校務支援システム導入とスムーズな運用

滋賀県草津市教育委員会事務局学校政策推進課専門員 森 和昭

学校教育の質向上を図るには 導入目的・意義の共有が重要 先行事例を参考に仕様書作成
参考資料/フローチャート
参考資料/フローチャート

校務支援システム導入による直接的な効果には「業務の軽減と効率化」や「情報セキュリティの向上」などが挙げられます。これらを通じて教職員の業務時間が削減され、子どもと関わる時間や、教材研究を行う時間が創出され、「学校教育の質の向上」を図ることができます。

導入に際しては、導入の目的・意義について、教育委員会と学校の教職員が共有することが重要です。この認識の共有を怠ると、導入に係る作業や導入後の運用に支障が出ることがあり、校長会、教頭会などさまざまな機会を通じて、丁寧に説明し、全教職員の共通認識のもと導入を進めることが重要です。

次に、システムの選定・設計です。システムは主に、既成のパッケージシステムから選定することが想定されますが、既存のパッケージの機能に、各校の希望する内容をどれだけ取り込み、反映できるかが導入効果に大きく影響します。企業が提供するパッケージでは使用できる機能が異なり、事前に各校からヒアリングやアンケートを行い、現場で使用する教職員の意見を反映させて、必要な機能や求められている機能を整理することが大切です。それによって過剰な機能を省き、使いやすいシステムとすることができ、導入費用を抑えることができます。また、各校がどのような方法や様式を用いて諸帳簿・帳票を作成しているかを把握しておくことで、導入するシステム決定後に行う検討委員会での、機能や帳票のカスタマイズ時の資料として活用でき、作業時間の短縮も図れます。他にも、導入後のサポート体制(教職員への研修、トラブル発生時の対応体制、常設のサポートデスクの設置)、セキュリティの確保等についても十分な検討を行い、仕様書に明記しておくことで、導入後のスムーズな運用やトラブル防止につながります。

なお、導入時に十分検討していても、導入後2~3年の間は、実際に使用する中で改善すべき事項が出てきます。場合によってはシステムの修正や変更が必要となることがあるので、有償対応となる範囲・無償対応となる範囲を事前に設定しておくことが推奨されます。仕様書の作成に際しては、先行事例を参考に内容を検討しておくことが重要です。

導入するシステム・業者が決定したら、自治体の運用方法に応じて、より具体的な設計・カスタマイズを行います。設計・カスタマイズ作業においては、業者と教育委員会に加え、学校の教職員(小・中学校それぞれから選出)も含めた検討委員会を設置し、運用計画や運用ルールをはじめ、自治体内で使用する諸帳票の統一形式や、学校ごとに弾力的にカスタマイズできる範囲等について検討する必要があります。こうして、導入業者決定後に、検討委員会での検討を経ることで、その自治体に合ったシステムを使用することができます。

校務支援システムは、学籍・名簿管理、出欠席管理、成績管理、通知票・指導要録作成、時数管理、保健機能など、多様な機能を有していますので、「いつから」「だれが」「どの機能を」「どのように」使用するのかについて、「運用計画」を作成しておくことが必要です。校務支援システムの全ての機能を使いこなすには時間がかかるため、各自治体における校務情報化の進捗具合や、教職員のICT活用能力等の状況に応じて、段階的に活用する機能を増やし、2~3年かけて、フル活用に至るような運用計画を事前に設定しておくとスムーズです。

併せて、各操作にかかる教職員研修をはじめ、教育委員会事務局担当者を中心とした細やかなサポート体制の構築、現場の声を反映したシステムの修正・変更を継続的に実施することが必要です。また、システム導入に伴い、通知表の様式等を変更する場合には、保護者にその意図について説明することも必要です。

校務支援システムは、学校にとって欠かせないツールの一つとなりつつあります。しかし、「何のために用いるのか」という目的や意義を十分に理解し、正しい方法で運用しなければ、その良さや効果は十分に発揮されません。

効果が発揮されれば、学校教育の質の向上につながり、子どものためになるのだということを理解し、活用を進めることが大切です。


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