熱中症の注意喚起 教育関係者へのお願い

文科省初等中等教育局 健康教育・食育課 課長補佐 中村 徹平

今年3月24日に、「第2次学校安全の推進に関する計画」(以下、「第2次計画」)が閣議決定されました。これは、学校保健安全法第3条第2項の規定に基づき、学校安全の推進に関する国の施策の基本的方向と具体的な方策を示すもので、平成24年に策定した第1次計画の期間(平成24~28年度)が終了することから、中教審の審議を踏まえて、次の5年間(平成29~33年度)の計画として策定されたものです。

第2次計画では、「学校管理下での死亡事故を限りなくゼロとすること」や、「障害や重度の負傷を伴う事故を減少傾向にすること」を目指すべき姿として掲げており、これを実現するために、12項目の施策目標と具体的な推進方策等を示しています。

特に、基本的な安全教育や安全管理はもちろんのこと、学校が組織的に学校安全に取り組むことや、発生した事故の検証と再発防止を徹底すること、それらを確実に実行していくために、教職員の学校安全に関する資質・能力の向上が不可欠であるとされています。

熱中症の発生は、地震などのいつ起こるかわからない自然災害に比べ、気象条件等から予測しやすく、正しい知識を身につけ、適切に予防することで、未然に防ぐことが可能です。また、熱中症の疑いのある症状が見られた場合にも、早期の措置をとることで、重症化を防ぐことができます。

こうしたことから、学校における熱中症の対応には、第2次計画の「学校安全に関する組織的な取組」や「教職員の資質・能力の向上」に、常日頃からしっかりと取り組むことができているかどうかが、よく表れてくるものと思います。

学校管理下での熱中症の発生状況については、平成28年度に独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)が行った災害共済給付の支給状況を見ると、熱中症に伴う医療費の支給が4695件ありました。平成27年度は4452件、平成26年度は4181件であり、近年増加傾向にあります。また、熱中症に起因する死亡事故も依然として発生しています。

平成25年にJSCが作成した「体育活動における熱中症予防調査研究報告書」によれば、学校管理下での熱中症死亡事故は、その92%が部活動を含む体育活動中に発生しています。また、熱中症死亡事故の学校種別の割合では、高等学校が68・8%と最も高く、次いで中学校が26・2%、小学校は2・5%となっています。多くは体育活動中や中学生以上で発生していますが、体育以外の活動や小学生であっても、死亡事故が十分起こりうるということに注意が必要です。

今年も既に気温が高くなる日が多くあり、各地で熱中症が発生しています。5月や6月であっても、急に気温が上がる日や湿度が高い日もありますので、教員や指導者においては、活動日や活動時間における気象状況を適切に把握しておくことが必要です。

各地域における熱中症の危険性については、環境省の熱中症予防情報サイトで暑さ指数が公開されていますし、近年では、気象情報に関する民間サービスも充実してきており、インターネット等を通じて比較的容易に情報把握が可能ですので、このようなツールも積極的に活用していただきたいと思います。

また、児童生徒には体格や体力の差があり、同じ個人でも日によって体調が異なるため、体調把握にも努める必要があります。事前に問題がなかったとしても、児童生徒が実際に不調を感じた際にはその旨を申告することや、他の児童生徒の不調に気付いた場合にはすぐに教員に伝えるようにすることなど、教員が児童生徒の体調変化に気付きやすい環境を作っていくことが重要です。

最後に、不幸にして重篤な事故が発生してしまった場合には、事故の検証を行い、再発防止につなげていかなければなりません。事故発生後の対応については、平成28年3月に、文部科学省の有識者会議で取りまとめられた「学校事故対応に関する指針」を踏まえ、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。