【意見・体験発表】水産で地域を元気にしたい

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新潟県立海洋高等学校海洋科学科栽培技術コース第3学年 大越まりあ

 

私の故郷である埼玉県には、海がありません。私にとって、海は小さい頃からの「あこがれ」であり「未知なるもの」でした。

中学校3年になり、進路について悩んでいたときに、新潟の親戚から海洋高校を紹介されました。そのとき、県外の高校に行く考えはありませんでしたが、学校説明会や文化祭に参加し、海洋丸に乗船したり、栽培実習棟でヒラメの飼育管理を体験して、ぜひ、この海洋高校で海や生物について学びたいと思うようになり進学を決めました。

入学してすぐに、私はダイビング部に入りました。「海に潜って、直に生き物を見てみたい」と思ったからです。ダイビングはもちろん初めてで、毎日が新鮮な発見の連続でした。2年生に進級する時には「海に潜った時に、魚のことが分かるといいな」という軽い気持で栽培技術コースを選択しました。

毎年、私たち栽培技術コースの新学期は、マコンブの取り上げからスタートします。私たちが養殖したマコンブは、乾燥した後、地元の企業に出荷され、福祉関係の作業所で細かく粉砕されます。その後、製麺会社でウドンに練り込まれ乾麺として販売されています。製品開発や包装紙のデザインは、生徒が行いました。ちなみに、商品名を「まこちゃんうどん」といいます。麺にちょっと、コンブの粘りがある感じで風味もよく、のど越しも最高なので私も夏にはよく食べます。販売会社の社長さんによると、1千万円から2千万円の売上があり大変好評とのことでした。

私は、自分たちの養殖したマコンブが地元の企業と連携することで、わずかであっても地域に仕事をつくり利益を生んでいることを知り誇らしい気持ちになりました。同時に、もっと多くの人に喜んでもらうことができるよう、マコンブ養殖を頑張ろうと思うようになりました。

北海道の立派なコンブに比べると身が薄くて商品価値は劣りますが、考えようによっては身が薄いので、やわらかく加工しやすいとも言えます。見方を変えることによって短所が長所にもなるのです。私はこの実習を通して、物事をいろいろな面から見る気持ちが持てるようになった気がします。このことは、これからの人生を生きていく上でとても大切なことだと思いました。

そして、今、私は、チョウザメとイトウの養殖に大きな興味をもっています。学校には淡水養殖施設がないので、地元企業が養殖場を建設し、企業と協力して昨年の6月から養殖に取り組んでいます。国や県、糸魚川市からも産学連携の教育事業として応援していただいています。

全長10センチのチョウザメ稚魚500尾と、5センチのイトウ500尾を導入して養殖を開始し、チョウザメは1年間で45センチにまで成長しました。来年からは魚肉の出荷を、7年後にはキャビアを生産することを目指しています。また、イトウは幻の魚と言われるサケ科の仲間で、成熟するまでに5年もかかります。飼育をはじめてまだ1年ですが、4年後に種苗生産することを目標にしています。もちろん、どちらも私の卒業までにとても間に合わないので、目標達成を後輩たちに託したいと思います。

今年から、キャビアの海外輸出が解禁されました。私たちの生産したキャビアが、糸魚川産キャビアとして世界中で食べられると考えただけでもワクワクします。その時には、チョウザメ養殖が糸魚川の重要な産業になっているに違いありません。イトウのお刺身が糸魚川の特産品として地元のおすし屋さんやレストランに並んでいるかもしれません。それを食べるために、大勢の人が糸魚川を訪れる場面を想像してみてください。なんてすばらしい事でしょう。今、私は、その土台作りに実習を通して参加していると思うと、とても充実した気持ちになります。

最初、私は「海に潜ったときに、魚のことが分かるといいな」という軽い気持ちで栽培技術コースを選択したと言いましたが、3年生になって、そんな気持ちはどこかに行ってしまいました。マコンブやチョウザメ、イトウなどの実習や部活動を通して「海と魚が持つ、人を幸せにする力」に気付いたからです。それは、地域に新しい産業と仕事を生み出し、地域の元気に貢献する力とも言えます。「海と魚」には、このほかにもいろいろな可能性があるに違いありません。この学校と地域には、それを引き出してくれるエネルギーがあるのです。

今、私は、海洋高校で学ぶことができて本当に良かったと思います。卒業後は、ここで学んだことを発展させるために水産・海洋系の大学に進学して、幅広く「海と魚が持つ」可能性について考えてみたいと思います。そして、将来は、水産業で地域の活性化に貢献できる人間になりたいと思います。

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