図書館の可能性広げる 滋賀県長浜市立木之本中学校

理科+図書館×ICTで 教師と司書の連携を土台に

〇研究実践の経緯
チームで協働し目的を明確化する
チームで協働し目的を明確化する

本校は2014年8月に図書館改造事業「図書館ビフォーアフター」を実施し、図書館の整備を行った。15年には、学校図書館司書を配置し、授業の中で図書館を活用する方法の研究も行った。さらに、「学校司書の資格・養成の在り方や資質能力の向上に関する研究調査」(文科省委託事業)の指定を受け、学校司書と連携し図書館を活用する授業研究にも取り組んだ。

「開かずの間」と化していた図書館は「図書館ビフォーアフター」によって本棚や机の配置、資料そのものの大掛かりな整理が行われ息を吹き返し、授業でも活用できるようになった。この研究の中で、ICTを「きっかけ」とする理科の授業実践を行い、図書館改造から新たな学校図書館の利用に至るまでの取り組みと、図書館を活用した新しい授業づくりの方法について研究成果を得ている。

〇授業と学校図書館

学校図書館での授業展開では、資料の充実に努めなければならない。ICT機器を用いた展開では図書資料のみならず、デジタル資料を含めた準備が必要となる。本校では、学校図書館司書を配置しており、教師との連携を求めた。授業者は、授業に沿った本、学習レベルに応じた文章や絵と写真、資料のつながり、意図する授業が図書館司書に伝わっているのかという点を重要視する。一方で、図書館司書は必要な本、本の使い方、「キーワード」で、教科専門性を超えて意図を示してもらえるように考えていた。

教師と図書館司書の連携を土台として、一つの授業を展開していくために、このプロセスが非常に重要であった。本市では公共図書館との連携も図っており、図書館司書との連携を密にすることで、十分な量と種類の本を確保することができた。集め本を授業で使用することで、資料としての図書の評価が行われ、より生徒のニーズに沿った図書として提供するためのデータとなった。これは生徒が参考にした内容を記録する「情報カード」を基にしている。

図書館を使った授業が、次の授業の役に立ち、資料の充実と進化・成長する図書館というサイクルを生み出す原動力となった点は、大きな成果である。

〇キーワードは「没入感」。理科授業を図書館×ICTで

モデルとしたのは、地学分野「地球と宇宙」単元の授業である。理科では教室と理科室、フィールド(野外)、図書館にはそれぞれの役割が存在する。資料やその提示方法から主体的・能動的な学習が生まれる「きっかけ」に着目し、学校図書館司書と連携し、ICT機器を用いて図書から最大限の「イメージ」を引き出す方法や可能性に迫った。

授業は、太陽系の惑星調べを行い、「太陽系移住計画」として地球外に移住する計画をプレゼンテーションするものである。授業の導入で、3Dの半球状スクリーンに地球や火星、木星などの天体の3Dマッピング投影を行った。調べ学習を進める上でのポイントや例を投影型電子黒板で解説し、電子タイマーでカウントダウンを行った。調べ学習前の生徒とのコミュニケーション材料になり、1時間という限られた時間の中で生徒のイメージを膨らませ、授業の目的を明確にできた。図書館とその資料はイメージと目的を持った生徒によって最大限に活用され、チームでの役割分担も明確になった。

理科の学習活動で、主体的・能動的な学習が生み出されている背景には2つ以上の事象の意味を理解し、その規則性を見いだす「比較」と必要な情報を理解し抽出し解釈する「要約」作業がある。要約は絵や図や表でも表現が可能である。図書資料の情報を記録する「情報カード」には図書資料を検索し、内容を理解していく過程が詰め込まれている。図書館での授業では、終末だけでなく学習過程でも評価が行いやすい。評価ができるということは、生徒の探究活動へのアドバイスが的確になり、教師と共に授業に没頭できることでもある。

〇まとめ

ICTはコミュニケーション技術であり、効果的な導入がなされない限りその威力を発揮しない。効果的な導入を行うために、授業・教材研究を行い、理解を強いていく方法ではなく、能動的な学びを生み出すきっかけにすることを目指した。理科においては、自然科学を探求しようとする態度が培われていく様子が取り組みの中で見えてきた。

デジタル化が進む社会の中で、図書資料とICT機器、それぞれの役割を明確に認識する必要がある。資料はICT機器を用いて空間の広がりと時間の表現へと発展させることができる。ICTの導入は慎重に行わなければ知識先行型の授業展開になりかねないために注意を要する。授業では、ICTの効果的なコミュニケーション能力を発揮できるようなアプローチを必要とする。理科における図書館の利用の可能性は広がった。膨大な資料の中から必要な資料を精選し、その図書資料活用の工夫をして、新たな実験および考察の方法として発展させることができる。(教諭・丸本高祥)


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