子供と向き合う時間を確保 【愛媛県西条市】

 

校務支援システム導入で 年間114時間の短縮を実現
校務支援システムについて研修を受ける教員ら
校務支援システムについて研修を受ける教員ら

教員1人当たり、年間114時間の校務作業時間を短縮――。平成28年4月から全市立小・中学校で、校務支援システムの運用を開始した愛媛県西条市が、導入1年目を迎えて、全教員約700人に行ったアンケートで算出された数字だ。同システム導入により、校務作業や帳票類の省力化・全国標準化が実現でき、教職員の負担が軽減されて、その分、児童生徒と向き合う時間が確保できるようになったという。

導入前、同市では、成績処理などの書式や運用は学校ごとにばらばらで、教員はワードやエクセルで自ら作成しなければならなかった。非効率な上、転記ミスなども起きるため、市内35小・中学校の校務を統一して、効率化・標準化を図るのが重要課題だった。

導入・運用を推進してきた同市教委学校教育課の渡部誉専門員兼指導係長は、「現場から校務情報化の必要性を訴える声が上がっていた。先生方の声が大きかったのが、検討を始めた一番の理由」と説明する。

同市は平成22年に、「西条市立小・中学校情報化推進委員会」を設立。校務支援システム導入を検討し始め、24年にはモデル校での実証実験を決定した。実証実験は25年と26年に、児童数約200人、教員15人前後の規模の同市立神戸小学校をモデル校にして実施。その結果を踏まえて27年に導入を決定し、プロポーザル方式での具体的な選定作業に入った。

選定委員会は校長、教頭、教務主任、養護教諭、学校事務職員、PTA連合会などの各代表10人で組織。最終的には候補を3社に絞り込み、1人100点満点の評価表を基に点数をつけて選出した。

その結果、選ばれたのは、スズキ教育ソフト(株)の「校務支援システム~スズキ校務シリーズ」。評価計1千点満点で、同システムは893点。競合A社は774点、B社は753点で、同システムが大差をつけた。

これは、同システムのユーザーインターフェイスが見やすく、ICTに不慣れな教職員でも直感的に操作できる点などが高く評価されたため。導入に当たっては、スズキ教育ソフトのスタッフが研修を行った。

そして28年4月から、全校で運用を開始。用途は、名簿情報の管理や成績処理、出席簿作成、通知表作成、指導要録作成など、多岐にわたった。

中でも、教員から好評だったのが、生徒が進学する際に、中学校から高校に提出する調査票の作成だったという。

これまでは生徒一人ひとりの調査票を、教員がエクセルやワードで作成していたが、校務支援システムにはすでに県で統一された様式が入れられており、作業は入力とプリントアウトだけと簡単になった。

導入1年目の成果を同市教委が全教員に聞いたアンケートでは、教員1人当たり年間114時間を短縮できたという結果が出たほか、教員から「安心感があり、精神的に楽になった」「子供たちと向き合う時間が増えた」との声が多数寄せられた。

中でも、クラウド化により、テレワークが可能になったのが高評価だった。ワンタイムパスワード認証を行えば、学校のデスクトップ環境をそのまま家庭や出先などで使えるので、病気や家族の介護などにも対応しやすくなり、ワークライフバランス上の効果が非常にあったという。

秘匿性の高いデータをUSBでやむを得ず持ち運ぶという可能性はなくなり、セキュリティーが確保された。

渡部誉専門員兼指導係長
渡部誉専門員兼指導係長

渡部係長は「クラウドでこれだけの運用をしているのは、全国でも数少ない。運用開始前は苦手意識のあった先生も、この1年で、『これはもう欠かせない』と、がらりと意見が変わった」と手応えを語る。

今後については、「スマートスクール構想」の実現を掲げる。「教室で教員がタブレット端末に入力した出欠席などの情報が、瞬時にクラウドに反映されれば、教育委員会側でも欠席者やインフルエンザの傾向などを把握でき、学校経営についての指導・助言を早く、的確にできる。この校務支援システムをベースに、その仕組みを作りたい」と展望を語る。


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