文科省の平成30年度教育の情報化関係予算概算要求 梅村研生涯学習政策局情報教育課課長に聞く

小学校プログラミング教育支援など拡充
働き方改革で統合型校務支援システムも

文科省は、平成30年度における教育の情報化関連予算の概算要求として平成29年度予算額(約5.2億円)の約2.5倍となる約12.9億円を計上した。新学習指導要領において、情報活用能力が、言語能力と同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置付けられるなか、小学校プログラミング教育支援推進事業などを含んだ「次世代の教育情報化推進事業」の拡充に1億7500万円を計上。教員の働き方改革の実現に資するため、都道府県単位での統合型校務支援システムの導入を促進するとともに、小規模校などにおける遠隔教育システムの導入促進を図るための「学校ICT環境整備加速化支援事業」を新規事業に位置付け、予算獲得を目指す。「校務の情報化の推進を教員の長時間勤務の改善に役立てたい」などと話す同省生涯学習政策局情報教育課の梅村研課長に概算要求のねらいと注目事業、さらには、今後の学校におけるICT環境整備促進に向けた取り組みや教育への思いを聞いた。


■教員の働き方改革や小規模校における遠隔教育の推進に資する新規事業
参考資料
参考資料

教育の情報化が目指す▽児童生徒の情報活用能力の育成▽教科指導におけるICT活用▽校務の情報化の推進――の3つの大きな柱を踏まえながら、新規事業と拡充事業を中心に、教育の情報化を強力に進めていくために必要な施策を概算要求に盛り込んだ。トータルでは12億8900万円を要求している。

新規事業では、「学校ICT環境整備加速化支援事業」として、8億1700万円を計上。この中の、統合型校務支援システムの導入促進の取り組みには、6億700万円を計上した。本事業は、教員の勤務時間の減少効果がある同システムの都道府県単位での共同調達と共同運用を促進するための事業である。

背景には、文科省全体で取り組む「教員の働き方改革」がある。学校において手書きや手作業が多い教員の業務の効率化を図る観点から、統合型校務支援システムの導入などの校務の情報化の推進を目指す。今年8月の中教審「学校における働き方改革に係る緊急提言」においても、統合型校務支援システムの導入促進を図り、業務の電子化による効率化などを図ること、都道府県単位での統合型校務支援システムの共同調達・運用に向けた取り組みを推進することの重要性が指摘されている。同システムの導入にあたっては、小規模自治体での整備負担や教員の異動時の手間などを踏まえると都道府県規模での導入を進めるのが有効であることから、同システムの整備促進を通して、教員の長時間勤務の要因である事務作業の効率化を進めたい。

同支援事業に含まれるもう一つの取り組みとして小規模校等における遠隔教育システムの導入促進支援がある。本事業には2億900万円を計上した。ICTを活用した遠隔教育は、多様性のある学習や興味関心を喚起する学習等、普段の教室ではできない質の高い学習の実現に寄与することから、遠隔教育システムの導入を促進し、児童生徒の学びの質の向上につなげることを目指す。具体的には、小規模校間を結んだ遠隔合同授業や外国の学校などとの合同授業、ALTを活用した外国語指導の取り組みを推進していきたい。

■新学習指導要領を見据えた小学校プログラミング教育などへの支援

新学習指導要領を視野に取り組みの拡充を目指す「次世代の教育情報化推進事業」は、約1億7500万円を計上した。情報教育およびICT活用の推進に関する調査研究を一層充実させる。推進校の実践研究を通じたカリキュラム・マネジメントや効果的なICT活用事例の創出と普及を図りたい。

この事業の中に新規の取り組みが2つある。1つは、小学校プログラミング教育支援推進事業。本事業は、同要領の趣旨を押さえた適切なプログラミング教育の指導事例の創出と普及に取り組む。多くの賛同企業や団体が力を結集する「未来の学びコンソーシアム」とも連携して進める。また、学校における校内研修で活用できる教員用教材開発と普及や地域の研修リーダーになる教員へのセミナーの実施なども行う。

2つ目は今年度中に改訂予定の高校の学習指導要領の新たな学びに対応する高校の情報科担当教員の指導力向上事業。都道府県などの研修で生かせる教材の作成や配布を予定する。教材には、データサイエンスやサイバーセキュリティなどの最新の情報技術の知識や指導方法などを載せる予定である。

■有識者会議の最終まとめと教育ICT環境整備指針

新学習指導要領が掲げる「主体的・対話的で深い学び」の実現のための学校のICT環境整備の推進も一層重要度を増しており、力を注いでいきたい。

そこで「学校におけるICT環境整備の在り方に関する有識者会議」が今夏に取りまとめた最終まとめを紹介したい。

学校のICT環境整備に係る自治体間格差が顕著となる中で、最終まとめにおいては、有識者の議論を経てこれからの学習活動を支える学校におけるICT環境整備の明確な考え方を示している。同会議では、具体的な学習活動の想定や限られた予算での効果的かつ効率的なICT活用などを考慮して議論を深めた。学習者用コンピュータ整備については、授業展開に応じて必要な時―当面は1日1授業分程度を目安―に1人1台の使用環境を可能にする」ため「3クラスに1クラス分程度」を整備することなどの目標を挙げている。

この最終まとめを踏まえ、今後、第3期教育振興基本計画のICT環境整備目標の設定や今年度末を目途に「教育ICT環境整備指針」を策定する予定。各自治体においては上記の目標や本指針を踏まえ、教育におけるICTの有効活用が進むよう、学校におけるICT環境整備を一層進めていただくことを期待したい。

■教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン

学校においては、コンピュータを活用した学習活動など、教職員だけでなく、児童生徒が日常的に情報システムにアクセスする機会があるなど、地方公共団体の他の行政事務とは異なる点があり、学校現場ならではの特徴を考慮した情報セキュリティ対策を行うことが不可欠となっている。

そのため、文科省では、今年10月に学校における情報セキュリティポリシーの考え方および内容を解説した「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を策定し、地方公共団体への普及・啓発に取り組んでいる。本ガイドラインを地方公共団体が設置する学校を対象とする情報セキュリティポリシーの策定や見直しを行う際の参考としていただき、首長部局と連携しながら情報セキュリティの確保に取り組んでいただきたい。


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