「魔法の箱」から主体的な活用へ 東京都荒川区立第二日暮里小学校

児童が好奇心を持って課題解決 プログラミング的思考を育てる
4年生「ににちロボット研究所」
4年生「ににちロボット研究所」

「プログラミング的思考とは何か。分からないからこそやってみよう」。東京都荒川区立第二日暮里小学校(川上晋校長、児童数199人)は、2013年度に「荒川区タブレットPC導入モデル校」に指定され、児童1人につき1台のタブレットを配置。17年度には「東京都情報教育推進校」に指定され、プログラミング教育の先行実施が決まった。川上校長が次世代教育について学校や研究機関とともに研究活動を行うタブレット導入業者の(株)内田洋行と共にレゴ エデュケーションによる校内研修を実現し、ロボット教材「レゴ WeDo2.0」を活用した実践を行っている。

■主体的に課題解決に取り組むことができる教材

レゴ WeDo2.0は、プログラミングを学習できる教材。ロボットに簡単な動きをさせる操作から、生活に密着した問題の解決まで、さまざまな課題に取り組むことができる。「科学探査機マイロ」は、レゴ WeDo2.0の代表的なカリキュラム・モデル。モーターとタイヤを連動させた探査機型のロボットで、プログラムのアイコンブロックを組み合わせて、▽前後に動かす▽音を鳴らす▽LEDの色を変える――などの動作ができる。

また、センサーと組み合わせることで、発見したものを感知したら止まるプログラムや、コントローラーを傾けたらメッセージを送るプログラムをつくれる。児童が好奇心を持って、主体的に課題解決に取り組むことができる教材となっている。

授業に当たって重要視したのは「課題解決場面を設定すること」と「グループで取り組むこと」。グループを作り、一人一人に役割を与えながら、全員で話し合って取り組むことで、論理的に検討して課題解決に取り組む力を身に付けられる。

3人一組を基本として、3年生以上の「総合的な学習の時間」でのプログラミング学習を進めている。

例えば4年生の取り組みは「ににちロボット研究所」。「月面の各スポットをくまなく調査する調査ロボット」を目指して、ロボットの進む距離や回転の角度の条件を工夫する。プログラムを組んでも実際に動かしてみると予想と違う動きをする。プログラムのどこに問題があるのか、一つ一つ分割して課題を把握し、必要な情報を集め、話し合って次のプログラムを考える。発表会では、正確な角度でターンし、次のスポットまで必要な分だけ移動できるロボットに歓声が上がった。

5年生では「合体!できたよ オリジナルロボット」。グループで2台のロボットを使った「人の生活に役立つロボット」の製作に向け、企画書づくりからスタートした。「ライトを照らして災害現場で活躍する救助ロボット」「人の手を使わずクレーンでゴミを収集するロボット」など、活発な話し合いで生まれたアイデアが、少しずつ形になっていった。発表会を行い、ロボットを動かしながら人の生活に役立つ点をプレゼンや意見交換をして、考えを深めていった。

6年生は「Make the story」。オリジナルの脚本を作り、それに合わせてプログラムしたロボットを登場させ、自由な発想力と、論理的思考力を養うことを目指した。最後のプレゼンテーションでは、ロボットを使ったオリジナルストーリーを披露するなど、表現力の向上も見られた。

■「魔法の箱」から「よりよい社会づくり」のための道具へ

どの学年でも児童らは「こんなふうに動かしたい」と張り切るが、思い通りにいかない。なぜ上手くいかないのか、話し合いを重ねる中で、課題を見いだし、改善できるようになっていった。

「まさに学習のPDCAサイクルだ」と川上校長は語る。児童らが目をキラキラさせて真剣に取り組む姿に、教員は「プログラミング教育はよく分からないけど、やってみよう」と学校全体で取り組み、授業づくりを行っていった。

同校長は「評価規準も示されないなど分からないことも多いが、元々『何もないからこそやってみよう』と始めた研究だった。失敗を生かすトライ&エラーの精神で、新たな取り組みにチャレンジしていきたい」と話す。

コンピュータは「魔法の箱」ではなくなり、主体的な活用につながる。プログラミング体験にとどまらない、その先の深い学びへと挑戦は続く。


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