ICT活用で創造する『主体的・対話的で深い学び』

日本教育工学協会会長 横浜国立大学教授 野中 陽一

第43回全日本教育工学研究協議会全国大会を和歌山県で開催できますこと、和歌山県教育委員会をはじめとする関係者の方々に感謝申し上げますとともに、全国からご参加いただいた皆様に心から歓迎の意を表したいと思います。

本大会のテーマは、「ICT活用で創造する『主体的・対話的で深い学び』」です。新学習指導要領では、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うことが求められています。

「各教科等の特質に応じた見方・考え方を働かせながら、知識を相互に関連付けてより深く理解したり、情報を精査して考えを形成したり、問題を見いだして解決策を考えたり、思いや考えを基に創造したりすることに向かう過程を重視した学習の充実」を図る上で、ICTの利活用は、欠かすことができません。また、全ての学習の基盤となる資質・能力として、情報活用能力が位置付けられ、小学校段階では、各教科等の特質に応じて、「児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動」や「児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動」を計画的に実施することが求められています。コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を主体的に活用できる環境と、カリキュラム・マネジメントによるこれらを適切に活用した学習活動の充実は急務です。

和歌山大学の豊田先生が中心となり、和歌山県「教育の情報化」授業研究会が全国大会開催に向けて、ICT環境の整備、ICT活用や情報活用能力の育成に関する実践研究を重ねてこられました。その成果を示すべく、和歌山大会では、上述したような視点に基づき、新学習指導要領に向けての授業が公開され、実践事例が報告されます。また、それを支える環境を目にする機会が豊富に準備されています。

全体会では、文部科学省による基調講演に続き、「〝学校情報化先進校・先進地域〟から情報化の達成・成功要因を探る」と題したシンポジウムも行います。約350校の学校情報化優良校の認定、学校情報化先進校、先進地域の表彰の実績に基づき、それらの成果を生かして、現在、学校情報化チェックリストの改訂、新学校情報化診断システムの開発を進めています。年々件数が増加している研究発表は120件を超え、12会場での実施となります。

また、企業、教員現場、教育工学研究者のコラボレーションによる9つのワークショップが企画されています。多様なプログラムを通して明日の教育実践に役立つ研究成果を交流していただければ幸いです。

このような充実した全国大会が実施できますのは、和歌山県教育委員会、和歌山市教育委員会をはじめ、多くの先生方のご尽力と関係各位のご支援ご協力のおかげであります。ここにあらためて深く感謝致しますとともに、その成果と交流の絆が教育の情報化のさらなる普及・充実へと発展することを期待したいと思います。


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