(実践ルポ)新聞を使い課題学習など 学校図書館は世界に広がる窓 【学校図書館特集】

日本文華学園文華女子高校

東京都西東京市の(学)日本文華学園文華女子高校(吉本隆博理事長・学園長、生徒284人)では、学校図書館をオープンスペースにし、生徒が幅広く活用できるよう、新聞を使った課題学習など、多様な取り組みを行っている。同校の神尾怜紗司書教諭は、「学校図書館は世界に広がる窓。生徒には、本や新聞でいろいろな世界を知ってもらいたい。進路を考える上での引き出しを増やしてあげたい」と話す。


新聞で時事問題を調べる生徒
新聞で時事問題を調べる生徒

昨年度は高校3年生が社会科授業の一環として、新聞などを使って時事問題を調べる課題学習を通年で行った。

一例を挙げると、介護福祉士を養成する大学や専門学校などで定員割れが11年連続で起きたのを報じる新聞記事を基に、「入学者割合が低下している原因は何か」「介護業界の不人気によって、今後どのような影響が社会に生じると考えられるか」といったテーマを出題。生徒は図書館などで調べ、自分の所見も含めたレポートを作成した。

月1~2テーマで課題を出して行ったが、今年度は「朝学習」として授業とは別に行う形式に変更。週1回の頻度で行う予定という。

神尾司書教諭
神尾司書教諭

同教諭は「AO入試や推薦入試対策として、小論文を書く力や、面接で聞かれても答えられる力をつけさせるために行っている。図書館で新聞や時事問題の本を読んだり、進路に関する本を読んだりして、自分で調べ、考え、まとめる力がついていく」と意図を話す。

インターネットではなく、新聞や本を学習に使う理由は、「文章と情報の質」を生徒に知ってもらいたいからだという。

「新聞や本は、大勢の人が関わって作られるので、文も情報も精査されている。インターネットで調べて簡単に信じてしまうのではなく、正しく、信用できる情報を調べるリテラシーを養うのが目的」と話す。

その方針は、受験対策にとどまらない。

「美しい文章に触れ、真の教養を身につけてほしい」と、生徒が文学作品を手に取るさまざまな工夫を凝らしている。

オープンスペースになっている図書館
オープンスペースになっている図書館

その一つが、(公社)全国学校図書館協議会(全国SLA)などが主催する「読書感想画中央コンクール」への出品。「読書の感動を絵画表現することにより、児童生徒の読書力、表現力を養い、読書の活動を振興する」のが目的の同コンクールに毎年参加し、5年連続で入賞、今年で7回目の東京都代表となるなど好成績を収めている。

出品を希望する生徒を全校から募り、本を一緒に読み込んで、テーマや描き方などについてアドバイスする。描いた絵には、どこにどういう意図が込められているのか、詳しく聞くという。書架には、過去の出品作を展示している。

同教諭は「学校図書館には、いろいろな可能性がある。生徒にはまだ見ぬ世界への窓。教員には授業展開などのアイデアが生まれ、考える場所。そうあるために、常に最先端の図書館であるのを目指したい」と意気込みを語る。

また全国的な流れとして、「司書教諭の仕事は、これからますます求められるのではないか」と話す。

同教諭自身は、司書教諭と司書の両方の資格を持っているが、学校図書館の全国的な課題として、多くの司書教諭が教科担当と兼任のため、「なかなか力を発揮できていない」と現状を指摘。「どの学校でも、教育的な立場から、生徒の成長と図書館利用を関連付けて考えられる人が必要。司書教諭を、専門・専任の教員として位置づけるべきだ」と課題を挙げた。


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