朝食調査やメディカルチェック 京都府福知山市立日新中学校

食力向上の連鎖を追究
科学的なデータで裏付けた
生徒が朝食を自己点検し食事内容の改善を目指す
生徒が朝食を自己点検し食事内容の改善を目指す

京都府福知山市立日新中学校は、平成26年度から文部科学省の「スーパー食育スクール(SSS)事業」の指定校として、新たな食育プログラムの構築を目指した研究実践に取り組んだ。「自らの食力で未来を切り拓け」をテーマに掲げ、朝食を中心に食事内容の改善・充実を図り、「しっかり食べる」と「がんばる体と心ができ」、進路実現に向けての「意欲が高まり」「学力、体力アップ」につながっていく「食力アップの連鎖」を明らかにするのを事業目標とした。

朝食における食力アップの取り組みをベースとし、連携する複数の専門家や栄養教諭による専門性を活用した介入等を行うと同時に、体の中の状態を明らかにする測定や意識の変容をみるアンケート、栄養素等の摂取状況調査などを実施した。

3年間蓄積したこれらのデータを分析し、検証することで、中学校3年間の成長発達を見通した有効な食育プログラムの検討をした。

■取り組み内容について

事業における全ての取り組み名の前に、SSSの使命、任務という意味付けのために「ミッション・SSS」という文言を用い、次のような取り組みを実施した。

■ミッション・SSS「食育の日 朝食アンケート」

毎月19日の食育の日に、生徒が朝食の自己点検をし、栄養教諭のアドバイスを受けながら食事内容の改善・充実を目指した。年次ごとに点検方法や判定方法を見直し、レベルを上げながら取り組ませた。

実施日前日の保健委員の生徒による予告から当日の記入用紙と食の記録(毎月の朝食内容等を保管する個人の記録簿)の配布、回収、提出に至るまでを、保健委員の生徒を中心とし、生徒たちだけで活動させることで食の自立を目指す取り組みの1つとした。

■ミッション・SSS「スーパーレッスン」

大学の先生や研究員を講師に招き、食育講演会や学校歯科医、栄養教諭による食育授業など専門性の高い介入により、食と学力、体力との関係について高いレベルで理解させ、生徒たちの実践意欲を喚起することを目指した。

■ミッション・SSS「メディカルチェック」

体の状態が数値化されることで生徒の食生活改善・充実に向けての実践意欲を喚起することと、測定結果を専門的に分析することで、食と体との関連を明らかにするのを狙った。測定項目は食生活をはじめ生活習慣との相関が予測される推定ヘモグロビン値と骨量とし、体の成長との関連をみるために身長・体重・体脂肪率も併せて測定した。

毎年2回実施し、1回目の測定で低値であった生徒には学校医が助言し、栄養教諭による介入プログラム「CoCo(ここ=個々) Lesson」を実施。家庭の協力を得ながら2回目の測定での改善を目指した。

■ミッション・SSS「米吉アンケート」

このアンケートは、ミッションの効果を意識的な面から考察するための食生活等実態調査である。生徒、保護者、近隣の園、学校の教職員別の様式で実施し、結果をデータ化して、経年的な評価も行った。

その他の取り組みとして、家庭科と連携して朝食実践を支援する「朝食レシピ集」の作成、部活動における食のトレーニングという位置付けの「部活動別食育ミーティング」等を実施した。また生徒の食の自立を見据えた取り組みとして、保健委員を主体に給食の時間における課題解決に向けてのキャンペーンも実施した。

■成果について

測定やアンケートなどによる科学的なデータを活用して成果をみた。また統計解析による専門的な分析、検証については、本事業のスーパーアドバイザーを務める帝塚山大学の木村祐子准教授に協力してもらった。

その結果として、次のような実態や様相が明らかになった。

■効果的な食育プログラム開発に向けての方向性

成果の検証で、▽生徒の食力アップにはいろいろなミッションが相互に作用していた▽朝食アンケートによる継続的な介入が一人ひとりの食生活改善に向けての意識を高め、行動変容につながった――のが明らかになった。

これらにより、計画的、系統的な食育プログラムや個に寄り添う食育プログラムの有効性が示唆された。

また食習慣調査BDHQの結果から、中学生期は学年男女で、異なる成長発育や部活動等などの活動量の増加に伴い、食事内容が異なってくる時期であるのが明らかになった。学年男女の身体的変化や心理的、生理的変化の特徴を十分に把握し、食育プログラムを検討することも必要であると考えられた。

■食力アップの連鎖

朝食内容とメディカルチェックの測定結果や学習意欲、部活動への意欲との相関がみられた。

さらに、朝食と学力との相関も示唆され、「しっかり食べる」と「がんばる体と心ができ」「学力アップ」につながる「食力アップの連鎖」を明らかにすることができた。

■食力以外の力の育成

多くの取り組みを生徒主体とし、生徒自身が食育推進の重責を担っているとの自覚を持ちながら食育に取り組んだ結果、食力以外の力もつけることができた。


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