27年度教材整備決算は増額 次期学習指導要領に向けた教材整備の現状と課題【教材整備特集】

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次期学習指導要領に向け「教材整備指針」見直しへ
27年度教材整備決算は増額
清重隆信文科省大臣官房会計課地方財政室長に聞く

次期学習指導要領に向けた教材整備指針の見直しや、地方財政措置がなされている「義務教育諸学校における新たな教材整備計画」の現状について、清重隆信文科省大臣官房会計課地方財政室長に聞いた。

——教育分野における地方財政措置はどのようになっているか。

国民が負担する租税収入は国と地方の割合は6対4となっている。その一方で、実際の行政経費はその逆となっている。そのうち、教育分野では8割が地方費で、2割が国費となっており、地方費の役割が非常に大きい。教育費全体の財政規模は約16・7兆円で、そのうち国費は約2・5兆円なのに対して地方費は約14・2兆円である。

このような現状から考えると、教育環境を整備するのは、国費だけでなく、何よりも地方費がどれだけ教育分野に財源を注力できるかにかかっている。

——教委はどのように予算を獲得すればいいか。

平成27年度から始まった新教育委員会制度では、首長と教育長、教育委員会のメンバーが直接議論できる総合教育会議の設置が義務付けられた。教育委員会メンバーと首長が文教行政の問題点や環境整備について議論することになった。

これによって、必要な教育分野で予算措置が充実するようになる。地方によってはまだ温度差があるが、この仕組みを活用して教育環境を充実していかなければならない。

例えば、教材整備、学校図書館図書整備、ICT環境、JETプログラムなど教育環境整備にかかる多額の地方財政措置がされており、この点を考慮に入れて議論してほしい。

——次期学習指導要領は32年度、小学校から順次全面実施される。それに伴い、教材整備はどうなるのか。

今年度末には小・中学校の学習指導要領が告示される見通しとなっている。それに合わせて自治体が教材を購入する目安となる「教材整備指針」は見直される予定だ。特に次期学習指導要領では、主体的・対話的で深い学びによる授業改善が求められる。それに合わせて教材の見直しが必要になるだろう。その時機は、前回の例にならえば、小学校で全面実施となる前の31年度に示される見込みだ。

——24年度から33年度までの「義務教育諸学校における新たな教材整備計画」の状況は。

同計画は今年度で5年目を迎える。ちょうど折り返し地点である。単年度800億円、10年間で総額8千億円の規模となる。新たに整備する経費や保有している教材の更新費などに充てられる。現在把握している決算額は27年度で約860億円。前年度の約700億円と比較すると、増額となっている。28年度の決算状況は今秋にまとめられる見込みだ。27年度同様に、800億円規模であればと期待している。

スクリーンショット 2017-03-02 18.24.30——「教育のIT化に向けた環境整備4か年計画」は26年度から29年度までで、来年度が最終となる。

文科省の学校における教育の情報化の実態等に関する調査によれば、公立学校全体の教育用コンピューター1台当たりの児童生徒数は6・2人で、目標の3・6人に対してまだ道半ばである。一方で、トップの佐賀県が2・2人に1台なのに対し、最下位の埼玉、神奈川の両県は各8・2人に1台で、3・7倍の地域差がある。次期学習指導要領を踏まえると問題は深刻だ。来年度は同計画の最終の年であるので、地方財政措置されているのを念頭に、学校における教育の情報化を進めてもらいたい。

——地方財政措置が予定されているが、地方自治体に期待することは。

社会保障費の広がりもある中で、一般行政経費の単独事業が厳しい状況だ。だが、基礎自治体である市町村には、新しい制度である総合教育会議を活用して、教育環境の整備に努めてもらいたい。