教育活性化部門 福島県飯舘村立飯舘中学校【第14回博報教育フォーラム】

田植え踊りを練習する生徒
田植え踊りを練習する生徒
福島県飯舘村立飯舘中学校
ふるさとへの思いを形に

「『これまでよりこれから そしてここから』ふるさとの未来を拓く生徒の育成」をテーマに、福島県飯舘村立飯舘中学校の玉野寛子教諭が発表した。同校は、東日本大震災による全村避難により、隣村にある県立高校の一角の仮設校舎で授業をしている。将来への不安などがある中で「今だから、飯舘中だからこそできること」を掲げ、ふるさと学習として、(1)仮設住宅での清掃奉仕(2)伝統文化の継承(3)他校との交流——を展開した。

(1)では、仮設住宅で家族と離れている人たちと交流。最初は遠慮がちだった生徒も、お年寄りに自ら声を掛けるように。誰かのために努力する尊さを味わい、「やってあげる」から「させていただく」と感謝の気持ちを表すようになった。

(2)では、東北地方で正月に行われる田植え踊りを仮設住宅訪問などで発表。震災以降ずっと仮設住宅にこもっていたお年寄りが、生徒の田植え踊りのお囃子に引かれるように外に出てきた。口上や着物の着付けにも挑戦し、今度は自分たちが伝統を伝える側になりたいと思う生徒も。他にも、民話を紙芝居にして残す活動や、この紙芝居をもとにカレンダーや映画会社とアニメーションを作った。大豆を栽培して味噌づくりも行った。

(3)では、岐阜県各務原市立中央中学校の生徒とスカイプやホームステイなどで交流。「飯舘村の復興には何が必要か」を考えるパネルディスカッションで「放射線量が下がったら村に戻るか」と問われた生徒らは「生活の不便さや進路の問題から村には帰らない」「若い僕らが帰らなければ誰が村を守るのか」「村に戻り田植え踊りを継承したい」などと話した。

生徒の村への思いを形にするため、▽ドラマ制作▽村の問題を議論するディベート▽ふるさとの良さを発信するものづくり——を企画。ドラマ班は、仮設住宅の住民などに取材して演劇台本を執筆。家族の葛藤と未来に向けて問題を乗り越えていく姿を描いた。ディベート班は村の未来を考え、ものづくり班は村の紹介パンフレットやレシピ集、村民歌レリーフを作成した。今年度は、ふるさと学習を評価するルーブリックを作成し、分析を来年度の活動計画に生かすという。

ふるさとを離れて暮らしている今の生活があるからこそ見えた課題や成果があり、ふるさとや自分の未来について考える生徒たちの姿がうかがえたという。