【工業】宮城県石巻工業高等学校

先輩たちから引き継いだ実験に取り組む
先輩たちから引き継いだ実験に取り組む

行政と協同でプロジェクト
光触媒の実用化で環境浄化を目指す

本校は、石巻市との協同事業「石巻市光触媒プロジェクト」を行っている。

この事業は、石巻市では生活環境部が、石巻工業高校では化学技術科と天文物理部が実施主体となり、光触媒の技術を通した環境浄化に関する研究の推進、環境意識の高い人材の育成、環境問題に対する市民の啓発を図ることを目的として平成22年から開始された。以来、化学技術科では材料実習の一テーマとして光触媒の学習を行い、天文物理部では光触媒に関する研究と科学イベントへの参加を行ってきた。

天文物理部での光触媒の研究の目標は、光触媒で石巻市内の水質浄化や悪臭浄化を行うことである。

粉末酸化チタンを水中に分散させて光(紫外線)をあてると色素が分解されることはすぐに確認できた。これを応用して水中の汚染物質などを分解すれば良い。だが、粉末酸化チタンを入れた水は白色の懸濁液となり、水と酸化チタンを簡単には分離することができない。水と分離できる光触媒材料を開発することが課題となった。

ガラス表面に酸化チタンを析出させてみたが、表面積が小さいせいか分解能力が確認できない。接着剤やセメントで酸化チタンを固定化してみたがやはり分解能力は確認できない。スポンジ状チタンの表面を酸化させて、内側がチタンで表面が酸化チタンの材料を作り出そうとしたが表面をうまく酸化できない。

数年間の試行錯誤の後、26年にたどり着いたのが、ガラスゾルと酸化チタンを混合し焼き固める方法だった。この方法で作った「ガラス固化酸化チタン(TFG)」は、欠けやすく分解能力は粉末に劣るものの、一定の分解力を持ち水を白濁させない実用化の可能性を持つ材料である。現在の部員は、先輩から引き継いだTFGの改良とTFGを利用した水質浄化装置・悪臭分解装置の製作を行っている。

工業高校での研究は、実社会の企業における研究開発とはレベルが異なり実用的なものを生み出すことは非常に難しい。まして、「光触媒」のような機能性材料を取り上げ、多少なりともオリジナリティのある材料をつくりだし、その実用化を目指そうとするのは”身の程知らず”かもしれない。

だが、その研究に挑戦する中で培われる創造性・忍耐力・協調性・技術力などは、自分で考え創造できる技術者となるために必要不可欠のものだと思うのである。

今後も、この事業を通じて技術者としての資質を高める教育を続けていきたい。そして、産業教育フェアの場でそのような熱い思いを全国に発信していきたい。

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