【ロボット相撲】世界に通用する技術・行動力を

富士ソフト株式会社 ロボット相撲大会事務局長 金井健

 

ロボット相撲の国際化。現在、富士ソフト(株)が集めた情報だけでも、世界の22カ国がロボット相撲を通じてロボティクスを学んでいる。

ロボット相撲大会は今年で28回目の開催となった。今から28年前、1990年に当時、富士ソフト(株)の代表取締役社長であった野澤宏(現在、代表取締役会長執行役員)の考案で始まっている。当時、ロボット競技といえば、マイクロマウス、ライントレースといった大会が始まったばかりの時代である。当時はめずらしい対戦型のロボット競技大会としてスタートした。

開始から5年、92年に全日本ロボット相撲大会が文部省に注目され、93年からは、全国の工業高校生が参加する高校生の部が始まり、全国を9ブロックに分けた地区大会が開催されるようになる。これにより全日本ロボット相撲大会は、文字通り、全日本で開催される大規模な大会になった。

98年の第10回記念大会として、全国大会入賞者をアメリカ巡業へと招致した。ここが、ロボット相撲の世界展開の始まりとなる。

巡業先として、デイビット・カルキン氏が米国サンフランシスコで主催する、RoboGames(旧称・ロボリンピック)にロボット相撲競技が組み込まれた。

このRoboGamesは、様々なロボット競技や展示が行われ、防弾ガラスで覆われたフィールドで行われるCombat競技は100キロ級クラスを最大に、重さの規定のみ制限あるだけ、何をやっても良く、とにかく相手へダメージを与え動かなくすれば勝利という、アメリカらしいロボットの格闘競技がメインで行われる。Combat競技に続く、スパルタンなロボット相撲は人気があり、特に日本から訪れる相撲ロボットはコンパクトでスピーディー、海外のロボット愛好者の“憧れの的”となった。アメリカではキットも販売され、手軽に対戦競技ができるものとして広まっていった。

03年の第15回全日本ロボット相撲大会まで5回に渡り、全国大会入賞者を連れたアメリカ巡業は行われたが、この頃、9・11テロやイラク戦争が起こり、ロボット相撲大会としても選手の安全確保が担保できないために海外巡業をあきらめざるをえなくなった。

その後、08年の第20回の記念大会で海外選手を招致し、全日本ロボット相撲全国大会へ海外選手が出場するという形式で国際化が再開した。

この頃のヨーロッパでは、オーストリア ウィーンで行われるRoboChallengeという大会の中でロボット相撲が行われ、200台を超える相撲ロボット選手が集まるエキサイティングな対戦が行われていた。

また、国が独立して間もないエストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国でも各国持ち回りでロボット相撲大会が開かれていた。彼らの相撲ロボットのレベルは、自己流とは思えないほどの高い性能を持っていた。当時、日本の大会では惜しくも入賞はできなかったが、大会の映像を見ながら情報を集めて仕上げたという彼らの相撲ロボットは日本の地区大会を勝ち抜けるほどの完成度で、われわれもその熱心さに感銘を受けた。

またその年は、トルコでも日本との国交120年を祝した日本年(JapanYear)が展開され、トルコから日本、日本からトルコへとさまざまな技術、文化交流が行われた。当然、この中には工業技術、ロボティクスも含まれ、ロボット相撲を経験した工業高校の先生方が文化交流に活躍され、ロボット相撲というロボティクスを学ぶ教材がトルコにも伝わった。

トルコでも、トルコ国民教育省とJICAが主催するトルコロボットコンテストが開かれ、ロボット相撲はこのコンテストのメインとして、300校を超える高専、大学などが参加する対戦となった。このJapanYearに行われたトルコロボットコンテストへも高校生ロボット相撲全国大会の上位入賞者が招致され、現役高校生がコンテストで大活躍したことが今も記憶に残っている。

その後、ロボット相撲は、メキシコ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ブラジルと中南米へも伝わっていく。

メキシコは、6年もの間、ロボティクス学習のための教材として、ロボット競技を調査研究、重要な要素を持っているロボット競技としてロボット相撲を選択された。そして2013年、第1回目のインタナショナルロボットコンテスト「CopaInternacionaldeRoboticaIPN-Mexico」を開催する。

エクアドルやペルー、コロンビアからも参加し、ロボット相撲への参加は200台を超え、IPN(メキシコ国立工科大学)の学長曰く、“ロボット相撲はロボティクスを学ぶ最高の教材”、など評価されている。

現在、ロボット相撲は、世界22カ国(オーストリア、スペイン、ポーランド、ルーマニア、トルコ、リトアニア、ラトビア、エストニア、エジプト、コンゴ、モンゴル、中国、インドネシア、カナダ、アメリカ、メキシコ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ブラジル、パラグアイ、アルゼンチン)で取り組まれており、この中でも海外で行われる16のロボット大会を全日本ロボット相撲大会公認大会と位置づけ、上位入賞者を日本で開催するINTERNATIONALROBOT-SUMOTOURNAMENTへ招致している。私自身、10カ国に出向き大会を見てきたが、海外の相撲ロボットのレベルはここ5年ほどで飛躍的に向上しており、製作技術は日々向上している。

ロボット相撲の広がりは、必要、必然で広まっており、それは世界中がその良さを評価し取り組んでいるといえるのではないだろうか、日本の相撲という格式高い競技・文化は、ロボティクスとの融合により、世界中のロボティクスを学ぶ教材としてさらに広まっていくだろう。

ロボット相撲を通じてロボティクスを学ぶ皆様、ぜひ、富士ソフトの社会貢献活動である全日本ロボット相撲大会を、ロボット相撲を通じてロボティクス技術の基礎基本を学び、研究意欲の向上と国際交流を経験し、世界に通用する技術力、行動力を身に着ける場としていただけたら幸いです。

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