学校司書と司書教諭が協働 滋賀県東近江市立玉園中学校【学校図書館特集】

ビブリオバトルや読書会
手を尽くして蔵書を増やす

図書室企画で制作に取り組む
図書室企画で制作に取り組む
◇6年前から学校司書派遣

滋賀県東近江市立玉園中学校は、県の南東部に位置する、生徒数334人の中規模校である。同市は、近江商人発祥の地であり、その理念である「三方よし」=(自分よし(自己実現)相手よし(思いやり)社会よし(社会貢献)を教育の基本理念として掲げている。

市では、「子ども読書活動推進計画」に基づき、平成20年度から一部の小学校に学校司書の派遣が開始された。本校への派遣は6年前から始まり、そこから速水須美江学校司書と司書教諭である私との「協働」が始まった。

◇環境を整える

速水司書の派遣が始まる2年前から、私は本校に勤務していたが、「毎日開館」「朝読書」をスタートさせただけで、環境整備は全くの手つかずであった。

そこで、最初の2年間は、図書館整備に明け暮れることとなった。光を遮る書架の配置を換え、廃棄図書を整理し、図書台帳の確認作業を行った。平成16年からパソコンシステムが導入されていたが、台帳と実際の図書との照らし合わせ作業は時間を要した。学校司書の勤務日(週1日~2日)に合わせ、時間割に「図書館整備」を組み入れることで、協働の時間を確保した。速水学校司書は公立図書館での勤務経験を生かして足りない図書については、近隣の公立図書館や公民館からの払い下げ本を再利用したり、古本屋から安価で購入したり、その献身的な仕事ぶりに、「協働」にも力が入った。そんな中、3年目から始めたのが次に紹介する「図書室企画」である。

◇図書室企画

学期に一度、期末テストが終わった時期に実施しているのが、生徒会文化部と共同の「図書室企画」である。内容については、学校司書と司書教諭が考え、生徒会文化部の部長・副部長と練り、司会や進行を生徒が行う。最初の2年間は、学校司書によるブックトークと簡単な制作物という組み合わせで行った。

ブックトークは、1学期には読書感想文コンクールの課題図書の紹介、2、3学期には長期休暇におすすめの本を紹介するというものである。

制作物は、▽英字新聞を利用したペーパーバック▽クリアファイルを利用したうちわ▽ブックフィルムを利用したしおり▽梱包紙を利用したブックカバーなどである。どれも安価で簡単なものばかりである。ブックトークが20分程度、制作が30分から40分程度で、放課後の1時間程度を利用した企画である。

3年目からは、そこに「ビブリオバトル」や「読書会」を入れ、生徒による活動をより増やしていった。

「ビブリオバトル」は部長・副部長や生徒会役員たちといった生徒代表と校長、教頭、生徒会担当といった教師代表がバトラーとなり、チャンプ本を競った。

そして、昨年度最後に行ったのが、ヨシタケシンスケ著『りんごかもしれない』を題材とした読書会である。読書会とは呼べないかもしれないが、流れとしては、▽ヨシタケシンスケさんの紹介▽学校司書による読み聞かせ▽それぞれ『りんごかもしれない』ものを考えてイラストにする▽発表・交流である。

ヨシタケさんについては、雑誌に掲載された記事を電子黒板で視覚的に紹介した。またBGMには、ヨシタケさんがトータルデザインを担当した曲のミュージックビデオを流す工夫も、すべて速水学校司書によるアイデアである。

参加した生徒たちが「先生、昨日楽しかったね」と次の日に言いにきてくれて、しばらく『りんごかもしれない』ものの話題が、参加した生徒の中から参加できなかった生徒へと広がっていた。

◇最後に

市では現在、全小学校に、中学校は9校中5校に学校司書が派遣されている。しかし、多忙を極める学校現場では、学校司書の配置を機に図書館業務を全て学校司書に丸投げしてしまう問題も起こっている。

「協働」とは何か。全てはそこにいる子供たちのために、学校司書はその専門知識を生かし、司書教諭は教育者としての観点から業務を分けることよりも、支え合うことに重きを置く必要があるのではないか。

速水司書との6年間の協働は、私にとってかけがえのない時間となった。この経験を生かし、魅力あふれる図書館作りにこれからも邁進していきたい。

(司書教諭・西村かおり/今年度異動で現在は東近江市立永源寺中学校)


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