STARTプログラムで生きる力 茨城県立水戸第二高校【学校図書館特集】

学び方を学ぶ基礎作る
図書館の活用からプレゼンまで

探究の成果を発表したポスターセッション
探究の成果を発表したポスターセッション
◇学校概要

本校(生駒忠夫校長、生徒数960人)は、明治33年に創立された伝統ある全日制普通科の県立高校である。1学年8クラスからなり、生徒は全員が女子である。第3期12年になるスーパーサイエンスハイスクール事業、海外研修、部活動など、生徒は勉学や部活動に熱心に取り組み、伸び伸びと学校生活を楽しんでいる。昨年度は、国公立大学に132人が進学した。

図書館は普通教室の約3倍、座席数44席、蔵書約4万冊、新聞5紙、雑誌、インターネット、データベースとしてジャパンナレッジ、朝日けんさく君が利用可能である。図書部は4人で構成されており、専任司書が配置されている。

昨年度、学校図書館法が改正され、学校図書館の重要性が高まってきている。そのような中、専任の学校司書として、読書センター、学習センター、情報センターの機能を生かした図書館活動を展開しているところである。本稿では特に、情報センター機能を活用した活動をまとめた。

◇「STARTプログラム」が誕生

本校では図書部が主体となって、1年生の総合的な学習の時間(道徳)の一環として、「人間としての在り方・生き方を考えること」をテーマに、図書館の活用からプレゼンテーションまでを経験するオリジナルの「STARTプログラム」を行っている。「START」とは“Students Talk About Reading Themes”の頭文字で、「生徒が人間としての在り方・生き方に関して自分のテーマに基づいて調べ、第三者に伝える力を育んでほしい」との願いから生まれた。

このプログラムの誕生の背景には、東日本大震災があった。校舎が被災した本校は、図書館が教室になり、同じ空間に暮らす生徒たちの悩みや課題に気づくようになった。彼女たちは、生き方や進路に悩む一方、その解決のために本や図書館を使うスキルが身についていなかった。

そこで、人間としての在り方・生き方を考えつつ、図書館を活用する力が育成できるようなプログラムを検討することになった。学習指導要領でも重視している思考力・判断力・表現力の育成、教科との連携や道徳心を培うことなどを視野に入れ、SSHの教員などさまざまな人々に助言をもらいながら誕生したのが、このプログラムである。

◇構成

プログラムは、(1)興味のある人物を選ぶ(2)学校図書館の資料を活用して人物を調べる(3)スライド作成(4)発表(1人5分)という4つのプロセスから構成される。特に、(1)(2)では図書館の仕組み、NDC、信頼できる情報とは何か、その収集の仕方、公共図書館の使い方、参考文献の記入の仕方などの説明をすることで、学校図書館が自分たちにとって必要な場所だと認識させる絶好の機会になっている。

◇本校の基本プログラムに

この取り組みを始めて6年が経とうとしている。「STARTプログラム」は、校内で「学びの基礎を作るプログラム」と位置づけられるようになってきた。「水戸二高SSHサイクル」の説明図では、このプログラムが基礎として位置づけられている。

SSHの教員は「1年生でSTARTプログラムを行うので、2年生の学校設定科目『環境科学』では図書館を使った探究学習へスムーズにステップアップできる」と話している。また探究的な学習は、保健体育、音楽でも取り入れられ、学校図書館が活用される機会が増えてきた。当初からSSHの教員と話をする中で、カリキュラムマネジメントの視点でプログラムを構築することができた成果だと思われる。

◇成果発表会

今年3月、成果発表会が体育館で行われた。1年生全員が「STARTプログラム」、SSHクラスを除く2年生全員が「環境科学」、SSHクラスは「課題研究」のポスターセッションを行った。640人が自分のポスターの前で堂々と発表する姿は圧巻であった。

生徒、教員、保護者からこの発表会が評価され、来年も実施することになった。

◇Power to Survive国際大会で発表

昨夏、図書委員が「このプログラムの良さを世界に伝えたい」とIASL東京大会のポスターセッションに参加した。タイトルを〝Power to Survive〟としたのは「図書館の使い方を知り、人前で発表した経験は、将来必ず役に立つ」との思いからである。彼女たちの報告の中に「STARTプログラムは学び方を学ぶプロセスで、これから私たちに必要とされる21世紀型能力の基礎となり、将来必ず役に立つということを確認できた」とあり、図書館の活用は生きる力を育む一助となることと再確認した。

◇まとめ

「STARTプログラム」を作り、校内で利活用したことで、学校図書館ガイドラインで示された「各教科を横断的に捉え、学校図書館の利活用を基にした情報活用能力を学校全体として計画的かつ体系的に指導する」ことが具体的に実現できたのではないかと思われる。

今後は、主体的・対話的で深い学びを支えられる、より充実した「校内の拠点・メディアセンター」として取り組んでいきたい。

(学校司書・勝山万里子)


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