つながりあって読む力が伸びる 山梨県上野原市立島田小学校【学校図書館特集】

ペア読書やインタビュー
学びの輪が図書館で広がる

質問に答えながら本について紹介していくインタビュー場面
質問に答えながら本について紹介していくインタビュー場面
◇調べ学習に備える

情報社会を生きる子供たちに、自分が必要としている情報を収集・選択・活用する力が求められている。そして主体的で対話的な深い学びを私たちは目指さなくてはならない。本校でもこれらを念頭に、調べ学習のツールとなる本の分類、配架、ラベルの意味、目次、索引、付箋の使い方などの利用指導を教育課程の中に組み込み、実際の調べ学習に備えている。

そんな中で育った児童のエピソードである。「先生、家で文鳥を飼うことになったの」と話していた2年生女子が、自主学習で文鳥についてまとめてきた。そこには絵や文で文鳥に関する詳細な情報が網羅されていた。

学校司書によると、彼女はまず自分で本を探し、調べたい内容を司書に伝え、紹介された何冊かの図鑑や飼い方の本から必要な情報を得た。さらに学校司書との会話から知った鳥に詳しい1年生の友達を図書館に呼び、図鑑を広げて知りたい内容を聞いたという。そして必要なページに付箋をし、いつでも見られるようにしてまとめたという。

その輪はそこにいた他学年の児童にも広がり、何人もが集まって話に加わり、休み時間の学校図書館に学びの場が繰り広げられた。彼女の「知りたい」を支えたのは利用指導もあるが、担任と学校司書の何気ない会話による情報交換、児童理解といった「日常的なつながり」であり、そこに力を貸した友達である。学校司書や担任が全校児童を理解している小規模校には、こんな利点がある。

◇並行読書に必要な図書を選書

次のエピソードは、「友達とつながって読む」ことで読む力が伸びた事例である。

国語の教科書で紹介されている関連図書を各教室に設置しているが、さらに並行読書に必要な図書の選書を学校司書に依頼する場合も多い。物語文では同じ作者の作品、主題や登場人物の特徴が共通した作品などさまざまである。子供たちはその中から好きな本を選んで読んだ後、キャラクター紹介、印象に残った場面、感想、ポップなどの方法で読んだ本を紹介しあう。友達が紹介した本をさらに手に取るので読書量が増える。

2年生の「お手紙」では、アーノルド・ローベルの作品が2冊ずつあるのを利用して、ペアで同じ本を同時進行で読み、気に入った話の感想を伝え合った。本を読むのが苦手だった男子が「先生、この本は何だか読みやすくて、だんだん早く読めるようになったよ」とうれしそうに話してくれた。

「今どこを読んでるの?」と伴走者と一緒のマラソンのように友達とつながり、語り合いを楽しみながら夢中になって読むうちに、このペアはアーノルド・ローベルの作品全6冊を2人揃って読破し、すべての作品の感想を書いていた。いくつかの物語の中での2人のキャラクターについて比較しあうのも楽しかったようだ。

◇共に読んで心がつながり楽しみ倍に

独りで好きな本を読むのも楽しいが、読んだ本について誰かと語り合うのは、その楽しみを倍増する。本校では司書の読み聞かせの後の読書会、異学年での読書会、親子読書リレーや家読での家族との語り合いなど、読んだ後の交流場面を多く設定している。これらを通してそれぞれの感じ方・視点の違いや、共通点などに気づき、読みを深めたり広げたりすることができただけでなく、親子や友達との心のつながりも持つことができた。

職員間でも1冊の本を回して読んでノートに感想を書きあう紙上読書リレーを行ったところ、日常の会話では得られない心の深い部分での交流ができた。

1冊の本は人の心をつなぎ、深い交流を持って読んだ本はいつまでも心に残っている。本と子供をつなぎ、1冊の本を通して人と人、そして本と本をつなぐ。

これからも小さなつながりの積み重ねを大切にして、全校46人の小さな学校図書館を、読書センター、学習センター、情報センターとして子供たちの学びを支援していきたい。

(図書館主任・教諭 田村たえま)


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