地産地消の推進体制構築 山形県高畠町立高畠中学校

食品ロス削減の意識高める
レシピ開発のための授業

本校は、2016年4月に町内の4中学校を統合して、町唯一の中学校として新築し開校した。また、それまで親子方式で行っていた給食を、自校給食としてスタートした。開校初年度である16年度に文科省委託事業「社会的課題に対応するための学校給食の活用事業」の指定を受け、有機農業が盛んな本町の良さを生かし、本校の目指したい給食の在り方を模索した。

本町では、50年以上にわたって地元農家が自給野菜を提供し、学校給食を支えてきた歴史のある小学校もある。09年度から中学校の給食も開始され、その食材には小学校同様地元農家が生産した野菜や果物を使用してきた。統合して大規模校になっても、これまでと同様、学校給食に安全で新鮮な旬の地元農産物を提供したいとの強い思いがあった。

地産地消推進においては、「大規模校化に対応した地元農産物活用の体制の構築」に取り組み、食品ロス削減においては「規格外の農産物を学校給食の食材として調達する新たな仕組みの構築」および「規格外の農産物を使用し、調理残渣を削減しながら効率的に大量調理を行うための調理方法および調理メニューの研究開発」に取り組んだ。

《地産地消の推進》

①「地元農産物供給組織」の組織化

・町内の農産物生産者の中で、大規模校の学校給食食材として農産物を供給することが可能な生産者を募集し、新たに「自給農産物組合」を設立し、組織化を図った。

②地元農産物を効率よく納入してもらうための仕組みの構築

・生産者は、地区単位に設置した集荷所に農産物を搬入し、それをコーディネーターが集荷して学校に納入することにより、生産者から効率よく納入してもらう集荷システムを構築した。

③地元農産物を学校給食で計画的・安定的に使用するための仕組みの構築

・自給農産物組合の生産者、コーディネーターおよび栄養教諭による打ち合わせを定期的に行った。給食で必要な食材量を提示し、組合で供給可能な作物を確認し、生産者ごとの供給量および納入日を決定するようにした。生産者と給食関係者との間で計画的に必要食材料量および供給可能量の調整を図り、安定的に納入してもらう仕組みを構築した。

コーディネーターが集荷
《食品ロスの削減》

①規格外の農産物を学校給食の食材として調達するための仕組みの構築

・規格外の農作物を「家事消費以上、直売所等への出荷不可程度のもの」と定義し、コーディネーターおよび栄養教諭が生産者を直接視察したり、定例の打ち合わせ時や生産者からの情報を収集したりすることにより、学校給食食材として使用可能な規格外の農産物の品目および量を把握した。

②規格外の農産物の調理残渣を削減し、効率よく調理を行う調理方法の開発

・規格外のものは形や大きさがふぞろいで調理効率が落ちてしまう課題があり、それらを克服するため、県立栄養大学から助言をいただき、洗浄の際に「球根皮むき機」を使用するなど、規格外であっても効率よく調理することができた。さらに、規格外のものや通常のものについても調理残渣を削減させるための洗浄や切り方も研究した。

③規格外の農産物を使用した献立の考案

・サイズが小さな(未成熟)の玉ねぎ→丸ごと1個を蒸してミートソースをかけた。みじん切りにして肉そぼろごはんに。

・芽が伸びた(とうが立った)玉ねぎ→みじん切りにしてドライカレーに。

・サイズが小さなじゃがいも→丸ごと1個のまま調理して煮っ転がしに。

・大きさや形がふぞろいのにんじん→皮ごと切ってカレーに入れたり、みじん切りにしてさまざまな献立に使用したりした。

・生産過剰になった野菜→長期保存可能な干し物に加工してもらい、なす干し煮やくきたち干し煮に。

④生徒の発想を生かした「学校給食食品ロス削減レシピ」の開発

・開発にあたっては、家庭科教諭と栄養教諭が指導を行ったほか、県立栄養大学からも助言をいただいた。

・生徒が開発したレシピを実際に学校給食の献立として提供した。

生徒開発メニュー・冬野菜カレーとりんご入りフレンチサラダ

▽冬野菜カレー・りんご入りフレンチサラダ=カレーの大根、にんじん、ごぼうは皮ごと、サラダに入れたブロッコリーの茎も使用。サラダには、りんごは皮ごと、カレーに入れた大根の葉を使用。

▽大根菜飯・大根のそぼろあん煮=大根はそぼろあん煮にし、葉の部分はごはんに混ぜ、大根を余すことなく使用。

▽皮つきにんじんとおから入りハンバーグ→にんじんを皮ごと使用し、多くが廃棄されてしまうおからを使用。

▽手作りりんごジャム→家庭科の時間を活用し、傷の付いた規格外のりんごを皮付きのままジャムにした。

《成果》

・「自給農産物組合」の組織化および効率的な集荷システムの構築、さらに安定的な供給に向けた話し合いの実施等により、遠距離の生産者も一定量の農産物を納入することが可能になった。

・規格外の農産物を学校給食の食材として調達する仕組みの構築や調理方法の開発により、多くの規格外の農産物を活用したことで、食品ロス削減に貢献できた。

・生徒が「食品ロス削減レシピ」を開発し、実際に学校給食に提供したことにより、生徒の食品ロス削減への意識が高まり、生産者が栽培した大切な農産物を余すことなく食べることで食物や生産者に感謝する心が育まれた。

《課題と今後の取り組み》

・今後も食材量の確保、安定供給を継続するために、集荷システムの保持や適切な価格設定についての検討を行っていく。

・調理効率が落ちる規格外の農産物の使用にあたっては、調理員の理解が不可欠であるため、規格外の農産物使用の意義等について、調理員の理解を図るとともに、日頃から協力体制を構築していく。

(文責・栄養教諭 木村由佳子)


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