(提言)メタ認知を活用し議論する【算数・数学教育特集】

第98回全国算数・数学教育研究(岐阜)大会の研究主題「学ぶ充実感のある算数・数学教育」に合わせ、「学ぶ充実感のある算数・数学教育への提言」をテーマに学者、研究者、実践者らに提言してもらった。


 

元東京都公立中学校校長 楚阪博

現在、学習指導要領改訂作業を行っている中央教育審議会は、平成27年8月に「論点整理」を発表した。その中で示されている学習指導要領改訂に向けた視点とその内容から、これからの算数・数学教育に係る授業改善のキーワードは、「アクティブ・ラーニング」と「メタ認知」であると捉えた。

「アクティブ・ラーニング」については、既に授業改善パイロット校としての研究指定校が研究成果の発表を行っており、今後も継続されることから、研究成果報告として発信される授業づくりへの示唆等の情報を取り入れ、授業改善に努めることを大切にしたい。

「メタ認知」という心理学用語は、平成10年以前の学校内外で行われてきた研修や研究会等での学習指導に関する検討・協議場面では一般的に用いられていなかった。しかし、学校で行われてきた教育活動では、用語がもつ内容を体現した指導が行われてきたことも事実である。学習指導の場面だけでなく、生徒指導の場面にも見いだすことができる。

例えば、問題解決学習における各学習段階場面、相手の立場に立って自分の行動を振り返らせる指導場面などである。家庭と連携して行う指導場面にも見いだすことができるなど、子どもの成長に係る指導に重要な考え方として活用してきている。この経験にメタ認知の概念を生かし子どもが主体的に学ぶ力を身に付けるよう指導の工夫を行うようにしたい。

授業改善には授業設計力が求められるが、日々の授業実践に当たっての授業づくりを考える際に、心がけたい点として次の3点を挙げる。

1点目は、どのような力を育てるかを明確にしているかの問いかけである。2点目は、子どもにとって楽しい学習となるための指導の工夫等をしているかの問いかけである。知ることの楽しさ、できることの楽しさ、分かることの楽しさが味わえる授業となるための指導方法の工夫の確認である。3点目は、子どもの姿からの学びを発見するための課題意識、期待感を持って臨もうとしているかの問いかけである。子どもの発想、表現から個別指導の際の指導・助言に役立つ知識を得られることが多くあり、学びを深めさせる力として身に付くからである。

日本の算数・数学教育は世界から高い評価を受けている。教員の日々の取り組みの成果である。しかし、教員の現状と課題に関する国際調査結果や新しい時代に必要となる資質・能力の育成などの教育課題から学校、教員にはさらなる意識改革が求められることとなる。その対応の一方策として、次の実践が行えているかの検討を指摘しておきたい。一人の教員としてだけでなく、学校・教科・組織・研究会等のチームの一員としてコミュニケーション力、協働解決力などの資質・能力の向上に努めること。

互いに学び合い、高め合うことを大切にし、メタ認知を活用しての議論ができる内外に開いたチームへの所属感がもてて、自信をもって授業することである。

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