(インタビュー)中高で必修「コンピュータ研究」 カナダ・オンタリオ州【情報教育特集】

リズ・サンダルス教育大臣
リズ・サンダルス教育大臣
カナダ・オンタリオ州
リズ・サンダルス教育大臣に聞く

カナダは世界の中でもICT教育が進んでいる国の一つである。5月14、15の両日、岡山県倉敷市で開かれたG7倉敷教育大臣会合に同国CMEC(カナダ教育閣僚協議会)代表として出席したオンタリオ州のリズ・サンダルス教育大臣に、BYODやプログラム教育などの現状ついて聞いた。

——オンタリオ州にある小学校の半数以上がBYODを導入している。利点と課題は。

BYODを導入するかどうかは、地元教委の判断に委ねられている。だが、BYODは州全体の児童生徒にとって重要な役割を果たしていると認識している。生徒の中には、学習に後れを取っている者もいる。こうした生徒には、ICTを活用して支援することで、各自のペースで学習できる。結果として彼らの可能性をフルに引き出せるカギになると考えている。

生徒は自分のデバイスで24時間いつでも効果的に学習できるのが大きな利点。その一方で、自分のデバイスを持っていない生徒にも、教委はデバイスへのアクセスを確保する何らかの対応をしなければならない。

情報通信技術ツールは、生徒に実際に起きている問題について情報の収集や整理、分析の手段だけでなく、それらについてレポートを書いたり、それをマルチメディアを利用してプレゼンしたりといった学習を可能にする。そして、その対象は、オンライン学習の生徒であったり、地域社会であったりと、無限に広がる可能性を秘めている。

こうしたICT教育の効果的な実践を促進するためにオンタリオ州では、各教委などとの連携を図っている。

——ICT教育における教材整備は。

州政府では、幼稚園児から12年生までを支援している。21世紀型スキルを開発するために、基金を通じて1億5千万カナダドルをマルチメディア教育の整備に投資している。この基金は、学校におけるタブレットPC、カメラ、ソフトウェア、教師のためのトレーニング、学習ツールなどの支援技術の導入を援助している。

州がICT環境を開発し整備している大きな理由は、州内の全教委でオンラインやオンラインと対面型の学習を織り交ぜたブレンド型学習、コミュニケーション、アセスメントを行える対話型ツール、リソース、コンテンツ活用ができるようにするのがねらいだ。

こうした学習をするための通常コースのほかに、単位取得のためのオンラインコースや、オンラインによる放課後の宿題支援サービスなどがある。このような柔軟な対応は、児童生徒の学びを支援するためにたいへん有効である。

——日本では2020年に小学校でのプログラミング教育を必修化する予定だ。オンタリオ州での現状は。

技術はますます進歩し、世界はよりグローバル化されて緊密につながってきている。進化する世界での競争にも十分に対応できるような知識や技術を習得した人材を育て上げることが重要である、と私たちは認識している。

州では情報通信技術を身に付けるために、さまざまなカリキュラムを組んでいる。

小学校では、情報通信技術の基盤となる数学や科学技術の知識と技術を構築する科目がある。

中高では、コンピュータ研究またはテクノロジー教育の単位を必須科目とすることができる。加えて卒業に必要な12の選択科目としても両分野からさらに科目を選べる。プログラミング、コンピュータ工学、ソフトウェアといったコンピュータ理論の概念やアプリケーションを探究するための多様なコンピュータサイエンスコースが用意されている。

さらなる専門分野を深めたい生徒のために、コンピュータ研究のカリキュラムを設けている。これには、プログラミング、データベース分析、コンピュータ科学、教育、エンジニアリング、ソフトウェア、情報技術、ゲーム開発などが含まれており、学習基盤を構築している。このうち重点学習分野の一つとして、10年生から12年生までで行われるプログラミング技術の開発が挙げられる。

このほか技術教育テクノロジーのカリキュラムでは、エレクトロニクス、ロボット工学を含むコンピュータ工学やコンピュータ技術のコースなどがある。

またプログラミング学習に関しては、クラブ活動やロボット競技会といった課外活動の機会も提供している。

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