【スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール指定校事例】栃木県立宇都宮工業高等学校

「鹿沼組子の耐力壁」を一般住宅へ設置
「鹿沼組子の耐力壁」を一般住宅へ設置
グローバルエンジニアを育成
1.はじめに

本校は、大正12年に栃木県立宇都宮工業高等学校として宇都宮市中心部に開校し、平成23年には新しいタイプの工業高校(科学技術高校)として、現在の同市雀宮町の新校舎に全面移転した。現在、全日制は機械システム系(機械科、電子機械科)、電気情報システム系(電気科、電子情報科)、建築デザイン系(建築デザイン科)、環境建設システム系(環境設備科、環境土木科)の4系7学科11コースが設置されている。

2.SPH事業への取り組み

本校では、平成27年度から3年間、生徒が主体性を発揮し、広い視野を持ち、高いレベルの技術・技能を身に付けることにより、日本のみならず国際的に活躍できる「次世代を担うグローバルエンジニアの育成」を研究の目的として、文部科学省から研究指定を受けた。そして、建築デザイン系と環境建設システム系を中心に研究を進めることとした。

3.主な研究

(1)木造住宅の耐震構造に関する研究

大学との共同研究では建築デザイン科が宇都宮大学と「木造建築物と耐震の研究」に取り組み、本校の起震装置に設置した実大木造住宅モデルで、耐震実験を行った。実験では屋根の剛性や壁の強さを変えて、耐震構造の強度変化を測定した。

(2)伝統技法に関する研究

建築デザイン科では、県指定の伝統工芸品「鹿沼組子」に着目し、「鹿沼組子の耐力壁」の開発に取り組んだ。この8月に、一般住宅の新築工事で、本校の「鹿沼組子による耐力壁」が設置されることになった。「耐力壁としての国土交通大臣認定」を受けるための研究を継続して取り組んでいる。

(3)ITを活用した土木施工法の研究

環境土木科では、IT(情報技術)を活用した情報化施工に焦点を当てた研究を行っている。今年度は、生徒対象に「情報化施工」の基本を学ぶための実習を行った。この実習は、レーザレベルとセンサを用いた簡易的なシステムを用いて、「小型バックホーによる掘削」を行うものである。

(4)「技能五輪全国大会」出場

昨年度は、「配管」と「建築大工」で技能五輪全国大会への出場を果たし、「配管」では敢闘賞を受賞することができた。高校生が大会で受賞したのは、栃木県初である。

今年度の全国大会は、本県開催であり、本校も一部会場になっている。本校からは、3人出場する予定である。

(5)外国語〔英語〕活用能力に関する取り組み

留学生(大学院生と大学生)による英語の講義、「課題研究」の英語による発表、外部講師による英語講座、海外留学経験生徒の体験発表等を通し、生徒が主体的に英語学習に取り組もうとする意欲を育て、スコア型英語力測定試験に挑戦していける知識・能力の育成に向けた指導体制の確立を図っている。

4.おわりに

本校では、「グローバルエンジニア」を、「広い視野を持ち、国際社会に貢献できる確かな知識と高い技術力、新たな創造に果敢に挑戦していけるたくましさを身につけた技術者」と、捉えている。平成23年3月に東日本大震災を経験し、28年4月の熊本地震では改めて地震の驚異を感じた。現在、耐震技術や木造住宅の耐震構造が、世界で注目されている。本校が取り組んだ研究の「木造住宅の耐震構造に関する研究」や「鹿沼組子の耐力壁」には、大地震対策として大きく貢献できる可能性が秘められている。

今後は、この各種研究成果を、県内をはじめ国内の高等学校等に広く普及していくとともに、このSPHで取り組んできた各種研究を、従来の本校の教育活動との連携を図りながら、さらに継続して研究を深め、世界的な視野を持ち、地元地域の振興・発展に寄与できるグローカルな視点を持つ「グローバルエンジニア」の育成に努めていきたい。

(文責・齋藤裕幸主幹教諭)

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