座談会「学校図書館の活用で新しい学びの姿を」 part2

3月31日に告示された新学習指導要領では、学校図書館を活用した「主体的・対話的で深い学び」の実現が求められている。その中で、現状の課題や教育現場の工夫などについて、「新学習指導要領と学校図書館の役割」をテーマに、関係者で座談会を行った。


司会 学校図書館の機能については。

小学校の読書指導が重要 森田理事長
小学校の読書指導が重要
森田氏

森田 読書・学習・情報の3つのセンター機能がありますが、実態が伴わず、ほぼ読書センターのみでした。それがようやく真の意味で他の2つの機能が認知されてきました。これらの機能に教員支援を加えるのが必要です。学校図書館法に教員支援について記述がありますが、児童生徒の支援も十分にできない時代では二の次、三の次でした。今は司書教諭や学校司書が支援すると他の先生たちは授業がしやすくなります。教員の多忙化の中でとても有効です。その分、教材・資料の準備や教材研究に時間を充てられます。オーストラリアの学校図書館には教員支援センターがあり、教材研究に必要な資料を保存・管理・提供する専門司書がいます。日本にもそういう機能があればと思います。

新学習指導要領に目を向けると、学校図書館に関する記述が質・量とも充実しました。国語科にはたくさんあり、たいへんうれしいです。ただ、国語科と社会科以外には「コンピュータ、情報通信ネットワークの積極的な活用」との文言が多く、これに学校図書館も入れてもらえたらと思います。一読するとコンピュータ中心で、学校図書館の機能が置き去りになっている感があります。

探究学習に資料の充実 石橋司書教諭
探究学習に資料の充実
石橋司書教諭

石橋 久しぶりに担任した小1には、字を読めない子がいます。文章をまとまりとしてではなく一字ずつ追います。それが学年末には読めるようになり、自分でも本を読みたくなるのです。最初は声を出し指で文字を拾っていた子が、読めるようになると、どんどん本を持ってきて読むようになる。1年間の変化を見ると、やはり本が持つ力は素晴らしく、読書はいいなと強く感じます。本は子供と関わっていく上で私の原点です。読書は子供を成長させる原点でもあります。これらを広めていくのが司書教諭の仕事だと思っています。いまは、これまでの経験を若手に伝えていかなければと感じています。

竹下 平成2年くらいから子供たちの読書離れが進んでいるといわれています。本を読まずに過ごしてきた子が多かった。そういう人たちが今、教員になっている現状があります。文科省への要請として、教員養成大学のカリキュラムに、指導方法を学ぶ読書科を設けたり、図書館の利用方法を学べたりできるようにしてほしいです。モデルとなる学校図書館を大学の敷地内に設置していただきたい。教員志望者が学校図書館をすんなりと理解できるようになると思います。さらに全小学校教員が司書教諭の資格を持てるような制度にしてほしいです。司書教諭は子供たちと接する機会が少ない。一方、担任は毎日接しているわけで、個々の子供の特性に応じて本の面白さを伝え、教えてあげられるのではないでしょうか。

森田 いま一番心配しているのが中・高校生の読書離れで、なぜそうなったのか検証しないといけません。スマホを操作し短文ばかり読んでいるとの予想はつきますが、それだけではないと思います。小学校で系統的な読書指導がきちんとなされていないのではないか。マスコミ受けする読書活動は盛んですが、本当に自立した読書ができる市民になれるよう地道に育てていないのが現状です。だから中学校では、読書する時間と冊数が、がくんと減ってしまう。勉強や部活動で忙しい中でも読書をしている子はたくさんいます。30年前、40年前の中高生は暇だったわけではなく、忙しくても本を読んでいました。小さい頃から読書習慣が身に付いていたからです。ですので、小学校の読書指導はたいへん重要です。これからはAIが活躍する時代になります。AIに使われるのでなく使う立場にならなければなりません。そのためには読書を通じて子供たちの創造力と想像力を育まなければなりません。

坪田 PISA2015では、日本の数学と科学のリテラシーは非常に高いレベルにありました。しかし、読解力は前回よりも下がりました。スマホ利用で長い文章を読む機会が減っている現状があり、LINEなど短文だけでやり取りをしているので、学校の早い段階で長文を読んだり書いたりする経験をしなければいけない。小学校からの読書指導がしっかりとされてない結果が中高生の読書離れにつながっているのは事実です。小学生の段階から、大学受験や就職活動でも本を読むのは有利だとアピールするのもいいかもしれません。校長のリーダーシップも重要です。学校図書館の適切な運営、利活用については新学習指導要領にも記述されています。校長が率先して、学校図書館を活用した授業を推進する必要があります。校内研修の実施も不可欠です。司書教諭ばかりではなく、他の教員も参加して学校図書館を活用した授業の在り方を継承していくのが極めて大事です。学校図書館の運営に関しては、学校評価の項目に取り入れました。校長がリーダーシップを持って司書教諭や学校司書と一緒に学校図書館を充実させていくことが求められます。多くの学校図書館が開館時間を短くしており、子供たちが利用しづらい状況となっています。地域のボランティアなどを活用して開館時間を延ばすのも一手です。運営の改善を各学校で考えてほしいです。

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