからきたのか分かってほしい。たとえ問題は解けなくても、考えた充実感はある。

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