身近に本のある環境づくり 鹿児島県鹿児島市立武中学校

心地よい利用を目指す 生徒の目線大切に運営
図書館を利用する生徒が増えてきた
図書館を利用する生徒が増えてきた
〇はじめに

本校は、鹿児島市中央部の高台に位置し、雄大な桜島を望む生徒数479人15学級の中規模校である。校区には西郷屋敷跡もあり、西郷隆盛の遺徳を縁として、山形県鶴岡第二中学校と兄弟校盟約を交わし、相互に親善訪問団を派遣し合い、交流を深めている。

〇環境づくり

学校図書館は公共図書館と違い、限られた年齢層が利用する。年齢層に応じた読書センター的機能はもちろん、生徒や職員が使える学習情報センター的機能を備えておかなければならない。そのため、本校に異動して最初に館内の環境美化、そうじや季節を感じてもらえるような設営、利用しやすい図書館の整備を行った。

具体的には図書館入り口に図書館へ誘う設営、館内は季節に合った設営を毎月行う。貸し出し・返却の方法も簡略化した。また、NDC(日本十進分類法)で整理整頓、案内表示を作成し、本の配置も変更した。古い本、内容が時代にそぐわない本は思い切って廃棄した。基本的なことだが、図書館を心地よく利用してもらうためには不可欠なことであると考える。

〇選書の重要性

本校は高台にあるため、通称「根性坂」といわれている坂を毎日上り下りしている。中学生になると荷物も増え大変である。それに対して図書館にはセット本など大きく重い本が多く、生徒が借りて帰れるような本(特に調べ学習用の本)が少なかった。朝の読書を行っているが、本の回転率も悪く感じた。
そこで生徒の目線になって、授業で使用する本に加えて、時節で話題になっている本を選び、購入した。

生徒との話の中で好みに合うような本も選んだ。それらの本は新刊案内で定期的に紹介した。年齢層が限られているからこそ、選書の重要性を強く感じている。常に新聞、雑誌、テレビ、漫画などチェックを行い、生徒との会話にもついていけるようにしている。

〇図書館へ行こう

異動してきた際は、生徒との関係をうまく築くことができるか心配であったが、明るく人なつっこい生徒が多く、特に同じ校舎の3年生にはとても助けられた。貸し出し、返却にかかわらず、図書館へ来てくれる生徒が増えたのはうれしかった。

図書館と生徒をつないでもらうため、教員に向けては貸し出し統計、新刊案内などの情報提供、ブックリストの作成、調べ学習のサポートを行っている。読書指導部を中心に図書館をサポートしてもらったが、十分にアピールができていないので、今後、学校図書館の良さを認識してもらい、活用の促進を図っていきたい。

図書部員とは読書月間・週間の企画・運営や、心に残る一文紹介、新入生へお薦めする本、POP作成、読書郵便、生徒が先生にお薦めする本などの活動を行ってきた。生徒とコミュニケーションを取ることで、いろいろな読書活動に取り組むことができた。

図書部員としての自覚も芽生えてきたと思う。先日、図書部員にアンケートを取ったところ、「図書部員になって良かった、楽しかった」と回答してくれた。「もっと多くの本を購入してほしい」という意見もあった。読書活動を通して、自分自身を表現できるようになってほしいと願っている。

図書館へ来てくれる生徒とコミュニケーションを取るときに、気を付けていることがある。一つ目は生徒の話を聞く。二つ目は生徒の良いところを見つけ言葉にする。三つ目は次につなげるため、話した内容を忘れないということである。図書館に来てもらうためには、生徒にまず司書自身を信用してもらわないといけない。
信用されたからこそ、できる話がある。生徒とのやり取りはとても楽しい。これからも大事にしていきたい。

〇最後に

「人が環境をつくり、環境が人をつくる」「本が身近にある環境を」――。

この二つは、前任校から私が学校図書館を運営する上で目標としている言葉である。人が人を呼んで、人と本とがつながっていく。本が身近にある環境を私たち大人が整えてあげることは、とても大切だと思う。自分で好きな本を手に取ることができ、考えることができる。活字に触れて「ページをめくることがいいな」と思ってほしい。生徒の目線に立ち、生徒と共に学んでいく学校図書館をこれからも目指していきたい。(学校司書・道野あゆみ)


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