学びの習慣づくりを推進 北海道小樽市立北陵中学校

図書館の3機能生かして 「補充学習」「発展的な学習」を展開

放課後に学習支援事業「北陵塾」
放課後に学習支援事業「北陵塾」
◯はじめに

本校は、2016年度閉校した「北山中学校」「末広中学校」が統合し、17年度4月に統合校として開校した(生徒数286人、職員数35人)。深く歴史を刻んだ「手宮地区」に立つ本校に地域から寄せられる期待は大きく、初年度を託された職員の意識も高い状態で職務に当たっている。小樽市は、学校教育の大きな目標を、社会にとってより有為な人材を育てることと掲げている。本校は、「北陵生」がまちづくりの担い手として、その基礎となる力を育むために、次の教育目標を設定した。

「小樽の未来をつくる 北陵生の育成」 ▽深く学び、考え、表現できる生徒 ▽豊かに人とつながり、思いやりのある生徒 ▽たくましく心身を鍛え、自らを律する生徒

目の前の子供の様子を見ると、基本的な「語彙(ごい)」が不足していたり、人とつながるための言葉を紡ぐ術が未熟であったり、物事の発想の基となる「実体験」に欠けていたりと、諸々課題を抱えている。これらの課題を克服するため、小中9年間で育てたい子供像を共有し導くとともに、家庭と学校が連携して学習環境を整えることが急務であると考える。そのために本校の「学校図書館」は大きな役割を担っている。

〇学びに導く――学習センターとして

本校の学校図書館は、学習支援事業「北陵塾」の活動場所の機能も有しており、放課後学習の場として「補充学習」「発展的な学習」が日々展開されている。この取り組みは校区内に学習塾が少ない事情とも重なり、順調に利用者を伸ばしている。年間開設数161日、延べ利用者数2010人と、生徒たちの学びの習慣づくりに一役買っている。テスト前には、生徒の中に、それぞれの教科を得意とする「にわか教員」が現れ、生徒同士が教え合う姿も見られるようになった。数学科の授業改善に伴う連携強化により、放課後の「補充学習」の機能も充実してきている。

〇本を読む生徒を育てる――読書センターとして

市内中学校唯一、常任の学校司書が配置された学校として恵まれた環境にあるが、4月の利用者は5名と寂しいスタートとなった。スマホの画面以外に文字を読む習慣が少ない生徒たちに「読書の魅力」を伝えるため、7月には、学校司書による「ブックトーク」を、12月には「ブックフェア」を行い、利用者のすそ野を広げた。7月には「NIE(新聞教育)推進校」の指定を受け、図書館に毎日複数の新聞も配備されるようになった。これらの動きを知った地域の住民や企業、卒業生からは、図書館の蔵書を充実させてほしいと50万円を超える寄付も寄せられた。先輩や地域の支援と期待の声を受け、図書委員会の生徒の活動も盛んになってきている。

▽2017年度実績=開館累計172日、来館者累計7717人、貸し出し累計1796冊
〇「NIEタイム」で鍛える――情報センターとして
生徒のスマホ所持率は高く(89・4%)、使用時間も長い(4時間以上使用24・4%)。ネットにあふれる情報に惑わされることが懸念される。正しい情報を見極める力を育てることが21世紀を生きる子供たちにとって必要である。そこで、毎週金曜日の朝5分の「NIEタイム」を設定した。新聞のコラムを2分で読んで、1分で内容をまとめ、2分で感じたことを川柳に表現する学習である。当初は、大人の書く文章に苦戦していた生徒も、決められた時間で読み、5・7・5の作品にまとめることに慣れ、優れた作品を次々と生み出している。現在新聞投稿369作品、うち新聞掲載を果たした作品は46作品にのぼる。
〇成果と課題

子供たちの課題である「社会で生き抜く実践的な力」を鍛えるために、学校図書館をフィールドに活動を展開してきた。しかし、「読み」「考え」「表現する」という総合的な力を付けさせるには、継続的に、学校全体で取り組むことが必要である。これらの取り組みに多くのスタッフが多角的に関わることを通して、組織的に生徒を育む意識が高まった。

新年度の「教育課程」の編成作業を進めるに当たり、(1)「教科」にとらわれず、横断的に「言語活動」を設定する(2)小中連携事業の中で「各教科で育てたい見方・考え方」の視点を意識する――など、子供の実践的な力を育成するために、スタッフがそれぞれの専門性を生かし、「よりよい教育課程編成」に向け、忙しくも充実した毎日を過ごしている。(教頭・高橋恒雄)


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