日常指導から自己管理能力向上 熊本県あさぎり町立免田小学校

食への関心と感謝の心を育む
食への関心を高めるために/食品科学科のある県立高校の協力を得て、パン作りの体験活動

本校は、2015・16年度に熊本県教育委員会より学校給食・食育研究推進校、また、文科省よりスーパー食育スクール事業の指定を受けた。児童の望ましい食習慣と体づくりに対する意識を高め、健やかな心と体を育むことを目指して、食育の実践に取り組んできた。研究主題を「食から見つめ直す健やかな心と体」とした。

健やかな心と体づくりに必要なことを理解しても、自ら実践していく力がついていなければ、それを実現することはできないことから、児童たちに必要な力を自己管理能力とした。この力は食育だけでなく、学習やスポーツ、将来設計にまでかかわる力であると捉え、児童にとって「何にでも使える・つながる・必要な力」であることを押さえて、『「食育のプレゼント」を子どもたちへ』を合言葉に取り組みを行ってきた。三つの視点に絞って取り組みを紹介する。

■自己管理能力の土台づくり

食への興味・関心を高め、正しい知識と望ましい食習慣を定着させる学習指導を展開するために、食育授業の「さしすせそ」(さ=さがす、し=調べる・知る、す=ステップアップ、せ=生活にせまる、そ=育てる)にまとめ、授業の実践に生かした。特に「す=ステップアップ」では、専門知識を持った栄養教諭や養護教諭がTTとして授業に参加するなど、人材の活用を図った。

食への関心と感謝の心を育むために地域の教育力を生かし、生産者、食生活改善推進員、JA青壮年部、食品科学科のある県立高校の協力を得て、体験的な活動も行った。

■自己管理能力を高める日常指導
食育タイム/ここでは、担任と栄養教諭が協力して指導

毎日の給食時間に5分間の「食育タイム」を設定し、食育・給食目標に沿って栄養教諭が作成した給食献立についての一口メモや、栄養教諭を中心にデータベース化した指導資料を基にICTを活用し、食育の六つの観点「食事の重要性」「心身の健康」「食品を選択する能力」「感謝の心」「社会性」「食文化」を軸に指導を行った。栄養教諭も計画的に各学級を巡回し、専門的な立場から指導を行った。

このように、給食を生きた教材として活用し、教科の学びとつなぎながら、望ましい食習慣への理解を深めた。

校舎内の一角に啓発コーナーとして「食育ロード」を設けた。コンセプトは、食育に関わる啓発資料や体験・展示コーナーなどで、児童の興味・関心を捉え、食についてのとっておきの情報を多様な視点から集めた。具体的には、「体がよろこぶおやつコーナー」「箸使い名人コーナー」「手ばかり法体験コーナー」「生産者紹介コーナー」などである。

食育ロード/箸の使い方を啓発するための職員手作りの展示物

この他、生産者や異学年との交流給食会を実施し、楽しい会食を企画したり、学びを生かすための「食育お弁当の日」の取り組みも行ったりした。

■変容の「見える化」で高める実践力

児童一人一人が食育チェックブックを持ち、自分の食生活や運動量、体組成等について日々振り返り、変容を「見える化」することで次の行動へ生かす経験を重ね、自己管理能力を高めるようなポートフォリオを作成した。

食育チェックブックの構成は、(1)食育チェック表(朝食3品、共食、活動量等のチェック)(2)活動量お知らせカード(活動量計を活用した個人カルテ)(3)からだシート(体組成計の測定結果)(4)食育に関する授業の資料(5)食育便り――等である。

■成果

▽食習慣の改善

朝食品目数3品以上摂取率が実践の前後で、59%から88%と大幅に伸びた。食事に対する感謝の気持ちを持った児童が増えてきた。実践前は、食事時のあいさつについて、「みんなで言うことになっているから」と思っている児童が多かったが、「食物や生産者をはじめ給食に携わった人に感謝するため」と認識する児童が増えてきた。

▽健やかな心と体づくりにつながる実践力の育成

不定愁訴を感じる児童の割合が10%減少した。活動量計による1日1人当たりの校内歩数が平均6千歩を維持するようになり、児童の体力の向上が図られた。

▽変容の「見える化」による自己管理能力の育成

肥満傾向の児童の割合が減少してきた。食育チェック表の目標値を超える児童が増え、食と運動に対する児童の意識が高まってきた。

▽家庭・地域との連携と啓発

食育だよりに食育推進に関する内容を毎回掲載し、家庭でも取り組むように呼びかけてきたが、実施率が向上してきた。

今後も児童が、よりよい食習慣を身に付けるために、家庭や地域の協力を得ながら、食育のプレゼントを児童に届けていきたい。


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