ICT教育に約13億円 文科省29年度概算要求【情報教育特集】

平成29年度概算要求
【文科省】
ICT教育に約13億円 教育情報化加速化プラン
プログラミング教育で実証 デジタルコンテンツ開発も

文科省は平成29年度概算要求で、教育の情報化推進に今年度に比べて6億円増の約13億円を要望した。来年度は、コンテンツの開発や教員のICT活用能力の向上を図るなどさまざまな施策を盛り込んだ「教育の情報化加速化プラン」を推進する。

来年度概算要求で新たに設けられた「次世代の教育情報化推進事業」には3億円を計上した。次期学習指導要領の全面施行を見据え、教育情報・ICT活用を推進するための調査研究を行う。

同事業では、教科横断的な情報活用能力を育成するためのカリキュラム・マネジメントの在り方のほか、指導方法、教材の利活用などを研究する。平成32年度から小学校で全面実施の次期学習指導要領で必修となるプログラミング教育や、情報セキュリティの実践を検討する。指定校は小・中・高校の合わせて19校となる。このうちの4校が小学校で、プログラミング教育を行う。

ICT機器を活用したアクティブ・ラーニングの指導方法の開発にも力も入れる。この調査研究は、特別支援や外国籍の児童生徒も対象となる。小・中・高校の各4校が指定校となる。

民間企業と学校関係者らが連携して情報化教育を進める「官民連携コンソーシアム」を設立する。ここでは、民間と教育現場の創意工夫を取り入れ、学校現場で活用するICT教材・デジタルコンテンツの開発・共有を行う。今後は、小学校でのプログラミング教育を各教科で扱えるような指導内容について検討する。各教科では「主体的・対話的で深い学び」が実現できるような指導方法を開発する。

次期学習指導要領では、小学校高学年(5、6年)から外国語(英語)が教科化される。ICTの特徴として動画や音声を生かした補助教材を開発する。加えて、教員の指導を支える支援人材バンクも構築する。

教員のICT活用力の向上にも注力する。都道府県教委と連携を図り、教員養成系大学で、ICTを活用したアクティブ・ラーニングについての指導者養成研修を開く。8大学で実施する予定だ。

さらに「高等学校情報化担当教員研修」のプログラムを開発する。

また新規として「次世代学校支援モデル構築事業」も行う。この費用に2億5千万円を要求した。

学校と家庭・地域、教委が連携した「スマートスクール構想実証」を実施する。学校運営の改善を図るために、成績処理や出欠管理、健康診断表、学校事務などの機能を搭載した「統合型校務支援システム」をさらに発展させ、校務情報と学習記録データをつなげ、学びを可視化するのをねらう。

こうして、校務系システムと授業・学習系システムを連携させる。これによって学習データを授業の準備などに活用し、指導力の質を上げることが可能だ。さらに児童生徒がタブレット端末を家に持ち帰り、振り返り学習ができる。 

将来的には、この学習データを教委が分析し、政策立案に活用していくのも視野に入れている。

今年度も実施されている「ICTを活用した教育推進自治体応援事業」に4億8千万円を求めた。ICTを活用した教育の取り組みに地域差が出ているなか、自治体の状況に応じたサポートをするのが目的だ。

このなかに組み込まれている「校務におけるICT活用促進事業」では、教職員の業務改善のために統合型校務支援システムの導入促進を図る。このために全国の教委に向けて、校務に関する業務分析・標準化や同システムの共同調達・運用のための指針を作成する。

また情報担当教職員向けの「学校情報セキュリティICT環境強化事業」では、具体的なセキュリティ対策に関する研修を8地域で開催する。これに加えて、安全安心なICT環境を整備するための取り組みを全国8カ所で行う。

このほか、教科書や学習アプリなどを開発する「情報通信技術を活用した教育振興事業」(要求額8千万円)や、ネットの適切な使い方を働きかける「青少年を取り巻く有害環境対策の推進」(同5800万円)、へき地の学校に向けてネットでの講座配信などを行う「人口減少社会におけるICTの活用による教育の質の維持向上」(同1億1400万円)が盛り込まれている。

【総務省】
Wi-Fi導入などに予算

総務省の平成29年度概算要求では、ICT教育を推進するための予算が盛り込まれている。全国の小・中学校に「Wi-Fi」(無線LAN)を導入する予算のほか、小学校プログラミング教育の必修化に向けた実証実験の費用を求めた。

情報セキュリティや費用の問題などで学校での無線LANの導入がなかなか進まない。こうしたなか同省は、学校が災害時の避難拠点となる面に注目し、無線LANを導入するための予算を要求した。平時は授業で、災害時にはインターネットで情報伝達の手段として活用する。

今年度の概算には、Wi-Fiを導入するために約39億円が計上された。31年度までに全国の公立小・中学校に設置を完了したい考えだ。財源は、一般財源ではなく、携帯電話会社が納めている電波利用料を活用する見通し。Wi-Fiを導入するために必要なルーターを設置するための費用の一部を補助する。普及率が大幅に高まると期待する。ただ、ランニングコストは学校側が費用をもつ。

文科省の専門委員会は、次期学習指導要領が全面実施される平成32年度までにデジタル教科書を導入したいと提案。こうした音や動画で学べる教科書を活用するためにはWi—Fi環境が不可欠だ。さまざまなコンテンツを生徒のタブレット端末にダウンロードするためだ。

また災害時には学校が避難拠点にもなるため、メールなどを通じて安否確認や支援物資の情報収集ができるなどの利点がある。

第四次産業改革を踏まえ、プログラミング教育の推進にも力を入れる。来年度には約4億円を投入する見込みだ。特別支援や特に秀でた能力をもつ児童生徒のためのコンテンツの開発を行う。さらにそのコンテンツをクラウド上で共有できるようなポータルサイトを構築する。

プログラミング教育の実証実験は今年度から開始された。NPO法人や企業などの民間団体と北海道から沖縄県までの小学校11校が連携して授業内容についてさまざまな取り組みがなされている。来年度は小学校を対象に出前授業を行う計画だ。 

このほか、文科省と連携し、児童生徒が利用する学習系システムと教員が利用する校務系システムを連動させるための「スマート・スクール・プラットフォーム実証事業」に5億円を充てる。 

【戻る】