プログラミング教育 新要領での必修にどう備えるか

一般社団法人みんなのコード 代表理事 利根川 裕太
指導者研修会の様子
指導者研修会の様子

3月31日に、次期学習指導要領が公示され、従来から検討されていたプログラミングの小学校での必修化が確定した。だが、長年にわたり準備されてきた英語や道徳とは異なり、プログラミング必修化については、実施科目・単元等が各校裁量である上に、教員研修の方針などクリアするべき課題も多い。

この記事に興味を持っていただいた小学校教員・管理職・教育委員会関係者は、あと3年となった平成32年度の全面実施に向け、それぞれの立場でプログラミング必修化をぜひ先導していただきたいと考えている。

ここで、改めてプログラミング必修化となった背景を再確認したい。

まずITが社会を良くするスピードは目覚ましい物がある。例えばスマートフォンは登場からまだ10年しか経っていないが、日々の暮らしに不可欠になっている。自動運転の車も遠くない将来に実用化されるであろう。

そういった時代を生きる子供たちに、単にコンピューターに使われるのではなく、コンピューターの主体的な作り手となるよう、21世紀の基礎教養としてプログラミングの必修化の議論が始まった。

一方、学校現場での他の教科の学習との関連としても、プログラミングにより養われる論理的思考力が単にコードを書くという意味を超えた価値があるとのことで、昨年の文科省有識者会議では「プログラミング的思考」として、小学校段階でのプログラミング教育において養うべき資質能力として定義された。

子供たちにとって、不確実な中長期の社会で必要な基礎教養の観点、確実に小学校段階から役立つ論理的思考力の観点の二面から、必修化が公示に至った。

そのように子供たちのことを考えると、必須であるプログラミング必修化であるが、あと3年の準備期間に対して、現状の各地の自治体の動きはあまりに小さい。

例えば市内での全校必修化は、弊社団の支援する石川県加賀市や他の企業と協働しているいくつかの自治体だけで、1700余の全国の自治体の1%にも満たない。

そんな中、早めに動き出すのには、児童だけでなく、各自治体・学校・教員にもメリットがあると感じている。

まず、プログラミング教育を今始めると、企業やNPOなどの外部の応援が得やすい。例えば石川県加賀市では、弊社団がカリキュラムの共同開発・全校教員への研修・中核教員の養成等多方面から支援している。千葉県柏市は非営利組織のCoderDojo(コーダードージョー)が、東京都渋谷区や相模原市は機材の面も含めて民間企業が支援している。1、2年後には個別の自治体や学校の支援には動けないであろう外部の人材・資材が、今年度は各地の現場を支援している。

一方で、相対する教員の側も、プログラミング教材と教科の学習の組み合わせなどについて、「プログラミング教育が強み」という人材が各地に出てきている。

例えば20代の若手女性教員は、コンピューターを使わない「アンプラグド型プログラミング教材」で、教科との組み合わせを研究し、大学との共同研究を経て、その内容が出版された。

また40代の地方の中堅の教員も当初は「教育委員会に指示され渋々参加した研修」がきっかけであったが、自身の手応えや子供たちのプログラミングへの反応から研究を深め、依頼され東京に飛行機で出向き、事例を発表したりしている。

共通する点としては、年齢や従来からの情報スキルではなく、新しいことに柔軟に取り組む姿勢の方が大きいと感じている。

このように、子供たちの生きる将来のことを考えると、必要なプログラミング必修化に対して、各地の学校現場の動きは全体的には遅い。その中で、一部の志有る人が動き出しているところである。

弊社団法人としても、プログラミング教育のシンポジウムや研修会への講師派遣、研究授業の支援、中核教員の養成塾、学校現場で使いやすい教材「プログル」の無料提供など、小学校プログラミング必修化に必要なあらゆる手立てで支援していくが、一部の志有る人の動きが本稿読者にも少しでも広がればと思っている。


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