2020年代の新たな学びに対応 学習者用デジタル教科書・教材を来春発売【情報教育特集】

デジタル教科書の書き込みを基にノートに整理する小平市立小平第七小学校
デジタル教科書の書き込みを基にノートに整理する小平市立小平第七小学校

今年6月の文科省「『デジタル教科書』の位置付けに関する検討会議」中間まとめでは、平成32年度以降は、デジタル教科書を紙の教科書と併用できる方針が示された。そうした流れを受け、学習者用としては実質的に初と言える、小・中学校向けの本格的なデジタル教科書が、光村図書出版(株)から来年3月に発売される。

同中間まとめでは、デジタル教科書には、▽アクティブ・ラーニングの視点に立った主体的な学び、対話的な学び、深い学びの実現▽個々の能力や特性に応じた学びの実現▽離島や過疎地等の地理的環境に左右されない教育の質の確保に大きく貢献すること——が期待されている。同社のデジタル教科書は、その要件を満たすために、多彩な機能とコンテンツを備える。

ビューアには、教科書会社など13社で構成されているコンソーシアム「CoNETS(コネッツ)」の共通ビューア(CoNETSビューア)を採用。「教科書コンテンツ」では紙面をそのまま再現。スクロール表示や図、挿絵の拡大機能とともに、「総ルビ」「白黒反転」「強調表示」などの特別支援に関わる機能も搭載した。さらには書き込みはもちろん、朗読音声の再生が可能。新たな機能として、自在に教科書の文章や図表を抜き出せる「マイ黒板」を備えており、従来の学習法より児童生徒の負担も少なく、効率的ながら深い学びが期待できる。

また、知識・技能の定着のために、教科書を補助する「教材コンテンツ」も豊富。漢字の筆順が分かるアニメーションや、教科書と連携する課題、児童生徒の表現力を高める「話すこと・聞くこと」領域の動画も多数収録されている。

同社では、課題や教材に立ち向かい、友達と考えを語り合い、自らの考えを伝えていく学びのあり方を重視し、「思考の作業台」であり「マイ教科書」であることを目標に開発。そして特別支援のための機能も充実させ、「誰でも学べる教科書」を目指したという。

すでに小学校などで長期間にわたる実証研究も行っており、文章の読解が困難だった児童が、同社のデジタル教科書の総ルビ機能で文章を読めるようになり、テストの成績まで大幅に上がった事例も認められた。

マイ黒板で整理した考えを交流する筑波大学附属小学校
マイ黒板で整理した考えを交流する筑波大学附属小学校

一方、学校現場への導入を目指す上での課題も多い。同中間まとめでも、「タブレットPCや電子黒板・提示機器等の機器や無線LAN等のネットワーク、システムなどの構築にコストがかかることや、専門知識が必要となることで整備が進まず、教員や子供が使いやすい状況になっていない」と現況を報告している。これから4年の間に、自治体や学校の取り組みがどこまで進むかが大きな課題となる。

同社では「現時点では、学習者用デジタル教科書は教科書ではなく教材としての位置付けだが、2020年に先駆けて発売することにより、次期学習指導要領(移行期)に向けた授業改善などの教育課題に取り組む有効な方法の1つとして提案したい。児童生徒1人1台の情報端末による整備を進める自治体や学校には、特に導入をお薦めしたい」と話している。

発売は2017年3月を予定しており、商品名は小学校用が、「平成27年度版小学校教科書準拠教材 学習者用 光村『国語デジタル教科書』(3~6年)」。中学校用が、「平成28年度版中学校教科書準拠教材 学習者用 光村『国語デジタル教科書』(1~3年)」。対応OSはウィンドウズ10、またはウィンドウズ8・1以上のアップデート版となる。iOSについては、今後対応予定。

また、これに伴い、小学校の活用モニター校を、100校を上限に募集する。募集期間は10月3日から12月20日までで、モニター期間は10月17日から来年2月28日まで。モニター教材として、小学校3~6年の下巻を無償提供する。詳しくは、同社サイト(http://www.mitsumura-tosho.co.jp/)に掲載されている。

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