思い出に残る給食を提供 東京都府中市立給食センター

安全・安心・おいしいを調理 児童生徒約2万2千人の食育の拠点
子供の調理実習や献立教室に活用

食育の拠点として、思い出に残る給食を作る場として――。移転し2017年9月から給食調理を開始した東京都府中市立学校給食センター(時田浩一所長)は、市内にある全ての公立小・中学校計33校に向けて学校給食を提供している。

二つに分かれていた施設が一つに統合され、全国でも最大規模となった同センターで、約2万2千人の児童生徒のために、230人を超える職員が日々「安全・安心・おいしい給食」を調理している。

同センターの特徴は二つ。一つは「食育の拠点」であること。施設内には最新の調理器具を備えた「調理実習室」があり、実習のほか献立教室も行う。7月には近隣の中学校から1年生全員を招き、ALTを講師とした「英語でクッキング」を行う予定。英語を実践的に役立てながら外国の食文化を体験してもらい、食に対する意識を高めるのがねらい。給食センターではこれまでにない取り組みとなる。

子供たちの応募の中から選ばれたイメージキャラクター

 

同センターが児童生徒に向けて届けるお知らせ「ランチタイムズ」や地域向けの広報では、小・中学校それぞれで食材の特徴を生かしたキャラクターが活躍。市内の子供たちから何百と寄せられた候補の中で選ばれた作品だ。小学校は「給食5レンジャー」、中学校は「らんちーず」。「みんなの健康を願って一生懸命応援しています」「給食をもっともっと好きになるように、楽しくかわいく描きました」(作成した児童生徒のコメントより)――。キャラクターの応援を受けて、「ランチタイムズ」や広報は市内の学校や家庭   図書館などさまざまな場所で読まれている。

子供たちの応募の中から選ばれたイメージキャラクター

同センターに勤める2人の栄養教諭は、食に対する意識を啓発するため、各学校に出向いて食育に関する授業をしている。1年間で100コマの出前授業を実施。「偏食をしているとどうなるか」「食事で病気を予防する」など、学校と相談しながらテーマを考えているという。小松菜など地場産野菜の紹介も行い、地元農家と連携しながら積極的に取り入れた献立作りをしている。

栄養士や調理員も、それぞれ担当の学校があり、定期的に訪問して子供たちの様子を見学、給食について説明したり、要望を聞いて献立に反映させたりしている。「自校給食とは違って距離がある分、顔が見える給食作りになるよう意識している」とのこと。何回か行くと子供たちが顔を覚えてくれて、声を掛けてくれるという。

見学の場としても充実している。昨年10月から受け入れを開始したところ、当初はほぼ毎日、見学の申し込みがあったという。今でも1カ月の半分は見学があり、小学校の社会科見学のほか、地域住民の訪問や他の自治体の視察も多く、100人規模の見学になることも。見学の期待に少しでも応えようと、調理員が協力して手作りの紹介パネルを作成。普段目にすることのない調理器具や衛生上の注意、「安心・安全・おいしい給食作り」の工夫について、分かりやすく伝えている。

もう一つの特徴は最新の設備や仕組み。「アレルギー専用調理室」では、対応食ごとに調理機器や場所を分けて調理。流れ作業にはせず人手をかけ、丁寧に作業している。以前までの「卵」「ナッツ」に加え、乳製品やエビ・カニにも対応できるようになった。対応も、除去食を作るだけではなく、アレンジして違う形でおいしい給食を提供するよう心掛けているという。「まだまだ取り組み途中。今は対象になっていない品目についても拡大し、できるだけ多くの児童生徒に給食を食べてほしい」と時田所長は語る。

見学の期待に応えようと職員が作った紹介パネル

危機管理の仕組みも最新式を取り入れている。調理場内の床を乾いた状態に保つドライシステムでは、細菌やカビの繁殖を抑えて食中毒の発生要因を抑制。食材動線が戻らない「直線ワンウェイ方式」では、業者から納品された食材の荷受け、洗浄、調理、加熱、運び出しまでを一方通行とし、調理員の行き来も禁止。ノロウイルスなどの危険性を抑える。調理員が作業前に用いる強力なエアシャワーも、ほこりや毛髪混入などの異物混入を防止している。

この「食育」と「危機管理」にかけて、「栄養士や調理員たちの絶え間ない努力、プロ意識には頭が下がる」と庶務を担当する斉藤寛人主査は言う。勤務開始よりも30分早い朝7時には業務を開始し丁寧に準備、運び出し後は毎日反省会。「どうやったら外はかりっと中はふわっと作れるか」「調味料をなるべく抑えて野菜のダシやうま味をもっと引き出したい」「洗浄になるべく塩素系を使わず、電解水で対応するには」など、よりよい給食作りに向けて日々徹底した話し合いが行われているという。

「大規模なセンターだからこそ、きめ細かな給食作りを」と話すのは栄養士の後藤由起子主査。国産の食材をメインとし、グラタンやカレーのルーも一から作るなど、手作りの味を大事にしているという。「給食は毎日の生きた教科書。こういうものを食べたら元気になると学びながら、家庭料理やレストランなどとは違った給食ならではのよさに触れ、学校生活の思い出として給食を記憶してほしい」と語る。

時田所長は「給食センターは単に食事を作って提供するだけではない、食育を担う拠点。おいしいものを提供するだけではなく、さまざまなものに触れ、食に対する意識を高める機能を果たしていきたい」と話す。

食べて健康に、そして記憶に残る給食を――。「顔の見える給食センター」として子供たちと触れ合い、学校や地域と連携しながら、同センターはこれからも子供の成長を支えていく。


【学校給食特集】トップページへ戻る