図書館ビンゴなど仕掛けを工夫 仙台市立将監小学校【学校図書館特集】

行きたくなる魅力作る
児童参加型の図書館経営に

◇足を運びたくなるように

本校には、週に2回の朝の読書タイムがある。ボランティアによる読み聞かせも充実しており、常駐している図書事務員の働きもあって、常に図書館に児童の姿が見られる。

しかし、広い校舎の端に位置する学校図書館と学級の教室は離れており、授業以外は図書館に行かない児童も多かった。そこで、児童が自ら足を運びたくなるような図書館づくりをめざし、児童参加型の仕掛けを工夫することにした。

◇新鮮さを売りに

「いつもの図書館」から「いつも何かある図書館」への転換で、児童にとって魅力ある図書館をめざしている。月ごとを目安に図書館便りを発行し、それとリンクするように図書館内でも新しい情報を発信するようにしている。

(1)テーマ図書の展示・掲示

毎月テーマを決めて展示・掲示をしている。掲示物は、展示している本に関するクイズや、来館者から募集した絵などを生かし、動きのあるもので触って見られるものにするなど、児童が本への関心を高め、足を止めて見たくなるように工夫している。新しい本だけでなく、古い本であっても新しい情報として伝えることを考えて選書している。(関連画像pdf

 

写真(1)は、学校の重点目標を図書館でも具現化した事例。重点事項の一つに「食育」がある。食欲の秋をテーマに本を集め、本を読むと答えが分かる二択クイズを掲示した。児童は答えだけでなく、読んだ本の紹介も一文書くような解答用紙にし、正解数に応じて特別貸出用のチケットがもらえるようにした。

写真(2)は、来館児童から作品を募集した事例。「雨」をテーマに選書し、雨に関わる言葉とその意味を掲示物にした。図書館の掲示物は、言葉との出会いになるようにしている。周囲には、来館した児童が好きなデザインで塗り絵をした傘の絵を貼ったので、多くの児童が楽しく見ていた。

写真(3)は、動きを楽しませた事例。「先生方おすすめの本」の展示では、クリスマスのオーナメントを裏返すと紹介カードが見られるようにした。児童がひとつ動作を加えることで見られる仕掛けにすることで、何度も繰り返し見て、本を借りる児童も多かった。

写真(4)は図書委員作成「猫の本」紹介カードの事例。夏目漱石生誕百五十年を紹介する掲示では、『吾輩は猫である』を主役に取り上げた。対するコーナーには「吾輩も猫である」として、図書委員がさまざまな物語に登場する猫を紹介するカードを作った。対比の面白さから、来校した大人からも好評だった。

(2)ゲーム性加えて貸し出す

図書の分類を意識させ、さまざまな分類の本を読ませるのを目的に、「図書館ビンゴ」を実施した。ビンゴカードを個人ファイルにとじさせ、およそ1カ月の期間をかけた。ビンゴカードには分類番号の類にあたる一桁の数字を書いておく。児童は借りた本の背ラベルを見てカードに印をつけていく。ビンゴ成立を目指して、喜々として本を借りる児童の姿が見られた。またそれまでほとんど読書をしなかった児童が、図書館ビンゴをきっかけに読書の楽しさを知ったという事例もある。

(3)児童による選書会

新しい本の購入にあたっては、教師が意図的・計画的に購入するものと、児童に選書させるものとがある。児童による選書は、全校児童が参加する「移動本屋さん」と、図書委員と一学期の読書賞を受賞したクラスの児童による選書会、さらにカタログ選書によるリクエストを受け付けている。読みたい本がある図書館は、それだけで魅力的になるようだ。

(4)子どもボランティア

4年生以上から読み聞かせボランティアを募集したところ、予想を超える応募があった。高学年の図書委員が行う活動を「自分もやってみたい」と思っている児童が多いのがわかった。「子ども読み聞かせ隊」が各教室に出向き、絵本や紙芝居の読み聞かせを行い、大好評だった。子どもボランティアになった児童が選書から練習まで自主的に行い、緊張した面持ちで下級生の前に立つ姿は、普段の授業では見られないものだった。

◇他校への情報発信

本校のこうした取り組みは『学校図書館・新・いますぐ使えるガイドブック』(宮城県連合小・中学校教育研究会学校図書館部会:2016年版:宮城県学校用品協会で販売=写真(5))に実践事例として掲載され、さまざまな研修会のテキストとして、また各学校での学校図書館運営マニュアルとして活用されている。このガイドブックは仙台市の学校図書館研究部会が全国SLAの協力を得て編集したもので、学びの変化に応じて改訂されている。今後も児童が主役となる図書館教育の実践を重ね、情報を発信していきたい。

◇自分たちの図書館に

図書館に行けば、新しい情報が得られる。自分が選んだ本がある。自分たちが参加して図書館を楽しい居心地のよい場所にしている。そう実感する児童が増えるにつれ、図書館を積極的に利用する児童が増えている。全校の年間の読書量も増えてきており、「自分たちの図書館」という思いを育てる大切さを感じている。

(図書主任・司書教諭・澤田直美)


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