基調講演【第14回博報教育フォーラム】

足もとにある宝ものについて語る鹿毛教授
足もとにある宝ものについて語る鹿毛教授
今があるから未来はひらかれる
鹿毛雅治慶應義塾大学教授

基調講演では、鹿毛雅治慶應義塾大学教授が、「『今、ここ』が未来を拓く」をテーマに話した。

まず、「足もとにある宝もの」から連想する話として、童話の「青い鳥」に触れた。魔法使いのおばあさんに頼まれ、小さな兄妹が幸せの青い鳥を探して旅をする。同教授は「幸せ探しを示唆し、『足もとにある宝もの』を象徴するような物語」とした。

続いて、人は過去・現在・未来のどこに見通しを持って志向するのかを考える「時間展望(タイム・パースペクティヴ)」の話に。人は物事を考える際、▽過去を振り返る「過去志向性」▽刺激や快楽を求めたり運命を意識したりする「現在志向性」▽未来を考える「未来志向性」——の3つに影響される。同教授は、キャリア教育がいわゆる「未来志向性」であると指摘。目標を定めて進むのを支えているのが未来志向の精神とした。

一方で、「今」が軽視されると感性が犠牲になると語った。五感を通した感覚の働きである感性は、非意識的に働いている。心理学からみると、包括的で直感的に行われる心的活動や能力を「感性」と呼ぶ。近年は、感性が再評価されているとし、「過去、現在、未来のバランスのとれた時間展望が望ましい」と話した。

また感性と理性、その2つをつなぎ体験を意味付ける役割を持つ悟性の3つで知性は成り立っているとも話した。

最後に「足もとにある宝もの」に関連して「灯台下暗し」の話に。「灯台は周りを照らすが足下は暗い。そうしたときに改めて足下を見て、未来を捉えていく必要がある」とし、「地域や地元、身の回りや身近な生活を、当事者として目を向けて関わる。当たり前な日常に目を向けるのが大切」とした。

さらに、「生き方よりも在り方が問われている」と指摘し、「明日のための今がある。今を丁寧に生きることが明日につながる。過去や未来に縛られすぎず、今があるからこそ未来がひらかれるのを肝に銘じるのが大切」と呼び掛けた。