地域とつながる高校図書館 北海道北広島西高等学校

多様な講師で講演会開く 生徒のステップアップに

オリジナルな掲示物を効果的に活用
オリジナルな掲示物を効果的に活用

本校は、札幌市に隣接する全校生徒864人、全日制普通科の大規模校である。2010年度から、地域開放事業の一つとして、「図書館講座」を開催している。事前準備から当日運営まで、全て図書局の生徒が担当する。地域の住民から好評を得ており、講座を通じて生徒たちの成長を実感することもできる。地域とつながる本校図書館の取り組みを報告する。

〇図書館講座のはじまり

「図書で何かできないか」――。

年度当初、管理職の一言で、図書館講座は動き出した。地域社会に貢献する、という目的はあるが、学校の特色を出すための方策として図書に白羽の矢が立ったのである。

以前から地域住民に本の貸し出しは行っていたが、それだけでは面白くない。図書館からさまざまな情報を発信し、多くの人たちを取り込んでいきたい。北海道にゆかりのある著名な方々を本校図書館に招き、講演会を実施することにした。高校の図書館へ気軽に足を運んでもらうために、まずはオリジナルポスターとチラシを作り、教職員(当時の図書視聴覚部担当4人)と図書局員の生徒が手分けして、地域への営業活動を行った。

〇図書局生徒の活動

図書館講座は、生徒が中心となって運営するため、事前準備から当日までやるべきことはたくさんある。講師の履歴や代表作品を模造紙にまとめる、ディスプレーの製作、招待状・プログラムの作成と発送、当日のシナリオ作成など、放課後に集まり、ほぼ毎日活動する。

当日は朝早くから、会場の最終確認やリハーサルなどをしていると、本番の時間はすぐに来る。開場の時間に合わせて、受付と誘導を配置する。生徒たちで考えたシナリオに基づいて、局員が司会のマイクを握り、プログラムに合わせて進めていく。教職員は何も口出しをしない、というのが基本的なスタンスである。

講師はこれまでさまざまなジャンルのスペシャリストに来ていただいた。約1時間どうぞ自由に思う存分語ってくださいという形で依頼している。回によって、会場の雰囲気はさまざまだ。真剣に話を聞く内容もあれば、ユーモアたっぷり笑いに包まれるときもある。大切なのは、講師と来場者、そして運営者によってつくられる一体感である。講演の途中に、局員が企画したちょっとしたクイズを入れて正解者にプレゼントを渡したときは、会場が和やかな空気になった。講演の終わりに質疑応答の時間を取れば、講師と客席の距離はぐっと縮まることも、経験してみれば分かることである。

時には司会の生徒がアドリブで進行しなければならない場面もある。一瞬、教職員に助けを求める視線を投げることもあるが、こちらは何も口出ししないスタンスだから、よほどのことのない限り、ただうなずくだけである。運営する側の苦労というか、突発的な対処法を瞬時に考えて次の行動に移すという経験は、今後のステップアップに大きく役立っていると思われる。

〇人とのつながりを大切にする

講師の多くは、札幌近郊に在住しているか、北海道にゆかりのある著名な方ばかりである。普段はなかなか会うこともできず、生徒にとって憧れの人であったり、大げさに言えば雲の上の存在であったりするものだ。当日だけの関係で終わってしまうのは残念なので、事前にイベントがあれば可能な限り積極的に参加する。後日、お礼の手紙や、講演の様子を編集したフォトアルバムを送る、次回の講座の案内状を出すなど、人とのつながりを大切にするよう心掛けている。

中でも、北海道を代表する絵本作家・そらさんとの出会いは、生徒たちにとって大きな財産である。絵本の読み聞かせイベントに参加したり、マイ・タンブラーを一緒に作ったりすることで、ぐっと距離感を近づけた。事前に何度も会っていると何となくお互いに安心するし、当日も良い雰囲気の中、スムーズに進行できるものである。

当日は、30号のキャンバスにダイナミックな絵を描きながらのパフォーマンス講演を実践してもらった。時間を見つけては、そらさんのイベントに参加したり、手作りのプレゼントを渡したり、今でも交流を続けている。講座で描かれた作品は、校舎2階の生徒たちが毎日行き来する廊下に飾られ、本校が存続する限り、これからも多くの生徒たちに温かく見守られることだろう。

実は、今夏第15回を数える本講座の講師として、そらさんが登場する。興味のある方は、ぜひ札幌にお越しいただきたい。本校の図書館活動を見て、生徒の活動を温かく見守っていただければ幸いである。(司書教諭・図師広光)


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