使うと良いとの実感が後押し 京都市立桂中学校【学校図書館特集】

図書館活用授業に向け
自然と人が集まる図書館に

恒例になった4月の技術家庭コラボ授業
恒例になった4月の技術家庭コラボ授業
◇専任司書教諭として改善に取り組む

桂中学校図書館は、昼休みだけでなく、放課後も開館している。夏休み以降は部活動を引退した3年生の利用率が上がり、下校まで自習に取り組み、分からないところを教え合ったりする姿をよく見かけるようになる。また生徒会活動、家庭科部や美術部の活動のヒントや資料になるものはないか探しにくる生徒も、この数年でずいぶん増加した。うれしいことに、図書館利用者と貸し出し冊数は年々増加している。

こういった姿の背景には、平成26~27年度に、本校が、京都市教育委員会指定の図書館活用授業の研究指定校になったことがある。この2年間限定で、私は専任の司書教諭として学校図書館の活用改善に取り組んだ。

◇図書館活用授業で学力向上

専任として配属されたものの、担当教科(国語)以外の図書館活用授業のイメージがなかったので苦労もしたが、多くのアイデアを教員同士が出し合い、実践していくことができた。

一方、私の前で表情には出さなかったが、現場教員の次のような心理的抵抗感が、最初は強かったと思う。

(1)図書館を活用した授業は、自分たちがほとんど経験したことがない、イメージがない、どうしていいかわからない。

(2)先行指導案がほとんどない(今ではインターネットで探せば結構出てくる)。

(3)ちょっとだけ使いたいというアイデアがあっても、物理的距離があって使いにくい。また本腰を据えて使うことも考えられるが、時間の捻出に苦労する(何かの取り組みを短縮するのだから)。図書館は1つしかないので時間割の変更なども必要になり、他教科や他教室の負担なども考えられる。それが面倒となり、モチベーションが下がる。

(4)さらに、無理矢理図書館活用をねじ込むような授業内容では、図書館で学習する必要性が感じられない。

(5)何より、活用した方が、この力が伸びるという実感が薄い。

大抵の教員はいい授業をしたいと思っているので、(1)(2)はやる気でクリアしているが、(3)くらいから心理的負担が大きくなり、(4)を感じ、(5)でさらに頭を悩ませているのではないか。

◇見える効果がわかりにくい

残念ながら全てを解決するような指導案や指導例は多くないだろうし、取り組んでみたところで、本当に「深い学び」になり得たかどうかも繰り返し検証が必要である。多くの教員が毎日忙しいのは重々承知しているが、分かる、力がつく授業をめざして日々研さんを重ねるのが現場の教員の大切な仕事でもある。教科間で授業内容が相談されない、話し合われないのが授業改善に一番つながらないということは否めない。

まずは1学年に1つ、「鉄板」といえる図書館活用授業の事例を作り上げるのを勧める。大変だが、図書館がないと絶対にできないという授業を考えれば、改善しながら継続して活用する授業が出来上がる。図書館だけでなくICTでもいえるのだが、それを使った方が都合が良い状況がなければ、教員も生徒も積極的に利用しない。

◇管理職とのコミュニケーション

本校には、学校図書館教育推進係会という常置の委員会がある。年に数回、校長・教頭・学習指導主任(研究主任)・学校図書館担当者(司書教諭)・国語科主任・学校司書(年によってメンバーが変わる場合がある)が集まり、毎年度どのように図書館活用を推進していくかを決めている。

この会では、担当者同士が忌憚のない意見を交換することで、図書館を活用する目的意識をどう持つか確認し合う。ここで大切なのは、トップダウンとボトムアップを擦り合わせることだ。現場の教員だけでなく、管理職にも教員の実態に合わせた活用の目的を具体的に示すことで、管理職からの声掛けや現場内での声の掛け合い方が変わってくる。管理職からのトップダウンだけでは、教員自身のモチベーションを伴った活動にはなりにくいのが事実ではないか。管理職の学校経営の意識と現場職員の授業改善の意識がうまく化学反応を起こすことで、教職員間に意識共有がより一層行われるのを目標にしている。

本校図書館は、特に恵まれた環境の図書館ではない。普通の公立中学校校舎の最上階の角にある、広いわけでもなく、標準蔵書数も未達成の図書館である。私は専任司書教諭から、普通の教科を担当しながら司書教諭になった。そんな中でも、利用者が増加し続ける要因は1つではない。さまざまな要因が絡み合って、子供たちの間に成果が表れている。

学校図書館が読書好きの子たちだけの空間になってはいけないし、勉強の時だけに開館されるのも寂しい。個々の機能にとらわれず、さまざまな子供たちの学校生活を豊かにする変幻自在な“ラウンジルーム”を目指して、今日も開館の看板を出したいと思う。

(司書教諭・山口さやか)


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