教員の業務効率化で効果 校務支援システムを導入【情報教育特集】

校務支援システムを活用する教職員
校務支援システムを活用する教職員
青森県八戸市教委

青森県八戸市教委は昨年度の2学期、スズキ教育ソフト(株)の校務支援システムを試験導入し、今年度から全小・中学校68校で本格稼働している。教員の校務効率化や事務作業の負担軽減が図られ、児童生徒と向き合う時間が確保できるほか、教育活動に専念できる環境づくりにつながると期待を寄せている。校務支援システムの運用は、県内では初めての試みだという。

同市の教育情報化については、平成22年度に国のICT支援事業を活用し、八戸市教育情報ネットワークシステム(HENS=ヘンズ)の再構築を行った。このシステムは、総合教育センターサーバと、市内全小・中学校と教育委員会を専用回線でつないだシステムであり、併せて、教員1人1台の校務用コンピュータも導入した。これにより、インターネットと遮断されたイントラネット内で、グループウェアを活用したり、各学校のデータを教育センターサーバに一元管理したりするなど、情報の共有化を進めてきた。このシステムを導入して5年あまりが経過したが、導入時の教員の戸惑いなどもなくなり、日常業務で積極的に活用している。

そして、このHENSを基盤に、次へのステップとして導入したのが、校務支援システムだ。

導入に当たり最も重視したのは、児童生徒の情報漏えいを防ぐための安全対策である。同市で使用されている校務用コンピュータは、教員1人1台に割り当てられている、かぎの役割となる専用のUSBを挿入しなければ起動できないようになっている。

また校務支援システムのデータは総合教育センターで一元管理され、校務用コンピュータの校務モード(インターネットと遮断されたモード)でのみアクセスできるようになっている。加えて、教員が利用するたびに、パスワードを入力して操作ができるようになっている。

導入したシステムには、▽名簿情報管理▽出欠席情報管理▽小学校成績処理▽中学校成績処理▽通知表作成▽調査書作成▽指導要録作成▽保健管理▽体力テスト処理▽地域集計の各機能が搭載されている。

校務支援システムの導入により、各種文書などが電子化される。そこで、同市では、校務支援システムの導入に伴って、電子化される公文書の種類や内容や、その取り扱いについて、「校務支援システム導入による電子化移行への概要」を作成した。さらに指導要録や、養護教諭向けに児童生徒の健康診断の記録を電子化するためのガイドラインも作成し、各学校に周知した。

このうち、指導要録については、今年度から「指導要録作成」機能を使って作成し、電子化への移行を図る。学籍に関する記録(様式1)については、入学・転入時に指導要録作成機能を使って作成・印刷し、氏名・住所変更などがあれば、担任が追記する。また、指導に関する記録(様式2)については、作成したものが、電子保存となる。要録のレイアウトに関しては、様式1、2ともに、八戸市の様式にカスタマイズされている。

ほかにも、子どもたち一人ひとりの日々の様子を記録する機能もある。この機能は担任のみならず、校内全ての教員が入力でき、子どもたちの様子を多面的な視点から記録し、蓄積できる。この機能で、よりきめ細やかな指導につなげることができる。

市教委は、同システムを平成27年10月から市内全小・中学校(当時70校)で試験的に運用した。事業費は試験導入などの費用を含み同年度からの5年間で約1億3千万円。また、同年9月から教員向けの研修会を開いている。

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八戸市教委の河村雅庸主任指導主事に校務支援システムの導入経緯や今後の展開について聞いた。

教員の労働環境については、伊藤博章教育長が就任当時から課題意識をもっていた。教員の労働環境を改善することが、教育の質の向上につながると考え、校務支援システムを導入した。

まずは市教委でプロジェクトチームを立ち上げ、システムの導入に向けて検討してきた。そして、昨年度の試験導入などを経て、今年度本格導入した。

校務支援システムを利用することで、学期末・学年末などの事務作業で日頃入力しておいたデータが自動算出され、通知表などに記載する情報を用意する時間がぐっと削減される。さらに、これまで何度も転記していたものが一瞬で読み込まれるため、たいへん効率的になる。

まだ半年ほどだが、現場からは負担軽減が図れているとの声が聞こえている。また、スズキ教育ソフト(株)の丁寧なサポート体制もあり、順調に活用が進んでいる。これからも、機能面・運用面の両面にわたり、より効率的に活用していけるよう、現場の要望等を受け、改善を図っていきたい。システムの導入により、教員の本来の業務である子どもたちと向き合う時間の確保ができ、触れ合いのある学校づくりにもつなげていきたい。

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